白と黒、あなたはどっち派？はじめての新堂冬樹

主人公は、カルト教団「神の郷」の教祖・神郷宝仙。私利私欲の塊でとんでもない俗物の彼が、いかにして人の弱みにつけ込み、人々を洗脳していくのか。その克明な様子や教団の運営がリアルに描かれます。衝撃的な冒頭から終盤にかけての怒涛の展開まで、人間の醜さと弱さ、愚かさを執拗に叩きつける「黒新堂」代表作の一つ。

「出版界初のR指定」という触れ込みの本書。胸糞悪い登場人物や、これでもかと繰り出される過激な描写には、出版当時から賛否両論が沸き上がりました。復讐代行屋の鷹場英一を中心に、人間の欲望が渦巻く、暗黒エンタメの傑作です。「黒新堂」が本領を発揮した本作、読む際は覚悟の上でどうぞ。

瀕死の子犬を介して出逢ったふたりの恋愛物語です。これまでの作風からガラリと変わった本作をきっかけに、彼の小説が「白」と「黒」にわけられて語られるようになっていきます。この物語は白黒の両面を併せ持つだけでなく、ラブストーリーに加えてミステリーの要素も持ち、舞台化や映画化もされたほどの人気小説です。

小笠原の海でイルカとともに育った青年と音大生の純愛ストーリー。小笠原の自然や純朴な人々と、東京のビル街や欲にまみれた人々を対比させながらふたりの恋模様を描きます。王道的でドラマティックな恋愛小説であり、美しい雰囲気が物語全体を覆う、純愛の「白新堂」代表作の一つです。

小学3年生の大志が、遠く離れた母に会うため一人旅に出るロードノベルです。行く先々でさまざまな人に出会い、助けられ、旅を続ける大志。人の素直な気持ち、やさしさ、そして親子愛に胸が詰まります。後半からラストにかけての切なくて温かい展開に号泣必至。「白新堂」の感動作です。