ブックキュレーターお茶の水女子大学理学部物理学科・教授 奥村剛
素朴で身近な世界にたちどまり、科学的に楽しんでみよう
最先端の物理学というと、極微の世界を記述する量子力学や、はてまた、その反対の宇宙の話など、とにかく日常から離れた世界を扱うものだと思っていませんか?私も、日常の現象は物理学で扱うのは難しいと思っていたのですが、最近、そんなことはない、と身にしみて感じています。皆さんも、いま、たちどまって日常のまわりの世界を科学的に眺めてみませんか?
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科学は冒険! 科学者の成功と失敗、喜びと苦しみ
ピエール=ジル・ド・ジェンヌ(著) , ジャック・バドス(著) , 西成 勝好(訳) , 大江 秀房(訳)
1991年に「現代のニュートン」としてノーベル賞を受賞した偉大なフランスの物理学者が、ノーベル賞受賞後に、フランス全土の高校を行脚して行った講演をもとにした著作。シャボン玉やゴムなど日常に親しみのある題材を中心に、その物理原理を平易な言葉で説明。科学を学ぶとは、科学者という職業とは、といった話題にも触れる。これを機に再印刷が強く期待される。
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「科学に対する興味を養成するには、(中略)日常身辺の、自分に最も親しい物質の世界のことがらを深く注目し、静かに観察してそのことがらの真相をつき止めようという、人間の本然の傾向を助長し発育させるのが第一の近道であろう」と説く著者が、金平糖の形や電車の混雑など、だれもが親しみのある題材について考察。手に入りやすさから少年文庫を選んだ。
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偉大な科学者ファラデーが一般聴衆を前に演示実験をしながらすすめた連続講演の記録。ロウソクという一つの身近なものをよく観察することからはじめて、驚くほど多様な科学的考察を導き出していく。実験をカラー写真で再現しながら説明しており親しみやすくなっているが、従来の翻訳書(岩波文庫など)との併読がおすすめ。
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印象派物理学入門 日常にひそむ美しい法則
奥村 剛(著)
物理学は自然を写実主義の絵画のように精密にとらえるものと思っていませんか?実は、物理にも、印象派絵画のように枝葉末節を省き、ことの本質を導く印象派があるのです。そんな精神で行われた、しずくや切り紙やクモの巣などの研究の例を通して、日常的な現象をシンプルに美しくとらえる面白さを味わってください。
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科学の本ではないが、読み返してみて小学生のときと同じに強く引き込まれ、どうしても紹介したくなった一冊。科学者も、日常をよく観察することで、まだ誰も知らない世界を見つけることを楽しみとする。著者の「自分がおもしろいと思ったことを自分の喜びのために書く」という姿勢は、基礎科学者の精神にも通じる。幼い頃に読んだ記憶のある方もまたぜひ。
ブックキュレーター
お茶の水女子大学理学部物理学科・教授 奥村剛お茶の水女子大学理学部物理学科・教授。1967年7月生まれ。1990年慶應義塾大学卒業(物理学科)。同大学院・ニューヨーク市立大学大学院(ロータリー財団奨学生)を経て、1994年分子科学研究所助手。2000年お茶の水女子大学助教授、2003年同教授となり現在に至る。1999‐2003年にかけ13か月間、コレージュ・ド・フランスで研究。主な専門は、ソフトマター物理学。博士(理学)。翻訳書に、『粉粒体の物理学(共訳)』、『表面張力の物理学(単訳)』、『ムースの物理学(監訳)』(いずれも吉岡書店)がある。
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