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目頭が熱くなった。しかし冷静になってみると・・・
2011/03/07 11:52
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る
目頭が熱くなった。中年層の男性読者の感情を昂らさせたら、右に出るものはないだろう。あ、浅田次郎がいるか。事象の重複が少々くどいが感情を主役本人に語らせず群集劇として表現したのは功を奏している。
しかし読後、冷静になってみると腑に落ちない点が沸々と。先ず本格ミステリ目線で。あそこまで引っ張った割りには、ラストの真相が唐突過ぎる。意外性といえばそれまでだが、そうくるなら伏線をきちんと張り巡らせてほしい。連作短編でのトリックやどんでん返しの鮮やかさを知っているからこそ余計にもどかしい。これほどのテクニシャンが出来ない筈はない。何か意図があってのことなのだろうか。
それから社会派ドラマとして。「死を望む妻を殺す」ことと「空白の2日間」の真相。この2つの倫理の論点が、どうにも噛み合っていない。首を挿げ替えられた印象。どんなに言い訳しても、おいてけぼりには変わりない。妻も読者もね。奇麗事というか美談すぎるのもちょっとあざとい。「これで泣かなきゃ人じゃない」と拳銃を突きつけられてるみたい。浅田次郎な手口だな。
名は体を現すというが、まさに「半落ち」? ネットで調べると、やはり賛否両論。様々な物議を醸し出してる。まあ、それも人気の証明だろう。直木賞選考で叩かれた「致命的欠陥」に関しては、私的には的外れだと思う。描かれているのは行為が実施されたか否かではなく、容疑者本人の意向なのだから。
色々と苦言を連ねたが、あらゆる意味でアツくさせてくれることには間違いない。圧倒的なリーダビリティで有無を言わさず読者を引き込む筆力はまさに白眉。でもこの人の真骨頂は、やはり連作短編かな。
もう一度、映画が観たくなりました。
2009/12/24 09:52
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナカコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前、テレビで映画「半落ち」を観てとても印象的だったので、本を読むことにしました。
まず、同じ出来事の中でいろいろな立場の人ごとに章をつくって語らせたのは、とてもおもしろいと思いました。つまり主人公が変わっていくわけです。そして、このストーリーの本当の主人公の章はなくて、周りの人たちが本当の主人公のことを推理していくのです。
一般社会にありがちないざこざ、名誉欲などを織り交ぜて、共感するところがたくさんありました。心の奥では誰もそんなもの好きではないと著者が静かに言っているような気がしました。そして、各々の章に選ばれたような人たちは皆、本当の主人公の瞳の奥に清らかなものを見逃さないのです。希望を感じました。
結末は、知っているけれどやはり泣けました。しかし、一晩経って疑問がわきました。あのようなキャラクターの主人公はどういう場合でもふんばって殺人をしないのではないかと。彼の穏やかさ、清らかさと、殺人がどうしてもわたしの中で結び付きません。
わたしも彼とほとんど同じ年齢です。この小説にあるようなことを経験したり、近くで見てきました。けれども、まだまだ経験不足ですし、ものごとを深く考えることも少ないので、今後、今の考えがどう変わっていくかなあと思っているところです。
完落ちです
2006/08/04 20:35
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のら - この投稿者のレビュー一覧を見る
完落ちです。泣けました。アルツハイマーの妻に請われて殺人を犯した元警官、梶総一郎。彼と関わる刑事、検事、新聞記者、刑務官らの視点でストーリーはすすみます。それぞれプロフェッショナルなだけに、「職務」と「ヒトとしての思い」に葛藤するところとかは味わい深いものがあります。映画も必見!寺尾聡、最高でした(著者の横山さんもでてるよ)。
野良犬の散歩(主に映画と本について)
http://1192kamakura.cocolog-nifty.com/norah/
そういうことだったかー!ってなる
2022/02/10 14:26
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たくろう - この投稿者のレビュー一覧を見る
「どんでん返しがある」と聞いて疑心暗鬼になりながら読んでいましたが、「そういうことだったかー!!」って感じです。
世界観に入り込んでしまう感じが流石でした。
佐々部清監督映画化原作
2017/10/25 02:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
現職警察官が犯した罪について考えさせられました。自首するまでの僅かな時間に、痛切な思いを感じました。
絆
2017/08/09 12:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まんだかず - この投稿者のレビュー一覧を見る
病気の妻を殺して自首してきた現職警察官。
殺害は自供するも、殺害から自首までの空白の2日間については
いっさい語ろうとしない。-いわゆる「半落ち」
その警察官をめぐり、刑事、検事、弁護士、記者、裁判官、刑務官の
過去や未来、立場、しがらみなど照らし合わせてで物語は進んでいきます。
最後の数ページは泣きました。
これはミステリではなく人間ドラマです。
組織で浮いた彼らの意地
2023/04/18 20:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マーブル - この投稿者のレビュー一覧を見る
妻を殺し自首してきた警察官。しかし、殺害後自首するまでの二日間の行動についてはまったく語らない。その秘密を巡る警察、検察、新聞記者、裁判官、刑務官の行動。意地。策略。暴走。義憤。誰しもが、絶対的な正義でも、善でもない。自らの立場を全うしようと時に組織に抗い、時に自分の人生と直面する。ヒーローでもなく、かと言って悪役でもない。プロがプロとしてしのぎを削り、渡り合う小説は好きだ。組織の中で浮き気味の彼らが、そのポジションで自らのやり方を通そうとする意地と、それに必ずしも成功しない様がリアルさが迫って来る。