ブックキュレーターhonto編集員
型にはまった思考や価値観を揺さぶる、人類学者によるフィールドワークの本
どんなに自由に感じ、考えているつもりでも、自分が属している社会や環境の影響から逃れるのは難しいもの。そうした型にはまった感情や思考、価値観に揺さぶりをかけてくれるのが、人類学者によるフィールドワークの本です。自分の想像も及ばない文化や言語、習慣を知ることで、新しい生き方や社会を考えるヒントも見つかるかもしれません。
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大学院の研究でタンザニアを訪れた著者は、ナンパをきっかけに路上商人マチンガの世界に潜入、自身も古着の行商を始めます。助け合ったかと思えば裏切られ、警察にも追われる日々。それでもいつも生き生きと商売に励むマチンガたちの姿に、私たちの社会が覆い隠している、経済活動本来の「豊かさ」を見いだしてゆきます。
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私たちはいつも何かと数字にとらわれているものです。ところが本書で紹介されるブラジル・アマゾンの少数民族ピダハンの言語には、数字が存在しません。比較級も、色をあらわす単語もありません。著者は30年以上彼らと暮らした経験をもとに、既存の言語学の理論をくつがえす独自の言語構造、そして世界観を明らかにしてゆきます。
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エクアドル・アマゾン河流域に住むルナ人と生活をともにするなかで、著者は森に生きる植物や動物たちも「思考している」という認識にいたります。記号論などの概念を駆使しながら、言葉を使わない生き物たちがどのように世界を理解するか探る著者。読者を「人間を超えた」思考と世界観へと誘うスリリングな一冊です。
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著者が調査の地、エチオピアの都市ゴンダールで出会った人々を描いたドキュメンタリー風の一冊です。路上での物乞いを生業にして暮らす若者、儀式で精霊を呼び寄せるために弾き語りする楽師など、日本とは政治状況も文化も違う、けれども同じ時代をたくましく生き抜く姿が臨場感あふれる文章を通して立ち上がってきます。
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ボルネオ島の狩猟民族プナンには、感謝や反省をあらわす言葉が存在しません。というと「味気ない」と感じるかもしれませんが、そのかわり富の独占や自己責任のような考えとも無縁です。本書は、そんな人類にとって「新しい」プナンの文化を通して、私たちに別の社会の在り方や生き方を考えるヒントを与えてくれる一冊です。
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