ブックキュレーター港の人 編集者 井上有紀
料理することは、生きること。
料理本百花繚乱の昨今。楽しく、美しく、さまざまな工夫を凝らした料理本がたくさんありますが、そもそも料理ってなんだろうと根源的な問いを投げかけてくる異色の料理本を紹介します。実際に手を動かしながら生まれてきた言葉は、現実に根ざしつつ、人生へ、社会へと広がっていく健やかさをもっています。料理で人生が変わる体験を、ぜひ。
- 47
- お気に入り
- 2513
- 閲覧数
-
カツ代さんは現実をありのままに見る。理想や観念にとらわれず、忙しい主婦や料理人が料理する仕草を見て、食べる人の表情も見て、それらを本当にいきいきとした言葉でとらえます。「生き物に優しくしていれば料理は変わる」というカツ代さんの言葉は、これからもずっと、私たちにとって大切な言葉でありつづけるでしょう。
-
新しいレシピを生み出すことが仕事である料理研究家の、自己否定にもなりかねないタイトル。料理とは何かと問い続けた長い時間の積み重ねが一文一文にこもっている、究極の料理本かもしれません。「レシピなしの料理は地図を持たずに旅をするのと同じ」とありますが、地図のない旅とは、まさに人生そのものですね。
-
この本が多くの人に受け入れられたのは、先人の知恵の繰り返しではなく、今の時代に寄り添っているからではないでしょうか。多くを求めず、本当に大切なことだけを繰り返すという営みの肯定が、今の時代を生きる人々をこんなにも助けてくれるのですね。「教え」ではなく「提案」というのも、ほっとします。
-
作家、桐島洋子さんの70年代に大ヒットしたエッセイの復刊。台所仕事からの解放を目指した60年代を経て、料理を通して自由な生き方と人生の楽しみを捉え直す視点は、多くの人に影響を与えたことと思いますし、今読み返してもたくさんのヒントがもらえます。リズミカルでパワフルな文章が、文句なしに楽しい本です。
ブックキュレーター
港の人 編集者 井上有紀鎌倉の由比ガ浜にある出版社「港の人」勤務の編集者。手がけた本は、『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』(マーシャ・ブラウン)、『きのこ文学名作選』(飯沢耕太郎編)、『胞子文学名作選』(田中美穂編)、『世界 ポエマ・ナイヴネ』(チェスワフ・ミウォシュ)、『90度のまなざし』(合田佐和子)など。海を見ながら自転車で通勤する時間が、毎日のいちばんの贅沢です。本棚の隅っこにあるような本もふくめて、一冊一冊大切に紹介します。ホームページhttps://www.minatonohito.jp
ブックツリーとは?
ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?
テーマ募集中!
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?
テーマ応募フォーム
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。
ご応募ありがとうございました。
このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?
※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。
コメントを入力するにはログインが必要です