ブックキュレーターきんざい出版部 編集者 堀内駿
体験しなければ見えない世界と、体験した人にしか語れないこと
読書の醍醐味の一つは、自分が経験し得ない他者の世界を自由に覗き込めることだと思います。フィクション・ノンフィクションを問わず、他者が経験したこと、考えていることを知ることは、社会の多様な価値観を肯定する(あるいは少なくとも頭ごなしに否定しない)ことにつながるのではないでしょうか。
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映画を撮りながら考えたこと
是枝 裕和(著)
『万引き家族』などで世界的に評価される映画監督が、出自であるテレビドキュメンタリーでの経験から、2016年の監督作品までの制作中に経験し、考えたことを綴った本です。映画作品を黒字化し興行的に成立させるまでの苦悩など、作家としての視点だけでなく、日本の映画産業全体への思いが語られています。
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ヨーロッパ退屈日記
伊丹 十三(著)
多才な分野で活躍した著者が、ヨーロッパに長期滞在した際の日々を綴ったエッセイです。スパゲッティの調理法、カクテルの作り方などいま読んでも洒脱さが失われていない文章の中でも、格式の高いレストランでは、壜で頼んだ葡萄酒をあえていくらか残しておくのが作法である、というエピソードが印象に残っています。
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何でも見てやろう
小田 実(著)
アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカ・・・先進国から後進国まで学生だった著者が旅して回った記録であり、バックパッカーブームの先駆けとなる一冊。刊行から60年近くが経とうとしているいまでもこの本の描写が古さを帯びずに新しい読者を獲得しているのは、複雑な世界を捉える若者の視点の鋭さによるものだと感じます。
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いまから200年近く前、フランスの政治思想家であるトクヴィルが、アメリカの社会を取材して憲法、裁判制度など、近代民主主義の姿を論じた名著(全2巻、4冊)。『炎と怒り』『FEAR 恐怖の男』などのトランプ関連書籍と合わせて読むと、民主主義の意義が改めてよくわかるのかもしれません。
ブックキュレーター
きんざい出版部 編集者 堀内駿編集者。1985年生まれ、長野県上田市出身。明治大学政治経済学部卒業後、IT関連企業を経て2015年に金融財政事情研究会入社。金融実務書、ビジネス書、翻訳書などを担当。電子書籍も作っているのに自分では好きな紙の本ばかり読んでしまう矛盾を感じながら、出版ビジネスの新たな可能性を考えつつ、時間が経っても記録と記憶に残る本を作りたいという思いで働いています。担当書籍に『サイバーセキュリティマネジメント入門』『ロボアドバイザーの資産運用革命』『金融とITの政策学』『平安保険グループの衝撃』など。https://store.kinzai.jp/public/top/book/
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