ブックキュレーター学術振興会特別研究員PD(関西大学) 小松原織香
なぜ死ななかったのか。惨事を生き延びた人たちの言葉から生活を立て直す。
戦争や犯罪、暴力を生き延びた人たちの語る言葉は、私たちの心を動かします。かれらの苦しみは、凄惨な出来事の渦中だけではなく、その後も続きます。コロナ渦で混沌とした社会を生きる私たちに、かれらの言葉は希望のありかを指し示してくれます。
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ナチスの強制収容所で死に直面した女性が、マロニエの花が自分に話しかけてくるのだと語った。精神科医のフランクルは、彼女の姿のなかに、極限状態を生きる人間の精神の強靭さを見出した。彼は、自らの収容所での経験をもとに、人間はどんな状況でも人生を肯定して生きていく力を持つのだと信じ、この本を書いた。
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「いま痛い人間は、そもそも人にわかりやすく話してあげる余裕などもち合わせていないのだ」1970年代に、性差別に抵抗するウーマンリブの運動を牽引してきた田中美津。彼女は子ども時代に性的虐待を受けた。大人になるなかで直面した、社会の差別をつぶさに見つめながら、自分の内側から湧き出る感情と思想を綴った。今もその言葉はふるびていない。
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DVや児童虐待で深い心の傷を抱えた女性たち。トラウマの影響で人を信じることが怖い。人間関係がうまくいかない。暴力から逃げ出したそのあと、どうやってこの世界で生きていけばいいのだろうか。この本では、薬物依存症の女性たちが発見した、「傷ついた自分」との付き合い方が紹介されている。
ブックキュレーター
学術振興会特別研究員PD(関西大学) 小松原織香1982年生まれ。2016年、大阪府立大学大学院人間社会学研究科人間科学専攻博士号取得。自らの性暴力の被害体験を綴る『当事者は嘘をつく』(2021年 筑摩書房)を刊行。『性暴力と修復的司法: 対話の先にあるもの』(2017年 成文堂)で西尾学術奨励賞(ジェンダー法学会)受賞。「〈被害者の情念〉から〈被害者の表現〉へ―水俣病「一株運動」(1970年)における被害者・加害者対話を検討する」(2018年『現代生命哲学研究』)で社会倫理研究奨励賞(南山大学社会倫理研究所)受賞。
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