認知心理学特殊講義
2001/06/06 00:13
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:駒根地 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のわかりやすい頭の良さが発揮されていて読んでいて楽しい。博学な人間が知識を縦横無尽に操る様子は一種のサーカスと思えるような気がする。
文章が独特なので、慣れるまでは時間が要るだろう。専門用語なのか個人言語なのか判別がつきづらい。もともと精密に読むに耐えるようにわざと設計していない書物なのかもしれない。
心理学や隣接科学が専門の人にとっては割と自然なことかもしれない。
心理学に興味をもった高校生などが読んでみてもいいかもしれない。真剣に何かで悩んでいる人が、この本にたどり着けるかどうかを、心配したりしてみる。
脳はこうして騙される
2001/02/19 14:53
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:指名打者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「洗脳原論」という怪しげなタイトルであるが、人間の高次脳機能のメカニズムの1つとして、筆者のホメオスタシス仮説をわかり易く解説している。洗脳、脱洗脳の実際から、脳が騙されるプロセスが見えてくる。
我々が実際にいる世界を現実世界、知的活動の中で創りあげる世界を可能性世界と定義した上で、人が変性意識下では可能性世界を現実世界との比較できないリアルな世界に感じるメカニズムを持ち、人間の恒常性機能であるホメオスタシスによるものである。人間は可能性世界に臨場感を感じると恒常性を維持するようホメオスタシスによって生体レベルでフィードバックを受ける。
確かに“仮説”の域を完全に脱していないが、なるほどと思わせる説得力のある一冊である。読んでも“洗脳”されることはないと思うのでご安心を(多分)。
投稿元:
レビューを見る
イカツイ表紙だが、内容は極上☆
洗脳について元オウム信者との脱洗脳記をケーススタディとして、わかり易く解説している。
ディベートについても詳細に書かれている。
投稿元:
レビューを見る
【読む目的】
洗脳の仕組みを知って、自分が他人から洗脳されないための方法を知りたい。
【読んだ感想】
洗脳と脱洗脳の仕組みを知ることが必要。今の日本にはたくさんの危険性が潜んでいる。洗脳されないためには精神的拠り所と癒しが必要。これらのことを意識しているだけでも全然違うと思う。
投稿元:
レビューを見る
苫米地英人 洗脳原論まとめ
洗脳とは
われわれの神経レベルでの情報処理、信号処理の段階に何らかの介入的操作を加えることによって、その人の思考、感情を思うがままに処理しようとすることである。p4
通常の物理的現象世界とは異なる仮想世界に臨場感を持たせ、ホメオスタシス・フィードバック・ループを構築させ、固定化させる作業である。 p59
(※1)
洗脳のプロセス
変性意識と神秘体験
変性意識状態(トランス状態)は無意識の外在化が起こる。書き換え可能な状態。他者からアクセス出来る状態。
この状態の際に至高体験を再体験(アンカー)できるトリガーを仕込む・設定すること。
(※2)
洗脳のステップ
1.体感的条件付け
因習的な情報の刷り込み
(たとえば、墓場をみると「ぞっとする」ように)体感的な経験と結びつけられ、特定の表象と、特定の臨場感状態を結びつける。日常的作業の反復としてのフィードバック・ループが形成される。
2.臨場感の強化
感覚遮断、催眠、薬物、神秘体験など繰り返し行う。
3.アンカーの埋め込み
トリガー(引き金)によって変性意識の臨場感体験(たとえば至高体験)が即座に再現されるようにする。
オウムでは薬物、ヨーガ、チベット密教の瞑想、長時間のビデオ、頭への電流ショックなど。これらを組み合わせてトリガーとアンカーを巧みに仕込む。これらのトリガーによって容易に臨場感が再現される。
(※3)(※4)
4.永遠の洗脳サイクル
さめない変性意識サイクルの果てしない循環に意識がはまっていて、抜け出そうとしても、ホメオスタシスに連結した鎖によって引き戻され、さらにその鎖に以前よりも強くがんじがらめにされる。
深い変性意識状態に引き戻すためのアンカーを、ありとあらゆる脱洗脳状態に関連する事柄や、考え方、言葉などに結びつけておく。「法を破ると死ぬ」など。
