『三国志』や『水滸伝』だけじゃない！20世紀の中国文学を知るための本

魯迅は、人間の持つ偉大な隣人愛や友情、そしてヒューマニズムをどこまでも追求し、その素晴らしさを高らかに謳いあげました。この本に収録されている「故郷」や「阿Q正伝」など計16の短編には、戦争や貧困などを経験しながらも、そうした苦難に耐え、乗り越えていこうとする庶民の姿が生き生きと描かれています。

中国で1千万部を記録した余華の代表作であり、チャン・イーモウによって映画化もされた長編小説です。動乱の時代、主人公の福貴はなんとか家族と共に生き抜こうと壮絶な人生を経験します。彼の波乱万丈な生き様は私たちの胸を打つだけでなく、たくましく生きていこうという勇気をも与えてくれるはずです。

真面目で誠実であった青年が、社会から見捨てられることによってどのように堕落してしまうのかを克明に描いた名作です。ささやかな幸せを望みながらも結局は社会の悪に染まってしまう、そんな主人公の絶望的な感情が強烈に描写されます。現代のワーキングプア問題にもつながる、今こそ読んでおきたい一冊です。

ノーベル文学賞受賞作家・莫言の中短編集です。莫言は性や暴力を鋭い言葉で生々しく描写する作風で有名ですが、本書は過激な描写が抑えられていて読みやすい内容に仕上がっています。表題作は、リストラされたおじさんが廃バスを男女の密会場所にするビジネスに挑戦するお話。コミカルな展開と、その後もたらされる奇妙な帰結に注目です。

社会の片隅で生きる庶民の平凡な生活にスポットライトを当て、人間の真理を深く追求した傑作です。嫁姑の仲違いというありふれた問題を通して、人間関係の複雑さや男女の微妙なすれ違いといった人生模様を描いています。巴金の力強く円熟した描写に、ページをめくる手が止まらなくなる一冊です。