毎日をご機嫌に過ごさないともったいない！と自分のこころに目を向ける本

2019年に100歳で亡くなった日本画家の自伝エッセイ。絵の題材に82歳で幻のブルーポピーを求めヒマラヤ山脈を踏破、旅行に出られなくなった90代は顕微鏡をのぞいて微生物を観察・・・と、ひたすら好奇心の赴くままに熱中する姿に圧倒されます。「今のわたくしに夢中になるべき」という言葉はほんとうに深い。

草彅龍瞬さんは『反応しない練習』が有名ですが、こちらは図解を使って「なんで心が曇っているのか」の理由と、それを洗い流す術を論理的に解説。2500年以上前に仏陀が説いた「合理的な心の使い方」は、人が人であるかぎり通用し、救われ、元気にしてくれるもの。「そういうことか！」と納得感が半端なくあります。

多仁亜さんの素敵な暮らし方は、読むだけで心が浄化されるようですが、それにはご本人の心がけや、心のもち方が大きいのだと感じます。第四章「ご機嫌に過ごすためのトリセツ」は必見。「空気を読まずにおしゃべりしよう」「言葉で伝え合うことの大切さ」など、自分らしくありながら他者も大切にすることを教えてくれます。

昭和の思想家、中村天風さんは、松下幸之助、稲盛和夫、大谷翔平など、偉大な男性たちに大きな影響を与えたといいます。しかし、女性こそ、天風哲学に触れてほしい。心の力の法則によって、ご機嫌に毎日を過ごす道も見えてきます。日々のちょっとした習慣など語り掛けるような文体で書かれ、私も何百回も読み返しています。

「ときどき空を見上げる」「焦りそうになったら深呼吸」「朝起きたら、布団を整える」などだれでも、すぐに実践できる小さな習慣を集めています。ほんとうに小さな行動で、気分は変わるもの。そして、自分のことがちょっと好きになります。パラパラとめくって、できそうな習慣からひとつ、生活に取り入れてみませんか？