ブックキュレーター作家 東海大学名誉教授 太田尚樹
他者の暮らしを通して、自分の暮らしを考える本
途切れることなくつづく日々の暮らしを、俯瞰して眺めるのは案外むずかしい。それなら、外に目を向けてみよう。人の数だけ暮らしがある。日本とは違う暮らし。現代とは違う暮らし。自分とは違う暮らし。それぞれの人に、それぞれの日常。本を通して、他者の暮らしに寄りそうことで、自らの“とらわれ”や“こわばり”に気づくことができる。“心のコリ”もほぐれることだろう。
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21世紀の今日、〈洞窟に棲む〉ことは、一見すると異次元の世界に生きる奇想天外なアイデアである。だが、現実に棲んでいる人が多数存在し、住民の数が増加している事実は、何を語りかけているのか。洞窟住民の“もたない暮らし”を垣間見ると、逆に、現代文明が抱えた病魔、負の遺産が如何に重いかを理解することにもなろう。
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西行、親鸞、芭蕉そして良寛の生き様に共通するのは、漂泊の旅、無欲、孤独への親しみ。彼らは、軽やかな自由の世界に遊んで、歌を詠んだ。筆者・山折の説く身軽の哲学の原点は、この四人の先人たちの生き様だった。その「重荷を下ろす」「人間関係からの解放」「混沌とした世界への別離」の極意は、後半の人生を生きる技術でもあることに気付かせてくれる。
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幕末期、関東平野の一画にあった松平氏所領・忍(おし)藩(現埼玉県行田市)の下級武士・尾崎石城が書き記した絵日記7冊の解説書。下級武士の暮らしと住まいがテーマであり、そこに事件や大きな事象はない。寺の坊主や武士仲間、町人や農民との交友関係など、心温まる日常生活の風景が淡々と記されている。彼らの食べ物や表情、話題が微笑ましい。
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フランスに住む日本人女性二人が紹介するフランス文化。女性ならではの目線で、食べ物や飲み物から、歴史、伝統文化までが歳時記風に語られる。温かな生活風景と豊かな表情まで伝わってくる不思議な本である。一見ありふれた食べ物、街頭のポスターや人々の服装に光るセンスを感じることができるのも、本書の持つ不思議なオーラのなせる業。
ブックキュレーター
作家 東海大学名誉教授 太田尚樹1941(昭和16)年、東京生まれ。作家、東海大学名誉教授。専門は比較文明史。『コルドバ歳時記への旅』『アンダルシア パラドールの旅』『ヨーロッパに消えたサムライたち』ほか著書多数。近年は、『満州と岸信介』『尾崎秀実とゾルゲ事件』など、昭和史関連の著作も多い。アンダルシア地方の山岳地帯にいまもくらす「洞窟の民」たち。なぜ洞窟をその棲家に選び、どのように暮らしているのか。その生き方が伝える“鬱屈”を跳ね返すヒントとはーー。新刊『アンダルシアの洞窟暮らし』では、40年にわたり現地で調査した結果を初報告する。
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