ブックキュレーター花まる学習会 平沼純
絵本で見わたす一生―多彩な人生を疑似体験
「小説が書かれ読まれるのは、人生がただ一度であることへの抗議からだ」とは、作家北村薫氏の言葉。自分自身の一生はたしかに一度きりですが、誰かの一生を描いた本に触れることで、多様な人生を疑似体験することができます。すべての大人と、これから自分の歩む人生を少しずつ考え始めた子どもたちへ、広くおすすめできる5冊を選びました。
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赤いおおかみ
フリードリッヒ カール ヴェヒター(作) , 小沢 俊夫(訳)
主人公は赤毛の小さなテリア犬。誕生、戦禍からの逃走、愛に満ちたオオカミ一家との生活、別れ、人間界での新たな生活・・・。最期まで気高さを失わなかった一匹の「赤いオオカミ」の一生を描き、人生にまつわるあらゆるテーマを静かに語ります。コマ割りで描かれていて、まるで長編映画を観ているかのような感覚です。
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ダイアナと大きなサイ
エドワード・アーディゾーニ(作) , あべ きみこ(訳)
ある日突然ダイアナの家にやってきたのは、風邪をひいた一匹の大きなサイ!「もののわかった」子どもたちはサイを世話し続けてやりますが、「もののわからない」大人たちはサイを目にして大慌てするばかり。やがて時が流れ、ダイアナもサイも年を重ねていき・・・。愛を持って生き続けることの素晴らしさを静かに語ります。
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ペンキや
梨木 香歩(作) , 出久根 育(絵)
亡き父親と同じペンキ屋になったしんやは、お客が本当に心から望む色は何かを考え続けます。父の足跡を辿るなかで知った、世の中の濁りも美しさもはかなさも、みんな入った「ユトリロの白」とは?『西の魔女が死んだ』で有名な著者による静謐な語り口と、プラハ在住の画家によるノスタルジックなイラストが魅力の一冊。
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おじいちゃんの口笛
ウルフ・スタルク(作) , アンナ・ヘグルンド(絵) , 菱木 晃子(訳)
2017年に急逝したスウェーデンの児童文学作家による感動作。「自分のおじいちゃんがほしい」と、友人のウルフとともに老人ホームを訪れたベッラ。そこで出会った身寄りのない老人ニルスさんと交流を深めていきますが・・・。切ないラストですが、「時をこえて命が受けつがれていく」ことの希望が感じられる物語です。
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ハルばあちゃんの手
山中 恒(文) , 木下 晋(絵)
海辺の小さな村に生まれたハル。成長、戦争、大切な人との別れ、新たな出会い、自分の家族、老い──。激動の時代を乗りこえて懸命に生きた一人の女性の生涯を、印象的な「手」の描写で描き出します。人生の黄昏時を迎え、過去を思い出しながら盆踊りを舞うハルの手からは、言葉では言い表しきれない万感の思いが伝わります。
ブックキュレーター
花まる学習会 平沼純1982年生まれ。慶応義塾大学文学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。花まるグループの受験部門であるスクールFCで、国語や公立中高一貫コース授業のほか、総合的な学習の時間である「合科授業」などを担当。多数の受験生を合格へ導くとともに、豊かな物語世界の楽しさ、奥深さを味わえる授業を展開し続けている。各種メディアで紹介された『子どもを本好きにする10の秘訣』(実務教育出版)のほか、書籍、雑誌・新聞記事などを多数執筆。読書をテーマにした講演会や連続講座も精力的に行い、本を読む楽しさ、物語を味わう大切さを訴え続けている。2016年よりほぼ毎月開催している連続講座「旅する読書」は、全国から参加者が集まる人気イベント。
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