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宮沢和史ブックキュレーター宮沢和史

宮沢和史の推薦する名著5冊

宮沢和史の「推薦図書」はこの5冊! ※こちらの推薦文は、クーリエ・ジャポン読者のために寄稿いただいたものを転載したものです。

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  • 「心・技・体」が整ってこそ一流の武道家である。ということに異議を唱える日本人はそう多くないだろう。まず挨拶や礼儀を身につけ、指導者、先輩との接し方を学び、徐々に技を身につけていく、というこの武道精神がスポーツ界にも当てはまってきたんだと思う。

    自分は少年野球をやっていたので、中学に入ると当たり前のように野球部に体験入部してみたものの、掛け声を出すばかりの練習に終始し、片付けの時以外ボールに触れない練習が続いた。折れない心を鍛えるのも大事かもしれないが、ただスポーツがしたい自分はそこを離れ、個人の練習で成長できる陸上部に入部し、3年間思う存分トラックを走った。

    決して人口が多いわけではなく、経済的に恵まれているわけでもないアルゼンチンのサッカーがなぜ強いのか? 子供の頃にまず指導するのは徹底的にゴールを狙うことだという。その後多くの経験を積み重ねながらスポーツマンとしての自覚と人格が整っていく。そう、要するに日本と“順番が違う”のだ。

  • 武士道といえば、それが武士たちの死生観にも大きく影響を与えていることに間違いはないだろうが、それはあくまでも武家社会における道徳として生み出された概念である。

    “クニ”という社会があちこちで形成され、ある時は戦い、奪い、滅び、という連続のなかで、揺るぎない規範、美意識を示しておく必要性から武士道というものが確立されたんだろうが、死というものは武家社会にだけ訪れるものではない。公家、庶民、等しく平等に“死”はやってきて誰も抗えない。逆らえないからこそ死後というものをあらゆる日本人は強くイメージしようと試み、”再生”という概念をも生み出してきた。死後の世界での“生”を充実させ、さらに、もう一度生まれ変わるために、現在をどう過ごすべきなのか……。それだけ死が身近なものだったのかもしれない。

    近頃の世は刹那的だ。死というものが自分の身から遠ざかる社会では人は現世のうちの“この瞬間”しか思い描けなくなるということだろうか?

  • 第二次世界大戦における“特攻”という考え方がまったく理解できず敵は震え上がったというが、これも日本人の死生観からくる特殊なものかもしれない。だが、この美意識は国民一人一人が一様に望んだものでもなければ、洗脳という形で植え付けられたものでもなくて、あくまでも二重の価値観、ダブルスタンダードを持ちながらも「お国のため天皇陛下のため」という大義から逃れることの困難な状況下に日本はあった、という言い方ができる。

    9回特攻に出て9回生還したという佐々木友次さんの強い意思を知り、沖縄戦時に慶良間諸島で敵が来る前に集団自決せよとの軍事教育に多くの島民が盲目的に従おうとするなか、それは違うと声を上げた人たちの意思を思い起こした。

    相変わらず、ただ現状を維持することしか選択できず、変化する勇気を持てない我が日本社会は激動の今世紀において、すっかり周回遅れの様相にある。

  • まずタイトルに惹かれた。こんなにも中身を「知りたい」と思わせてくれたタイトルは久しぶりだ。この本は1970年から1971年にかけて書かれたものが1972年に刊行され、2021年に文庫化されたもの。

    この本は旅の本でもある。旅というと未来への出立というイメージになるが、過去へ出で立つというのも旅なのであり、その上、もうなくなってしまった失われた過去への行脚は未来への旅同様に大いなる浪漫をかき立てられる。

    1972年といえば沖縄が日本に復帰した年。ここでは沖縄県の八重山や宮古島も取り上げられている。伝承されてきた歌や物語などを紐解き、それらを頼りに埋もれてしまった“無”に辿り着こうという試みは、未来の雲行きが怪しく、いよいよ深刻な状況に迷い込んだ現代において、今こそ大きな意味を持つ方法論ではないだろうか?

  • 日本人なら誰でも沖縄は日本の南西にある島と認識しているだろうが、それは地球儀と世界地図に長年なれ親しみ、自分が今いる地点から見てそう判断しているからであって、たとえば、日本を中心にして隣国を含んだ地図を読み込んだスマートフォンを90度左に傾けたら世界がまったく違って見える。

    朝鮮半島から見える日本の門構えは山陰と九州。中国大陸にいる人間から見たら眼前に広がるのは九州南部から右は台湾まで細く連なる琉球弧の島々の連なりなのである。そのちょうど真ん中に沖縄本島が浮かんでいる。沖縄、琉球国の歴史や文化を記した本は山ほどあるが、この本はそれらを90度傾けたような視点で語られている。

    中国がいかに琉球を重宝したか、なぜ貿易において他国よりも有利な立場においたのか、90度傾けたらそれは明確だ。琉球が東アジアのコーナーストーンであることを認識すればするほど、日本国という国がじつは世界から遠く離れていて、独自の世界観、社会観、倫理観で武装して内向きに国を継続してきたことが逆に見えてくる。沖縄を礎石に置きながら日本をあぶり出す本でもあるのだ。

宮沢和史

ブックキュレーター

宮沢和史

1966年生まれ。バンドTHE BOOMのボーカルとして89年にデビュー。2006年にバンドGANGA ZUMBAを結成。14年にTHE BOOMを解散後、休止期間を経て18年より活動再開。19年6月にデビュー30周年を迎えた。沖縄県立芸術大学非常勤講師。『足跡のない道』『BRASIL-SICK』『沖縄のことを聞かせてください 』(双葉社)など著作多数。 PHOTO: 豊島 望

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