ハイカロリーの憎いやつ！「とんかつ」の魅力がたっぷり詰まった本

「定食」を溺愛している著者が、とんかつにとことん迫った一冊です。老舗の専門店から場末の定食屋、さらにはファミリーレストランやハワイで食したとんかつまで、その魅力を余すところなく紹介してくれています。チキンカツやコロッケなどにも平気で浮気しているのもご愛敬。マニアックなタイトルですが、気軽にさらりと読めるでしょう。

市井の人々のリアルな生活の姿を、情緒豊かに描いている短編集です。とんかつ好きにオススメしたいのが、本書に収められている「とんかつ」という1編。母と息子の切ない別れの1日と思わぬ再会の1日を描いているのですが、悲壮感漂う物語の中でとんかつが不思議な癒しとユーモアを与えてくれています。

とんかつの名店と評されている専門店や洋食屋に密着し、そのレシピや味の秘訣などを、見ているだけでお腹が鳴ってしまいそうな写真とともにわかりやすく紹介しています。素人でも試したくなるような、簡単なコツを知ることができるのもうれしいところ。「食べたくなる」だけでなく、ついつい「作ってみたくなる」誘惑に駆られてしまうはずです。

とんかつをこよなく愛する3名が東京中を食べ歩き、マニアックで楽しい評論を繰り広げています。とんかつをとことん追求していて、そのシュールな世界観はとんかつ好きじゃなくても十分楽しめること間違いなし！読んでいて気になった店を訪れていくうちに、あなたも「東京とんかつ会議」を開きたくなっているはずです。

トンカツ屋さんの看板娘のコンカツを描いた小説です。美人だけどマイペースすぎる主人公が織りなすゆるふわな物語に、ほのぼのとさせられることでしょう。そして要所で顔を出す美味しそうなとんかつの描写が、この癒し系の物語に素晴らしいアクセントを加えてくれています。このタイトルがすべてを言い表している一冊です。