ファイナンスを使える武器にする

ファイナンスや会計の書籍を読んだ読者から最も多く耳にするのは、「一通り読んで理解はできたような気がするのだが、実務で使える気がしない」という声。この理論と実務の間に「橋をかける」ために生まれたのが、本書。

ビジネス書において「会計」と「ファイナンス」は別々になっているが、両者は密接に関係しているためいっぺんに学んだほうが効率的であり理解も深まる。会計の基本からファイナンス戦略までを一気通貫で学べる一冊。実際の企業の事例も豊富。

細かいファイナンスの理論や道具立ては不要というビジネスパーソンもセンスとしてのファイナンス的な考え方はできるようにしておいたほうがいい。そのセンスとしてのファイナンス思考を実際の企業の具体例を示しながら明らかにした良書。

まずはファイナンスの全体像を俯瞰したいという読者に最適な一冊。通勤電車の中で読破できる手軽さと時間価値、バリュエーション、投資の経済性計算などファイナンスの基本を網羅できる教科書的な要素を兼ね備えたベストセラー。

ファイナンスの本質を深く理解するためにはM&Aにおける会社の値段の決め方=バリュエーションを学ぶのが一番の近道。多くのビジネスパーソンにとっては理論に深入りするよりも本書のようにフレームワークを理解することが大切。

第1部ではコーポレートファイナンス理論のうち最低限知っておく内容を解説していますが、実はそれをやってくれる書籍は本分野ではありません。他はどれも理論の解説は極力避けています。理論はどこまで理解すべき？と思ったら必ず本書に当たるべきです。

起業時のファイナンスを学ぶことは、経営に必要なファイナンスを擬似体験することになります。また、昨今はスタートアップでのキャリアを志向するビジネスパーソンも増えていますが、自社のファイナンス戦略を理解すれば経営戦略を理解しやすくなります。

文庫サイズゆえに、懇切丁寧に解説する紙幅はありませんが、むしろビジネスパーソンにとっては必要な知識をコンパクト学べるので都合がいいでしょう。ロングセラーだった初版から、最近の事情を反映した内容も追記されています。