ブックキュレーター岡本裕一朗
テクノロジーの歴史とその未来を知るために、哲学からアプローチしてみよう!
20世紀の後半に始まったテクノロジー革命によって、人類はいま決定的な転機を迎えています。現代のテクノロジーは私たちを、どこへ導こうとしているのでしょうか。テクノロジーの歴史をあらためて問い直し、何が到来しつつあるのかをはっきり掴むために、いまぜひとも読んでおきたい文献を選んでみました。
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メディアの歴史 ビッグバンからインターネットまで
ヨッヘン・ヘーリッシュ(著) , 川島 建太郎(訳) , 津崎 正行(訳) , 林 志津江(訳)
宇宙誕生から現代まで、メディア=技術の歴史を描いたスケールの大きな書物。著者のヘーリッシュは現代ドイツを代表する哲学者で、ドイツ哲学の新方向を知るにはとても役に立ちます。これ1冊読むだけで、メディア論の現在を知ることができます。
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メディア論 人間の拡張の諸相
マーシャル・マクルーハン(著) , 栗原 裕(訳) , 河本 仲聖(訳)
マクルーハンは、「メディア」という概念を現在のような形で導入した画期的な研究者。彼のメディア論は、かつて日本でも流行したが、現在はより広い文脈から再評価されています。メディアや技術の意義を考えるには、マクルーハンを無視して進めることができません。
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技術への問い
マルティン・ハイデッガー(著) , 関口 浩(訳)
ハイデガーの技術論は、独特の言葉づかいのため、すぐには理解が難しいのですが、少しずつ読み解いていくと、近代だけでなく現代にまで及ぶ射程に驚嘆するはずです。本書には、彼の「サイバネティックス」論も含まれ、人工知能を考えるときも、重要なヒントを与えてくれます。
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偶有からの哲学 技術と記憶と意識の話
ベルナール・スティグレール(著) , 浅井 幸夫(訳)
著者のスティグレールは昨年亡くなりましたが、彼のライフワークになったのが「技術」の問題でした。大きな著作『技術と時間』が分冊で翻訳されていますが、全体を見通すにはこちらの著作が役に立ちます。ラジオで語ったものが元になっており、読みやすくなっています。
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ニック・ボストロムは、早くからテクノロジーと人間の未来を問い続けている哲学者で、その大胆な主張に社会的な注目が集まってきました。この本は、人工知能の未来を考えたもので、ビル・ゲイツなどによっても推奨されました。現代テクノロジーの可能性を理解するためにも、彼の著作は必読と言えます。
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テクノロジーとメディアの視点から、人類の歴史を捉え直した書物です。今までメディアといっても、漠然としかイメージされていなかったのですが、本書はその具体的な様式を明らかにし、歴史的な展開を辿ることで、現代の状況をメディアの終わり、人間の終わりとして提示しています。
ブックキュレーター
岡本裕一朗1954年生まれ 現在玉川大学名誉教授。西洋の近現代哲学を研究していますが、哲学を含め学問の多様な分野に関心があり、領域横断的な研究をしてきました。そのため、著作も剛柔取り混ぜ、さまざまなテーマについて論じています。モットーにしているのは、できるだけ分かりやすく書くことですが、そのために重要な論点を省くことはしないよう努めています。また、どのテーマを論じても、必ず現代にとってどんな意味があるのか、たえず問い直しながら書いています。今回の『哲学と人類』は、5年前に出版した『いま世界の哲学者が考えていること』(ダイヤモンド社)の続編として構想された渾身の一冊になっています。
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