リーダビリティ抜群のエンタメ小説！はじめての中山七里

著者の代表作である「岬洋介シリーズ」の第1弾。火事により心身ともに重傷を負った少女・遥。そんな絶望的な状況で出会った天才ピアニスト・岬洋介に支えられ、彼女はもう一度ピアノに打ち込むようになり・・・。スポ根風の青春小説、音楽小説、そして完成度の高い本格ミステリーという三つの側面が楽しめる秀作です。

過去に殺人を犯し、名前を変えて弁護士となった御子柴礼司。本書は、正義の味方のイメージがある弁護士をダークヒーローとして描いた異色作で、御子柴の本質はわかっていても、その強烈な個性に魅了されること間違いなし。重厚な雰囲気の法廷劇も楽しめる「御子柴礼司シリーズ」の第1弾です。

警視庁捜査一課の刑事・犬養隼人を主人公にしたシリーズの1作目です。このシリーズは、過去に実際に起きた有名な事件を題材にしている点が特徴で、本書は19世紀にロンドンで起きた「切り裂きジャック事件」がモチーフになっています。劇場型犯罪、猟奇殺人、臓器移植など、さまざまなキーワードが鮮やかに融合したサスペンスミステリーです。

賞の最終選考に著者の2作品が残り、『さよならドビュッシー』が大賞を受賞したものの、もう一方の作品も読みたいという読者の声があまりに多かったため出版にこぎつけたけたという一冊。カエル男と名づけられたシリアルキラーの犯罪に、埼玉県警の刑事が挑みます。とにかく構成が見事で、最後まで一気読みしたくなる傑作です。

医大の法医学教室に入った研修医の視点で展開する、法医学がテーマの連作短編集。不審死の遺体を司法解剖することで意外な真実が明らかになる・・・というミステリーではお馴染みの設定ですが、脇を固める登場人物がいずれも個性的なうえ、全話を通して描かれる壮大な謎も用意されているため、非常に読み応えがあります。