ブックキュレーター哲学読書室
条件としての人間を哲学する
“人間”と総称される一群にとことん愛想を尽かした哲学者、思想家たちは、にもかかわらず、その一群を律する諸規則やメカニズムについて思索を重ねることをやめませんでした。彼らは何を予期して何を諦め、また、そうした予期と諦念を繰り返したすえに、あるいはその直中で、何を見出したのでしょうか。【選者:布施哲(ふせ・さとし : 1964-:名古屋大学准教授)】
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難解な諸概念をほどよい大きさの風呂敷のうえに並べ、「これがラカンだ!」といってのけたジジェクは、いまや誰にでも持ち運び可能となったそれらの道具をふたたび風呂敷に包み込んだ後、「君はこれをどこへ持っていって何をするのだ?」と問います。ヘーゲルが哲学を壮大な体系で閉じた後、そこから何を考え、どこに向かうかを私たちに問うたように。
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資本主義の終焉を予期したのはマルクスだけではありません。「イノベーション」や「アントレプレナー」といった、今日的な流行語を自身の経済発展論の中心に据えたシュンペーターもまた、そのうちのひとりでした。この書が出版されてからほぼ80年。資本主義はこれからも私たちの生の条件であり続けるでしょうか。
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通常、『ディスコルシ』は共和制政体論であると解釈されています。しかし、マキァヴェッリが1500年以上も前の出来事群にこだわった理由、そしてなかんずく、彼がイタリアの統一を切望していた理由は、特定の「政体」やまだ見ぬ共同体への忠誠等とは異質なものであることが、本書を通じて透けて見えるでしょう。
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社会の最底辺にあって陽の光どころか街の灯りにすら照らされない者たちが、当の社会にリシャッフルをもたらす政治的行為者となる―。シュンペーターのいう「社会的故郷喪失者」としての起業家、あるいはレオ・シュトラウスがマキァヴェッリをして語らしめたモーセやイエスは、そうした“行為者”たちを先導していたのかもしれません。
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哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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