(※5)
(※1)魔術修行にとてもよく似ているし、宗教の修行とはこのプロセスの習慣化による固定化でもある
(※2)これはアシッド体験をした人がその体験を再体験できるマテリアルを収集することと似ている。この場合、自らトリガーを仕込んでいるともいえるか。
(※3)臨床において患者が行動化を起こす際、外傷体験が呼び起こされ行動化へと至ることがままあるが、これは外傷体験のアンカーとトリガーの関係といえるかもしれない。臨床場面でも、ぼーっとしたような変性意識状態の後、パニックになることはままある。このとき外傷的な体験を再体験していることは多い。そのときの対処行動も、まずい対処行動のことが多く、これが日常的に問題になっていることが多い。幼い頃からの唯一の対処行動を繰り返していると理解。精神分析でいう反復強迫。
(※4)さらにリストカットをする少女たちは、外傷体験(トラウマ)がアンカーされており、トリガーされることで変性意識状態に入る。自傷行為は変性意識へのトリガーの役目を果たす。リストカットは変性意識へのトリップ=快��の側面があるということ。サドマゾ的トランス。
(※5)あらゆる外部世界の意味合いを、洗脳世界の基準によって逆転再構成して、反論とし用意しておけばより強化される。(例、宗教)相対化させればなお強固となる(例、ポストモダニズム)
洗脳原論 まとめ2 脱洗脳(デプログラミング)のプロセス
(1)アンカーとり
1,アンカーの発見
無意識下に沈んでいるアンカーを、表面に受けたたせてやる作業のこと。
傾聴しながら好きなだけ自由に話させて、アンカー作用を発現させるものを見つける。それを何度も口に出させ、どんな感じがするかを確認してみる。
2,アンカーの無効化
アンカーによって脳内でホメオスタシスが機能する鎖を断ち切る作業。アンカーを言葉によって本人に自覚させることから、取り去る作業に入ることができる。
無意識に沈んだアンカーを浮き立たせるためには、被洗脳者と一緒に過ごす空間を、デプログラマーが支配するとともに、その空間を操作する必要がある。
a,空間の支配
「こころをつかむ」。関係性における力関係で優位に立つ。
b,無意識の共有 空間を操作する
アンカーを捉え、内部表現をビジュアル化する。
c,アンカーの確認
命題を操作する。相手の脳内の情報を自分の周囲に仮想現実的にビジュアル化し、相手に見せ体感させた状態で、更に臨場感あふれるイメージ操作を言葉や仕草によって行う。
d,教義に深入りしない
e,専門家との協力
精神疾患への配慮、
(2)イニシエーションの逆転
イニシエーションの「抑圧」された効果を無効化し、逆転させるそのために
1,意識レベルにおけるイニシエーションのシンボリックな意味合いを再解釈させる
2,無意識レベルにおいて「抑圧」されたイニシエーションの心的外傷効果を無力化させる
(3)意識下情報のデプログラム(準記号・非記号デプログラム)
準記号的な情報・・・記号化されるほどシンボリックではないが何らかの言葉や概念と結びついている漠然とした思考のプログラム(例 墓場、北枕など)
非記号的な情報・・・生体レベルで埋め込まれたプログラム(例 クンダリニー体験、シャクティパッドによる光の体験)
それぞれカルトのルールとは異なる状況で体験を想起させ、ルールを無効化させる。教祖の超能力以外の方法でこれらの体験を起こさせ、次にこういたことが起こらないようにしてしまう。
(4)記号化情報のデプログラム
生み出した仮想世界に臨場感が生じてくると、洗脳者はそれを固定化する為に道具として、記号レベルで仕掛けをしてくる。ホーリーネームやその集団内部でしか通用しない独特な用語などの記号を用いる。
1,リジッドネーム化
親の名付けた名前で呼び慣れさせる。
2,社会的語彙化
社会に通用する用語で会話を続ける。
(5)カタルシスの中和化
神秘体験や至高体験、圧倒的な感激体験など。これらのカタルシス体験は体験者にとっては嘘偽りのない純粋な体験である。しかしこのカタルシスが起こるメカニズ��そのものは瞑想や観想といった修行に内因的に含まれるものであって、教義の正当性に関わりなく、あるとき偶発的に起こるものである。この体験に神秘体験として特別な意味合いを持たせるのがカルトの手段である。
これをデプログラミングするためには、より強烈な神秘体験を経験させるしかない。
そのために本人の記憶を利用する。
