ブックキュレーターhonto編集員
無秩序、破壊、自己の解体!ポストモダン文学を代表する作家の本
代表的なポストモダン作家の小説を厳選しました。脱近代主義と呼ばれる思想運動のポストモダンは、文学の世界にも大きな影響をもたらしました。従来の西洋的な秩序を壊し、無秩序や模倣を積極的に受け入れることで新たな表現形式を模索した作家たち。その文学は現実と虚構を組み合わせるなど、既成概念を覆す異色作ばかりで驚かされます。
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ヴァインランド
トマス・ピンチョン(著) , 佐藤 良明(訳)
覆面作家ピンチョンの長編第4作目で、前作より17年を経て発表された小説。北カリフォルニアの山中を舞台に1960年代から1984年までのアメリカ社会の変遷を、膨大な情報量で描き出します。女忍者やカルマ調整師など異色の登場人物たち。精密機械の如く緻密な構成。ポストモダニズムを体現する世界屈指の大作です。
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旅路の果て
ジョン・バース(著) , 志村 正雄(訳)
ポストモダン文学の先駆者の1人であるバース。本書では、他者の仮面を被り、それを自我に組み入れる恐ろしさを描き出しています。主人公は精神疾患の治療の一環として「神話療法」を受けている青年。彼は「他者の自我を借りる」方法で自己を表現し、規範教師として務めるのですが、同僚との交流で致命的な失敗を犯してしまい・・・。
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コズモポリス
ドン・デリーロ(著) , 上岡 伸雄(訳)
現代アメリカ文学を牽引するデリーロの話題作。株式、通貨のアナリストで、若くして資産運用会社の経営者として大成功をおさめたエリック・パッカー。大型リムジンを拠点に、激動する情勢に接する彼の日常は近未来的。ハイテク機器に囲まれ、氾濫する情報に身体性を奪われていく様子は、ディストピアを想起させます。
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老ピノッキオ、ヴェネツィアに帰る
ロバート・クーヴァー(著) , 斎藤 兆史(訳) , 上岡 伸雄(訳)
『ピノッキオの冒険』の後日談として、老境に入ったピノッキオたちの大騒動を描いた問題作です。ノーベル賞を2度受賞したあと、自伝を完成させるため帰郷したピノッキオ。そんな彼を待ち受けていたのは数々の受難でした。皮肉なパロディが盛りだくさんで、諧謔精神に満ちた文体と展開はクーヴァーの真骨頂といえます。
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アメリカ最後の原始林に呼び寄せられる9人の物語。栗の木を撮影してきた一族の末裔、感電死からよみがえった女子大生、聴覚障害を持つ植物研究者といった一見無関係であるはずの人々が、中盤に差し掛かって絶滅寸前の大木に集まる構成は圧巻。森林伐採という環境問題を扱う物語ですが、読み終わるころには世の中の見え方が変わるはずです。
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