血のつながりがすべてじゃない。新しい家族のかたちを描いた物語

人形の家族を描いた児童文学です。それぞれが傷を抱えながらも仲良く暮らしていた人形の家族でしたが、ある日新しく美しい人形がやって来て、一家の仲を裂こうとします。悪意により家族が壊れていくなか、人形たちにできることとは・・・。物語の結末は、児童文学とは思えないほど衝撃的です。

全員父親が違う、かの子、一太、二太の3人姉弟を描いたコミック。親に捨てられ、姉・かの子が水商売で稼いだお金で暮らす3人姉弟が、貧しい年寄りやチンピラなど、社会の底辺に位置する人々が集う地域のなかで、たくましく成長していきます。笑える描写が多いですが、涙なしには読めない生きるための力をもらえるはずです。

空虚さを感じながら暮らす平凡な専業主婦の春美。ある時、夫の父が急逝し、その葬式に出席します。ところがそこへニューハーフになった弟が現れて・・・。社内不倫する夫、性的マイノリティの息子の存在を認めない姑など、つぎはぎだらけの家族のドラマが展開します。読み終えたとき、コミックの表紙の美しいイラストの意味がわかるはずです。

力強い瞳を持った少女に惹かれ、その母であるシングルマザーと結婚した吾郎。妻に教育者としての資質を見出され、戦後から平成にかけ、塾産業の黎明期を切り開くことに。血のつながりはなくとも、児童教育への強い情熱が家族を結びつけていきます。教育史、家族史としても読み応えのあるドラマチックな小説です。

泉水と春は仲の良い兄弟。しかし母がレイプされた末に生まれた弟の春は、父親の血を呪い、苦悩を抱えて生きています。そんな弟のために兄と家族は、遺伝子という科学的な根拠と向き合い、弟を救おうとし……。ミステリーでありながら、傑出した家族小説でもあります。