オリジナルと同程度のレベルの体験を退行催眠などで引き出す。それを少しずつ強化してゆく。カルトで体験した変性意識下の体験よりもより強いカタルシス体験をさせることで、無意識へのアクセスが容易な関係を作り上げる。そして神秘体験のレベルの差が術者の神秘性や宗教性とはなんの関係もなく、単なる技術の優劣の差に過ぎないことを説明すれば、神秘体験は無効化する。
(6)フレームの再構築
リフレーミング・・・洗脳者の手法は、現実社会のどのような環境に取り巻かれたときどんな問題が起きるのか、その環境のパターンを分析する。
次に、その環境に対して、洗脳者の提案する可能性世界において、そのこころの問題の意味づけを行う。もちろん、その問題を解決するような意味づけを行う。
デプログラムでは、通常の社会のコンテクストを構築し、これが洗脳者が被洗脳者をとらえるために構築したフレームより優れたことを示す。
(7)ゲシュタルトの正常化
ゲシュタルト崩壊によって生じる解離の状態「フローティング」に対処する方法
健康な体調を維持する、薬物やアルコールを避ける、毎日体を動かさせる、過度の感覚刺激を避ける、カレンダーや時計などの時と位置の目印を定着させる、これからすることのリストを作る、用事に出かける前に、行動や買い物、計画などの予定を書いたリストを見直させる、済んだ項目に印をつける、最新のニュースを見聞きさせる、など。
投稿元:
レビューを見る
■目的
苫米地さんの著書4冊目。
■本の内容・特徴
洗脳について。
オウ○信者の脱洗脳の実例を交えて話が展開。
■感想
内容も一般人にわかるように書かれています。とても読みやすいです。
オウ○信者の脱洗脳を手がけた実例を用いてあるので、洗脳というものはどこか遠い世界の話ではなく身近なことなのだと感じることができます。
今まで苫米地さんの著書を4冊読みましたが、一番面白かったです。
投稿元:
レビューを見る
「ビジネス書のトリセツ」で紹介されていて、図書館で借りて読んだ。
メディアでよく見かける人だと思ってたけど、何やってる人か知らなかった。
知らない専門用語が多くて何度も目移りしたが、興味のある話なので
おもしろく読んだ。
デプログラミング、ディベート、心理学、シャンク、チョムスキー、
虹の階梯
投稿元:
レビューを見る
いまでは月に一冊のペースで本を量産している苫米地氏。それらの本の内容のほとんどは、この本をベースにしていると思われるほど、内容が濃く、興味深い本です。洗脳に関する理論的なものはやや難しく、オウム信者相手に奮闘している日記の部分が面白かったです。また、アメリカのディベート、教育について言及している箇所もあります。
投稿元:
レビューを見る
すべての洗脳は変性意識状態が介在している。
朝鮮戦争時に中国共産党がアメリカ兵に行った。
抽象世界n次元神秘体験。
トリガー、アンカー。エリクソン。
クリプキ可能性世界、ホメオスタシス。
ODヘップ感覚遮断。
精神の記号化とテクノによるチューニングについて
投稿元:
レビューを見る
オウムの脱洗脳をしてた人の本。
どうやら賢い人のようだ。
内容は面白い。
驚くほど文章が淡々としている。
あまり興味のない他人の事を書いてる様な不思議な文章。
投稿元:
レビューを見る
苫米地氏がまだお手軽自己啓発本にさほど手を出していなかった頃の硬派な本。オウム信者の脱洗脳レポートは、例えフィクションだとしても読み応えがある。
ハナから読者に理解させる気の無い芸風はこの頃からの様で、面白かった。
投稿元:
レビューを見る
善良な市民へのパンチの効いた一冊。
なぜ、人は宗教にはまる可能性があるのか。なぜ、人は集団化し、家族を捨ててまで、はたから見ると胡散くさい人に惹かれてしまうのか。
人は脆いという事実と危機感を持たせてくれる本。
強く生きようと思えます。
投稿元:
レビューを見る
洗脳のプロセスやアンカーの解き方を自身の体験から解説人工知能の研究や心理学・哲学からのアプローチでとっても興味深くよみました。
投稿元:
レビューを見る
水野俊哉が最高傑作と推しているので読んでみた。なるほど読み応えはあった。が、それまで。二度と読む必要が生じる事態にならないことを願う。
投稿元:
レビューを見る
氏の本はこれだけ読めばいい、という意見をたまに見るが、わからなくも無い濃度。
氏の最近の、自分を高める云々の本はちょっと食傷していたが、この感じの本が最近も出てるなら読みたい。