読めば観劇したくなる!?歌舞伎の世界を舞台にした梨園ミステリー

有名歌舞伎の上演中に、舞台上で役者が死亡。密室のはずの客席から顔にアザのある男が消え、その座席には3枚のカルタが残されていました・・・。歌舞伎界に存在する因習や業、一門の「血」がケレン味たっぷりに描かれます。著者自身が「横溝正史好き」を公言する通り、「横溝色」の強い王道の本格ミステリーです。

『東海道四谷怪談』の作者・鶴屋南北の幻の台本を上演しようとするなか、見立て殺人が発生。事件の謎に挑むは弁護士・森江春策。著者の豊富な知識と技巧的な作風が本領を発揮した歌舞伎ミステリーです。現在と過去、虚構と現実が曖昧なまま物語が進みますが、ラストには視界が一気に開けるような快感がもたらされます。

学生時代に歌舞伎を研究し、歌舞伎を題材にしたミステリーを数多く執筆している近藤史恵。本作は、有名歌舞伎の内幕や梨園で情熱的に生きる人々が織り成す人間模様から、歌舞伎界の光と闇をあぶり出します。探偵・今泉と、若手女形・小菊。この魅力的なコンビが登場するシリーズ1作目です。

老歌舞伎俳優で、洒脱な安楽椅子探偵・中村雅楽が活躍する短編集です。歌舞伎を題材としていますが、知識がなくても心配ありません。読み進めているうちに、鮮やかな名推理の数々に心奪われることでしょう。歌舞伎の評論家としても知られ、作家としての受賞歴も申し分ない著者の直木賞受賞作を収録した一冊です。

名門歌舞伎俳優の父子が、東京と京都で同時刻に死亡。弟子の俳優が、脅迫を受けながらもその謎に迫る本格ミステリーです。芸事に対する苦悩や執念が入り混じる愛憎劇から、歌舞伎の世界の奥深さを垣間見ることができるでしょう。寡作の乱歩賞作家による知られざる名作です。