ブックキュレーター著述家・編集者・写真家 山本高樹
大切な人が旅に出る時に贈りたい本
旅に出る時には、本を最低でも一冊、選びに選んでからバッグに入れていくことにしている。旅のさなかに本を読むと、一語一句がひときわ心に沁みて、ずっと後まで記憶に残るような気がする。身近にいる大切な人が旅に出る時には、はなむけに本を贈ってみてはどうだろう。僕ならこれを贈るかな、という本を集めてみた。
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僕は旅に出ると、毎日のできごとや考えたことなどを、紙のノートに雑然と書き留めておくようにしている。チャトウィンも、旅のエピソードや思索のメモを、愛用のモレスキンに書き記していた。彼の代表作『ソングライン』では、本編の途中に、モレスキンに綴られていた旅にまつわる思索の断片がスクラップされている。
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学生の頃、バイトで入った雑誌の編集部で最初に与えられた仕事は、星野道夫のインタビューの音声起こしだった。彼がなぜアラスカの原野に惹かれるのか、当時は本当には理解できていなかった。時を経て、自分自身がヒマラヤの奥地やアラスカで取材するようになってから、ようやく少しずつわかってきた気がする。
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インド北部の極寒の高地ザンスカールで、真冬のさなかに催される僧院の祭礼を見届けるため、凍結した川に現れる幻の道チャダルと、豪雪のルンナク渓谷を踏破した、約4週間の旅。僕はこの旅を通じて、ザンスカールの人々に、人が人としてあるがままに生きることの本当の意味を、あらためて教わったように思う。
ブックキュレーター
著述家・編集者・写真家 山本高樹1969年岡山県生まれ、早稲田大学第一文学部卒。2007年から約1年半の間、インド北部の山岳地帯、ラダックおよびザンスカールに長期滞在して取材を敢行。以来、この地方での取材をライフワークとしながら、世界各地を取材で飛び回る日々を送っている。著書『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』(雷鳥社)で第6回齋藤茂太賞受賞(日本旅行作家協会主催)。他に『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)『インドの奥のヒマラヤへ ラダックを旅した十年間 (わたしの旅ブックス)』(産業編集センター)『ラダック ザンスカール スピティ 北インドのリトル・チベット[増補改訂版]』(ダイヤモンド社)など。
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