ブックキュレーター臨床心理士・公認心理師 東畑開人
眠れない夜、眠るのをあきらめかけたときに読むべき本
なぜ眠れないのか?不安だからだ。現実で何かが起きていたり、起きそうだったりして、頭の中をグルグル回っているから眠れない。そんな夜は次の5冊の本を読んでみたらどうだろう。現実と夢の間、夜と朝の間を、フラフラと揺れ動きながら、「心」を描いた本たちだ。あ、でも、一番いいのは「心はどこへ消えた?」であるのは、この本のあとがきを読めばわかります。
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ムーミンパパの思い出 新装版
トーベ・ヤンソン(作・絵) , 小野寺 百合子(訳)
風邪をひいて、もう死ぬんじゃないかと勘違いしたムーミンパパが若き日の遍歴を語った一冊。物語も面白いのだけど、それ以上に語り口が面白い。誇大妄想的で、自己愛的で、そしてきわめて真剣に生きている若き日のムーミンパパにクスリと笑ってしまう。「色々あるけど、まあいいか」と思えて、・・・眠れるかもしれない。
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占いはなぜ当たるのですか
鏡 リュウジ(著)
夢占いがまさにそうだけど、占いは夢と現実、心の内側の世界と外側の世界をつなぐテクノロジーだ。占いを専門にする鏡さんは、なぜ占いが「当たるのか?」と問うことで、「当たるってそもそもなんだ?」とあなたの考えを迷宮に導く。気づけば、夢と現実がゴチャゴチャっとするエリアに誘い込まれるから、・・・眠れるかもしれない。
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〈心理療法〉コレクション 1 ユング心理学入門
河合 隼雄(著) , 河合 俊雄(編)
心の奥深いところ。それは夢の中に現れる。そんなことを考えていたのが、ユングだ。そのユングの心理学をやわらかい言葉で描いたこの本を読んでいると、昨晩の夢のことが思い出されるかもしれない。そして、そこに私がひそかに隠し持っている思いが現れていることに気がつくかもしれない。そうやって、夢のことを考えはじめると、・・・眠れるかもしれない。
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残念だけど、この本は眠れない。後半になればなるほど、読むのをやめられなくなるからだ。これは夢なのか、現実なのか。いや、誰が見ている夢なのか?そんなふしぎな世界にさまよいこんで、謎が解き明かされるまで眠れなくなってしまう。だから、「もう寝ない」と開き直ったときに読もう。
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居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書
東畑 開人(著)
一冊だけ、自分の本も推薦していいルールだったので、この本を。明日、いつもの仕事場や学校にいくことを考えると、気が重いから眠れない。つまり、「居るのがつらい」から眠れない。じゃあ、「居る」ってどうしたら可能になるのだろう?それは他者に気を許すことだ。そうじゃないか。あなたはその夜、布団やベッドにも気を許せず、体をこわばらせているのだから。
ブックキュレーター
臨床心理士・公認心理師 東畑開人臨床心理士・公認心理師。博士(教育学)。1983年生まれ。2010年京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。精神科クリニックでの勤務を経て、14年より十文字学園女子大学に勤務、現在准教授。17年に白金高輪カウンセリングルームを開業。著書『居るのはつらいよ』(医学書院)で第19回大佛次郎論壇賞、紀伊國屋じんぶん大賞2020大賞を受賞。他に『野の医者は笑う』『日本のありふれた心理療法』(ともに誠信書房)など。『心はどこへ消えた?』(文藝春秋)は2年ぶりの新刊。
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