華やかな世界の裏には血のにじむ努力が！演劇の光と影を描いた物語

平凡な少女・北島マヤがその才能を開花し、女優としてのし上がる過程を描いた演劇漫画の金字塔。圧倒的な天賦の才を持つ主人公の魅力はもちろん、ライバルキャラの女優・姫川亜弓の「努力の人」ぶりにも目を奪われます。演劇への情熱あふれるキャラクターたちの魅力に夢中になることができる名作です。

舞台への夢を持ちながらも漠然とした青春に身を投じているなら、この物語にドキリとするはずです。実費で劇団を立ち上げる「先生」のもと、北海道で自給自足の生活を営みつつ肉体労働を重ねる主人公。著者の記憶をたどるような物語に、読者もその日々を追体験する気分に。リズム感のある独特の文章にも注目です。

女ばかりの歌劇団「紅華歌劇団」を舞台に、男と女、伝統と変化、華やかさと泥臭さを鮮やかに描いています。容姿、才能、努力、財力のすべてがそろってもなお直面する舞台の厳しさには、思わず涙してしまうかも。主人公さらさをはじめ、シビアながらも華やかな舞台に焦がれ続ける少女たちが、葛藤を胸に研鑽し合う姿が印象に残ります。

演劇の中でも重要な「虚」と「実」というテーマに挑んだ実験的な物語。謎の死を遂げた脚本家が残した一人舞台の戯曲を、警察が女優たちに演じさせる。そんな内容の戯曲を書く劇作家がいて・・・というメタ構成ですが、読み手を惹き込む著者の手腕には惚れ惚れします。芝居とミステリーが融合した魅惑のエンタメ小説です。

「何かを作りたい！」「表現したい！」そんな情熱を持った方にオススメの漫画です。創作をあきらめていた土暮咲良が高校演劇に出会い、日常を劇的に変えてゆく様子から目が離せません。漫画としての演出も見事。行き詰まったり自信をなくしたりした時にこそ読みたい、背中を押してくれるような青春群像劇です。