ブックキュレーター翻訳家 岡本由香子
旅が日常となった人たちの本、人はなぜ放浪するのか
いつでも旅に出られるよう、なるべく身軽に生きようと思っていたのに、猫とうさぎの里親となった今は一泊旅行すら叶いません。そんなわたしの放浪欲求を満たしてくれる本をご紹介します。どちらかというと観光地とはほど遠いところを、ストイックに旅する人の物語をそろえました。
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グッド・フライト、グッド・ナイト パイロットが誘う最高の空旅
マーク・ヴァンホーナッカー(著) , 岡本 由香子(訳)
ブリティッシュ・エアのパイロットが見る世界を綴ったエッセイ。翻訳をするときは言葉をなぞるのではなく、原文の想起するイメージを日本語に移し替えるよう努めているのですが、本書の場合は地上で目にすることのできない風景の連続で、早々に想像力の限界に達し、途方にくれました。科学と文学の融合が美しい作品です。
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日本の深夜便フェリー14航路の旅の記録。下船先の小旅行もマニアックで味わい深いです。航路ごとに本の紹介もあり『グッド・フライト、グッド・ナイト』も登場します!ダイビング部の夏合宿で片道50時間の船旅をした著者。乗船当初、はしゃいでいた仲間がだんだんとばらけて、個の時間に浸るエピソードが好きです。
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オーストラリア全土にのびる目に見えない道──ソングライン(歌の道)をたどる紀行文。はっきりした筋立てや結論のないところが「放浪」を体現しているように思えます。アボリジニのアーティスト、エミリー・カーメ・ウングワレーの絵のように、つかみどころがないからこそ、果てないロマンを感じさせてくれるのです。
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格差社会のせいで路上に押しだされ、車でアメリカ全土を回遊する季節労働者たちのルポルタージュ。彼らをとりまく環境が過酷かつシュールで、SF小説かと思う部分も。それでも仲間がいて、夢があるのが救いでしょうか。ジャケ買いしたら意図せぬ旅へ引きずりこまれましたが、確実に視野を広げてくれた一冊。
ブックキュレーター
翻訳家 岡本由香子1974年、静岡県生まれ。自衛官である親の勧めと、高校から始めた空手道を続けたいからという単純な理由で防衛大学校へ進学。管制官として航空自衛隊に10年間勤務したのち、憧れていた翻訳の道へ。とんだまわり道にも思えるが、銃器の扱いを習得し、格闘技の心得もあり、戦闘機から空母まで搭乗経験があるのは翻訳家として強みかも(?)。児童書からノンフィクションまで幅広い分野の翻訳を手掛ける。『グッド・フライト、グッド・ナイト』『観察力を磨く 名画読解』(ともに早川書房)、『たったひとりのサバイバル・ゲーム』(KADOKAWA)、『ゴッホはなぜ星月夜のうねる糸杉をえがいたのか』(X-Knowledge)など。
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