ミステリー、現代劇に歴史小説。ジャンルごとに代表作！はじめての垣根涼介

信長や光秀を主人公にした歴史小説の評価も高い著者が、2023年に直木賞を受賞した歴史群像劇です。鎌倉幕府の末期から室町幕府の成立という混乱を極めた時代を生きた初代将軍・足利尊氏を弟・直義と側近・高師直の視点で描きます。戦国や江戸幕末ではない、この時代のおもしろさを十分に書き切り、堪能も勉強もできる快作です。

国策の移民政策に乗りブラジルに渡った日本人たちに待ち受ける過酷な運命、それに抗い生きた人々と、日本国政府に対する復讐劇を熱く描いています。史実をベースに疾走感あふれる筆致と展開、魅力的な登場人物ににじみ出るパワーのエンタメ小説で、数々の賞を獲った著者最高傑作の声もある超オススメの逸品です。

渋谷を舞台に、ストリートギャング、ヤクザ、犯罪者集団たちの三つ巴の抗争を描いたクライムノベルです。ハラハラドキドキのスリリングなストーリーに没入必至。主人公たちの今後が間違いなく気になる、人気の「ヒート　アイランドシリーズ」第1弾は、爽快感もあって読みやすい一冊です。

著者初めての歴史小説で、主役は本能寺の変で信長を討った明智光秀。本書は本能寺に至る物語ではなく、オリジナルキャラクターである光秀の2人の友人を通して、光秀の人となりに光を当てています。数学の有名な確率問題が絡んでいる点もユニークで、姉妹作品の『信長の原理』と併せて読みたい傑作です。

主人公の村上真介はリストラ請負会社に勤め、日々、リストラ対象者と面談してクビ切りの判断を下すという役回り。本書は、そんな真介が関わるリストラ対象者たちの人生と人間模様がリアルに描かれるお仕事小説です。予想に反して重くなく、全5作で完結している著者の代表シリーズ、オススメです。