ブックキュレーター花まる学習会 平沼純
「美しい」に出会う―絵本で養う美的感覚
自分の身の周りに広がる世界の中から、「美しい」と思えるものを発見できる感性。それを養う一助になるのは、様々な「美しいもの」を描いた絵本たちです。持ち前の想像力を駆使して絵本を味わえる子どもだけでなく、大人にも広くおすすめできる珠玉の絵本5冊をご紹介します。一級の「アート作品」の数々をお楽しみください!
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ハリス・バーディックの謎 新装版
C・V・オールズバーグ(著)
謎の人物ハリス・バーディックが残した、ばらばらの14枚の絵。それらはもとはどんな物語だったのか?見る人によって多彩な解釈が可能な、ミステリアスな現代絵本。これを使用した創作授業を長く行ってきて、子どもたちと楽しんでいます。何と、2018年慶應義塾大学SFCの小論文入試でも取り上げられました。
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きりのなかのサーカス
ブルーノ・ムナーリ(作) , 谷川 俊太郎(訳)
霧につつまれたミラノの街。進んでいくと見えてくる愉快なサーカス。その喧騒を抜けると、再び霧が現れて静けさに包まれ・・・。薄いトレーシングペーパーで霧を、極彩色の厚紙でサーカスの喧騒を表すなど、絵本表現の可能性に挑戦した一冊。見るだけでなく、手で触り、声に出して読み──五感を使って味わってください!
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うつくしい絵 改訂版
かこ さとし(著)
2018年5月に亡くなった絵本作家かこさとしさんによる、絵画の入門書としてうってつけの一冊。ダ・ヴィンチの『モナリザ』、ピカソの『ゲルニカ』、ゴッホの『ひまわり』、北斎の『富嶽三十六景』・・・。古今東西のあらゆる名画にこめられた「作者のこころ」と人生が語られ、名画を見る視点が得られます。
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すきですゴリラ 新装版
アンソニー・ブラウン(作 絵) , 山下 明生(訳)
ゴリラが大好きな少女ハナは、お父さんがいつも忙しいから一人ぼっち。しかし誕生日の前の晩、突然現れたゴリラと不思議な夜を過ごすことに・・・。ハナの心情を見事に表したイラストが秀逸で、まさに「絵が語る」絵本の醍醐味を味わえる一冊。シュールレアリスム絵画のように、絵の中の様々な「遊び」を見つけるのも一興。
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あおくんときいろちゃん
レオ・レオーニ(作) , 藤田 圭雄(訳)
紙をちぎって作られたかのような、小さくて丸い「あおくん」と「きいろちゃん」。2人はともに遊び、一緒になり、時に涙し・・・。抽象画による実験的な絵本と思われがちですが、世界中の子どもたちの心をつかみ、愛され続けるロングセラーです。無限の想像力が喚起される、20世紀を代表する傑作絵本。
ブックキュレーター
花まる学習会 平沼純1982年生まれ。慶応義塾大学文学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。花まるグループの受験部門であるスクールFCで、国語や公立中高一貫コース授業のほか、総合的な学習の時間である「合科授業」などを担当。多数の受験生を合格へ導くとともに、豊かな物語世界の楽しさ、奥深さを味わえる授業を展開し続けている。各種メディアで紹介された『子どもを本好きにする10の秘訣』(実務教育出版)のほか、書籍、雑誌・新聞記事などを多数執筆。読書をテーマにした講演会や連続講座も精力的に行い、本を読む楽しさ、物語を味わう大切さを訴え続けている。2016年よりほぼ毎月開催している連続講座「旅する読書」は、全国から参加者が集まる人気イベント。
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