ブックキュレーター花まる学習会 平沼純
児童書で味わう雨の日の情景
外で遊べない、行事が中止になる、憂鬱な気分になる・・・。ともするとマイナスのイメージが伴う雨の季節ですが、人の繊細な感情を表現したり、すべてを洗い流して新たな季節をもたらしたりと、雨は実に多彩な顔を持っています。鮮烈な情景とともに「雨の日には何か素敵なことが起こるかも」と思わせてくれる5冊の絵本、児童文学を選びました。
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雨、あめ
ピーター・スピアー(作)
雨が降る日、レインコートを着て外に飛び出す兄と妹。しずくが光るクモの巣、川の水鳥たち、水たまり、そして雨あがりのさわやかな庭の空気―。文字がいっさいなく、鮮やかなイラストだけで進んでいく雨の日のストーリー。それぞれのページでの登場人物たちの会話や音などを、想像しながら読む楽しさが味わえます。
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あまがさ 新版
やしま たろう(作)
ニューヨークに暮らす少女モモは、3歳のときにもらった雨傘をさして街を歩きます。「ぽんぽろ ぽんぽろ・・・」。雨は不思議な音を奏でます。雨の日の情景が印象的な絵本。『からすたろう』の作者としても有名な八島太郎氏は、戦前に渡米して高い評価を得た画家。主人公モモは、氏の実子である女優の八島モモがモデルです。
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水曜日のクルト 新版
大井 三重子(著)
ある日、水色のオーバーを着た謎の男の子「クルト」と出会った絵描き。彼に起こる不思議な出来事を描いた表題作のほか、かつて小学校の国語教科書にも掲載されていた『めもあある美術館』など、印象的な5編を収録した短編集。「仁木悦子」としても知られる著者は、日本における推理小説ブームの草分け的存在でもあります。
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雨やどりはすべり台の下で
岡田 淳(著)
一郎たちと同じアパートに住む「雨森さん」。彼にまつわる不思議な話の数々が、複数の子どもたちの視点から語られます。一体彼の正体とは・・・?静かなストーリー展開の中に、人の持つたしかな温かさが感じられる短編集。子どもたちが雨やどりをしながらすべり台の下で話し合う情景がいつまでも心に残ります。
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本好きの少女しおりが図書館で遭遇する数々の「謎」を描いた短編集。推理作家北村薫氏のアンソロジーにも紹介されていて、実は「日常の謎」系ミステリーとしても高く評価されています。このポプラ文庫版にのみ収録されている書き下ろし『雨の日も図書館へいこう』では、大雨の日に図書館で起きた不思議な事件が描かれます。
ブックキュレーター
花まる学習会 平沼純1982年生まれ。慶応義塾大学文学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。花まるグループの受験部門であるスクールFCで、国語や公立中高一貫コース授業のほか、総合的な学習の時間である「合科授業」などを担当。多数の受験生を合格へ導くとともに、豊かな物語世界の楽しさ、奥深さを味わえる授業を展開し続けている。各種メディアで紹介された『子どもを本好きにする10の秘訣』(実務教育出版)のほか、書籍、雑誌・新聞記事などを多数執筆。読書をテーマにした講演会や連続講座も精力的に行い、本を読む楽しさ、物語を味わう大切さを訴え続けている。2016年よりほぼ毎月開催している連続講座「旅する読書」は、全国から参加者が集まる人気イベント。
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