恋愛の形は千差万別。一筋縄では行かない恋愛模様を描いた小説

村上春樹自身が「100パーセントの恋愛小説」とキャッチコピーをつけた大ベストセラー。大学生の「僕」を主人公に、直子、緑という2人の女性との関わりを中心に据えながらも、物語は単なる三角関係の恋愛話の枠には収まりません。人間はみんな欠点だらけで、だからこそ愛おしい。人間の喪失と再生を描いた名作です。

直木賞を受賞した表題作と「かけがえのない人へ」の2編を所収した一冊。愛する妻に裏切られた主人公は、離婚後とある人生の選択をします。2編とも泥沼のような裏切りや恋愛関係が描かれていますが、登場人物がみんな「ほかならぬ人」を探し求める姿には、切なくも清々しいものを感じるでしょう。

「普通」なんてどこにもない、それぞれに違う形をした恋愛を描く短編集。「三角関係」や「同性愛」などのわかりやすい言葉からこぼれ落ちてしまうものを、丁寧にすくい上げた小説ばかり。成就するものだけが恋愛ではなく、叶わない思いを含め、さまざまな恋愛の形があることに改めて気づかされるかもしれません。

主人公の高校生・斉藤くんは、コスプレ好きの主婦・あんずと不倫をしています。あんずは夫に動画を隠し撮りされ、斉藤くんの彼女は拡散されたその動画を目にすることになり・・・。連作長編で、章ごとに登場人物それぞれの視点で物語が進みます。ショッキングな内容が続くのに、読後は不思議と爽快です。

主人公・藤代は、恋人の弥生と結婚式の準備を進める最中に、初めてつき合った女性ハルから手紙を受け取ります。心を揺さぶられる藤代。弥生との関係はどうなるのか？ハルはなぜ、今さら手紙を送ってきたのか？4月に始まり3月に終わる物語に、季節の移ろいを感じながら美しい情景を堪能することができます。