ブックキュレーター小説家 綿矢りさ
夏を焦がす熱い読書
何気なく読んでいた本の一文にノックアウトされ、完全に心を奪われた経験はありますか?不意を突いてくる小説は、著者の鋭さと残酷さを感じられる、非常にドラマチックな産物です。
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肉を極めると、最後は骨が見えてくるのかもしれない。そんなことを考えさせられた小説だった。主人公は複数の男性との情愛をくぐり抜けてゆくなかで、自分の業の深さ、セックスへの消えない執着にとことん向き合う。そんな彼女は自分の肉体を通して、天国と地獄を行来しているようにも見える。欲望に忠実に生きるのは実は苦しい。このある種の修行の果てに彼女はどこに辿り着くのだろうか。
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結構、えげつないほどのホンネを、ずばりと掘り当てて言い切る、爽快な名言集。誰もが気づいてるけど上手く言語化できていなかった日常のなかでの男女のホンネを、あけすけで小気味良い、愉快な言葉で伝えている。特に好きなのが「女はよく変質する。家庭という冷蔵庫の中にいれておいても、腐敗変質する。」 変質、という言葉が正しくって、言い得て妙だと思う。そう、女は劣化するのではなく、変質するのだ。
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拙著。“この人じゃないと愛せない”っていうのは、すごくワガママな欲求だけど、そんな唯一の人を探し求めて旅さすらうのも、また人間に与えられた試練のうちの一つかもしれない。などと思いながら書いた。
ブックキュレーター
小説家 綿矢りさ1984年京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。2001年『インストール』で第38回文藝賞を受賞しデビュー。2004年『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を受賞。2012年『かわいそうだね?』で第6回大江健三郎賞を受賞。
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