ブックキュレーター文筆業 矢内裕子
相撲列車から阿呆列車まで、電車と読書は相性がいい。鉄道愛にあふれた本を持って、旅先でも読書を楽しもう
「駅は人生の舞台」と宮脇俊三は書く。1872（明治5）年に新橋～横浜間で鉄道が開業してから、今年で150年。ローカル線廃止のニュースが珍しくない昨今、鉄道をめぐる状況も激変している。今こそ読みたい、鉄道を愛する人々の本を紹介。
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第一阿房列車
内田 百間（著）
「なんにも用事がないけれど」、百間先生は汽車に乗って出かけてゆく。お金はなくとも列車は一等で、お供は若い友人である「ヒマラヤ山系」だ。世間的な用事のない「阿房列車」の旅、ヒマラヤ山系との会話や旅先の風物をめぐる考察も楽しい。乗りたいから乗る、百閒先生の旅の極意がここに。
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女子と鉄道
酒井 順子（著）
30歳を過ぎてから「鉄道好き」であることをカミングアウトした著者。東北へ雪見旅に出かけ、出張先から足を伸ばしてローカル線に乗るなど、控えめに語っているが著者の鉄道愛はかなりのもの。紹介されている路線が敗戦になったという追記がいくつもあり、「早く訪れないと」と思わせる。
ブックキュレーター
文筆業 矢内裕子文筆家ときどき編集。東京都文京区育ち。出版社で書籍編集者として勤務後、独立。担当した本に角田光代『古本道場』、三浦しをん『三四郎はそれから門を出た』、いとうせいこう『ボタニカルライフ』など多数。著書に『落語家と楽しむ男着物』、萩尾望都さんとの共著『私の少女マンガ講義』がある。現在、橋本治さんへのインタビュー集を準備中。note:https://note.com/yanaiyuko
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