ブックキュレーター編集者・ライター 佐野亨
歴史の地層をたどってあるく、「ディープヨコハマ」にハマるための5冊
観光都市として雑誌やTVで取り上げられない日はないほど人気のまち・横浜。しかし、このまちの真の魅力は、観光ガイドを頼りにあるくだけでは到底味わうことができません。よく知られた名所にも、また裏通りの知る人ぞ知る場所にも、さまざまな歴史が堆積しています。ここでは、その歴史の地層をたどるのにうってつけの本をご紹介します。
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葉山嘉樹短篇集
葉山 嘉樹(著) , 道籏 泰三(編)
葉山嘉樹は、若き日に室蘭ー横浜航路の貨物船の船員として働き、その経験をもとにいくつかの小説を書いています。この短篇集には、『セメント樽の中の手紙』『労働者の居ない船』など代表的な作品が収められていますが、なかでも『淫売婦』は観光地化される以前の横浜中華街の裏通りを舞台にした傑作です。
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『沓掛時次郎』や『瞼の母』で知られる大衆文芸作家・長谷川伸が新聞記者になるまでを綴った自伝で、横浜で生まれ育った幼少期や港湾労働の記憶について書かれています。丘の上の裕福な家庭に育った獅子文六と、まさしく「市井の徒」であった長谷川の人生をくらべてみると、横浜の「地域階層」の一面が見えてきます。
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白い孤影ヨコハマメリー
檀原照和(著)
40年以上にわたって伊勢佐木町界隈の路上に立ち続けた白塗りの老女・メリーさん。彼女はどのような人生を生き、いかにして「伝説」と呼ばれるようになったのか――。丹念な取材をとおしてメリーさんの輪郭を浮かび上がらせると同時に、「伝説」をつくることで生き続けるまち・横浜の深層に迫ったノンフィクションです。
ブックキュレーター
編集者・ライター 佐野亨編集者・ライター。東京のひがし側で生まれ、幼少期は所沢、その後は横浜で育つ。日本映画学校(現・日本映画大学)卒業後、出版社勤務を経てフリーランスに。映画とまちあるきをテリトリとする。著書に『ディープヨコハマをあるく』(辰巳出版)、編著書に『心が疲れたときに観る映画 「気分」に寄り添う映画ガイド』(立東舎)など。東京・京橋の国立映画アーカイブでは客員研究員を務めている。
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