ブックキュレーター哲学読書室
ドゥルーズ『差異と反復』へ、そしてその先へ
20世紀最高の哲学書の一つとされるドゥルーズの『差異と反復』。しかし、それはとても難解であることで知られています。その『差異と反復』を読み解き、それを出発点として、思考をさらに広げ深めていくための5冊を選んでみました。【選者:森田裕之(もりた・ひろゆき:1967-:大谷大学教授)】
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ドゥルーズ『差異と反復』を読む
森田 裕之(著)
ドゥルーズの『差異と反復』を読解するための手助けを目的として書いた本です。『差異と反復』は私たちの認識のメカニズムを、観察や実験といった科学的方法ではなく、純粋な論理的思考によって明らかにしています。その認識論を、一般の読者にもわかるように図式的体系的に再構成しようと試みたのがこの本です。
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カント入門講義 『純粋理性批判』読解のために 新装版
ハンス・ミヒャエル・バウムガルトナー(著) , 有福 孝岳(監訳)
『差異と反復』は、人間の認識を論じたカントの『純粋理性批判』への批判でもあります。上の本を頼りに『差異と反復』を読破したあと、『純粋理性批判』をコンパクトに整理したこの本を参考書として『純粋理性批判』を読み、さらにドゥルーズの『カントの批判哲学』に進んでみることをお勧めします。
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ニーチェ
ジル・ドゥルーズ(著) , 湯浅 博雄(訳)
『差異と反復』の最大の理論的な支えは、ニーチェの永遠回帰の思想だと思います。『差異と反復』の理解をいっそう深めるために、ニーチェの人生と思想を簡潔にまとめたこのニーチェ論(とドゥルーズの『ニーチェと哲学』)を熟読し、そこからニーチェ自身の本へと手をのばすという道もあります。
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『差異と反復』はガタリとの共著へとつながっていきます。そこで、ガタリとの最初の共著であり、資本主義と分裂症の関係の解明を目指したこの本の第1章を精読し、その独特の唯物論的思考に触れてみましょう。そして、第2章以降へと読み進めると、その先にはマルクスの『資本論』の世界が広がっています。
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有限性の後で 偶然性の必然性についての試論
カンタン・メイヤスー(著) , 千葉 雅也(訳) , 大橋 完太郎(訳) , 星野 太(訳)
ドゥルーズ以後の哲学の新しい動向に目を向けてみるならば、実在論の復興を挙げることができるでしょう。その実在論を代表するものの一つであるこの本では、素朴実在論を退けるカント以降の観念論的な認識論を批判し、素朴実在論とは異なる思弁的唯物論という新たな実在論を提唱しています。
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哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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