ブックキュレーター駒澤大学経済学部准教授 井上智洋
AIが経済・社会に与える影響を考える
AIやロボットが普及した未来の経済・社会に対して多くの人々が関心を寄せている。近年最もエキサイティングな学術的なテーマであると言っても良いかもしれない。あまりにもインパクトが広範囲におよぶので、歴史学者や経済学者、思想家など様々な論者がこの問題に取り組んでいる。
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AIやロボットが雇用を奪うかどうかという最近流行りの議論の世界的な火付け役になった書籍。人々は絶えず機械との競争にさらされるようになるのか、それとも機械と共存するようになるのか。装丁と同様に文体もスタイリッシュ。
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『サピエンス全史』では人類の過去について論じたハラリが、未来社会をディストピアとして描く。人類は、お金をかけて肉体をアップグレードしながら末永くハッピーに生きる「不老階級」と仕事がないがために貧しく、生まれたままの肉体をこれまで通り老化させながら慎ましく死んでいく「不用階級」に分化するという。
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AIが経済や社会をどう変えてしまうのかを狩猟社会にまでさかのぼって論じた壮大な文明論。著者の専門である経済学だけでなく、哲学や歴史の観点からも技術と人類との関りが議論されている。様々な要素をつめこんだ「全部乗せ」の書籍で読み応えある。
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大格差 機械の知能は仕事と所得をどう変えるか
タイラー・コーエン(著) , 池村 千秋(訳)
コーエンは、「ようこそ、超実力主義社会へ」と悪魔的にささやき、「平均は終わった」との決めぜりふを繰り返す。平均的なスキルを持った労働者が、そのスキルにふさわしい仕事にありつくことはますます難しくなる。のみならず、所得や教育、恋愛、あらゆる面で、「中間」というものが消滅し、二極化が加速するという。
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「ピケティに次ぐ欧州の新しい知性」と呼ばれるブレグマンが、AIやロボットによって仕事を奪われたり貧困化した人々に必要なのが、ベーシックインカムであることを主張する。お金を配ると人々が怠惰になるという考えがいかに間違っているかということを膨大な証拠に基づいて議論している。
ブックキュレーター
駒澤大学経済学部准教授 井上智洋駒澤大学経済学部准教授、早稲田大学非常勤講師、慶應義塾大学SFC研究所上席研究員。2011年に早稲田大学大学院経済学研究科で博士号を取得。早稲田大学政治経済学部助教、駒澤大学経済学部講師を経て、2017年より同大学准教授。専門はマクロ経済学。最近は人工知能が経済に与える影響について論じることが多い。
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