意味深すぎてタイトル買いしたくなる恋愛小説

短い一語なのに想像をかきたてるタイトルです。意中の人との距離をじりじりと詰めるような、まっすぐに告白して関係を壊すことを恐れるような、大人の弱さも感じさせます。本書は恋愛小説の名手・田辺聖子の傑作の一つ。本当に愛している人には言い寄ることさえできない、そんな切ない気持ちを存分に味わうことができます。

愛とは見返りを求めない尊いものと言われがちですが、本書のタイトルはどこかやさぐれた雰囲気。主人公・テルコはつれない男・マモちゃんに片思い中。一時はいい雰囲気になったものの、都合のいい女になりさがっていく一方の恋路にテルコの出した驚きの結論とは？テルコの愛の形にあなたはどんな感情を覚えるでしょう。

口に出すと、寂しいような悲しいようななんともいえない気分になるタイトルです。恋が終わり、周囲の景色や取り巻く人々が変わっても自分は自分のまま、先に進んでいるのかどうかもわからない、そんな人生の瞬間を切り取った短編集。誰かが去った後に誰かと出会うこともある、そんな希望ものぞかせてくれます。

「ふるえる」というと、何かに怯えるいたいけな存在が思い浮かびます。主人公のヨシカは思い込みが激しいオタク系女子で、中学時代の初恋の人・イチを26歳の今も忘れられません。そんな彼女が一念発起の末、イチと再会するために同窓会を開催。いたいけにふるえることになるのは、誰なのか？それは読んでのお楽しみです。

『はたらけど はたらけど猶わが生活楽にならざり ぢっと手を見る』石川啄木の歌からとられたタイトルを冠したこの物語は、意外にも正真正銘の恋愛小説です。ショッピングモールでのデートが定番の地方都市、安定を求め介護士として働く男女の恋愛を描く連作短編集。読後はタイトルの意味について考えたくなるはずです。