最後に背負ったものは
2017/08/19 20:29
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
神に憑かれて しょうもない目に合う男の物語…途中までそうだった。最後の最後になって主人公は侍の時代の終焉を背負いこむ。本当はそれをすべき人が逃げ出したためにだ。侍の時代を美しく終わせるための覚悟を決めた主人公の姿は美しかった。
憑神による苦悩の中に見いだす限りある命を持つ人間の輝き
2009/12/24 19:03
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
<あらすじ>
江戸末期、御徒士組の別所彦四郎は不遇に喘いでいた。
別所家の次男である彦四郎は、より良い婿の口をと文武に精を出し、念願かなって三百俵の井上家へ婿入りしたものの、男子を授かったとたん祖父母小姑からのいびられ、やがて勤め不行き届にを理由に井上家を追い出されてしまった。
さらに出戻った別所家では兄や兄嫁に冷たくされ、同じく兄嫁にいびられていた母と離れで暮らしていた。
ある夜、彦四郎は眠れずに訪れた蕎麦屋の親爺から、旧知の榎本が三囲(みめぐり)稲荷を拝んで出世した話を聞いた。
冗談半分に聞いていた話だったが、川の土手下で朽ちかけた祠を見つけた。その名も三巡(みめぐり)稲荷。
字は違うが分社なら大助かりと彦四郎が手を合わせると、大店主人のような貫禄のある憑神が現れるようになった。
<感想>
元々不遇だった彦四郎は、次々に現れる憑神によってさらに不幸を被り、そのことによって悩み、苦しみ、考え抜くにことよって、最後には人間の命の輝きを見いだす物語。
裏表紙にある概要には「とことん運に見放されながらも懸命に生きる男の姿は、抱腹絶倒にして、やがては感涙必死」と書いてある。
しかし読み終えると、裏表紙の説明通りであるものの、ユーモアと懸命に生きる姿がうまく融合できずにバランスの欠いた作品のように思えた。
憑神と彦四郎たちのやりとりはユーモアそのもので軽快である。
それに比べ、彦四郎が苦悩し最終的に「輝き」を見いだす哲学的な重さが極端で、読み手の意識が重さと軽さを行ったり来たりしてしまう違和感を感じた。
また人物像が急に変わってしまう違和感も感じた。
読み始めでは、「より良い婿の口をと精をだした結果、文武に秀でたが、ついていない彦四郎」といったものだった。
しかし、読み進めるに従って、子どもの頃から「神童の天才」と言われた人物になっており、また武士道にこだわる彦四郎になっている。
彦四郎の兄も同様で、意気地が無く怠惰な性格だと思っていたら、御影鎧番が中身無き役目だと達観していたり、最後まで登場人物たちが生き生き動きだしはしなかった。
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浅田氏お得意の幕末の御徒を主役に据えた小説。
帯には抱腹絶倒にして感涙必至とありましたがそこまで面白くも無く感動も無かった。
まあニヤリとしたぐらいか。
それでも小説としては及第点以上だしそこそこ楽しめた。
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多分面白いと思うのですが、頭の中でつまぶ○くんが走り回り過ぎて思うように楽しめませんでした……イメージが合わなかったんです。残念無念です。北村薫が美しい日本語を書く人ならば、浅田氏は「情緒ある日本語を書く人」だと思うのです。大好きだ。
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妻夫木聡主演で映画化されますが、私としては2007年9月に新橋演舞場で中村橋之助主演で舞台化されるのが楽しみ。それはさておき幕末の時代が動こうとするとき、身分は低いなかで文武にすぐれた立派な侍が不運続きで少しでも身をたてようとうっかり拝んだのは災厄をもたらす稲荷だった……という設定が秀逸。この作家は「何かに殉じる」ことを筋にすることが多いけれど、これもそのひとつ。つい笑ってしまいつつ最後にほろっとさせるのはこの作家の巧さだが、あまりに立派なその覚悟が小市民な私には少し馴染めなくて★ひとつ減。専業主婦の母は「どんなに志が立派だろうが、自分のプライドのために妻子を養うことができない男は夫としては最低」と斬って捨てました。さすが、生活に根ざした言葉は強い。
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貧乏神と疫病神は他人に押し付けることにそう抵抗もなかったのに、最後の神だけは「武士道に反する」というのは少し乱暴かな。まぁでも全体的には良くできている作品です。徳川の世が終わる時代に、愚直に徳川家に忠誠を誓うのが彦四郎と時代の流れを見極めて身の振り方を決する多くの人々。その対比と、武士として、何のために生き、そして死にゆくかを考えさせつつも、ライトなノリで書き上げています。宮部もそうだけど歴史もののなかでも、やっぱり江戸の庶民の生活を描いた作品はいい。ラストは結構あついです。妻夫木くん主演で映画化されるとのことですが、彦四郎に妻夫木くんはちょっと若いんじゃないかなぁ。
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途中まで面白かったけれど、
ラストが好きじゃなかったです。
幕末&歴史好きな人にはたまらないのかもしれないですが、ワタシはファンタジー志向なので。
なんで、こうなるの?と唐突な展開に思えました。
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「人を呪わば〜」をしみじみ実感してしまう作品。ユーモアに溢れた子気味良い流れですが、個人的にはラストがちょーっっと格好良過ぎかなと。
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購入者:梅村 (2007.6.7)
喜劇要素が多く、落語のような小気味良いテンポで楽しく読めました。それでいて日本語の(忘れていた)奥深く美しい表現を見直せるあたりは流石大御所といった所です。ストーリーは派手さはありませんが、暖炉の灯のような、じんわりとした面白さは健在でした。
貸出:藤本 返却:藤本(2008.2.18)
幕末に生きたの一人の下級武士の生き様が描かれています。実際には存在しない神様なんかが登場してユーモラスに描かれていますが、最後は泣けます。さすが浅田次郎、これぞ「武士道」です。★★★★
貸出:矢北(2008.5.19)返却:(2008.6.2)
「武士道」。現代の感覚の中にいる自分には納得し難いものでしたが、大切なものを守り通そうとする主人公の姿は、とても素敵でした。
貸出:丸橋(2008.10.15)返却:(2008.11.20)8/12
登場人物それぞれに、人情たっぷり。
小説が面白かったので映画も観てみましたが、ちょっと残念な感じでした。
貸出:宇都宮(2009.12.10)返却:(2010.3.20)
おもしろかったです。古きものを守ろうとする気持ちがとてもかっこいいです。
貸出:滝口(2,010.5.10)返却:(2010.7.24)
古き日本らしくテンポよく面白く読みやすい本
貸出:吉田愛(2011.12.1)返却:(2011.12.9)
貧乏神、疫病神、死神…出てくる神様はとんでもない神様ばかりですがどうにも憎めない感じ。
これでもか、位に苦労する主人公ですが、その度に武士道、と何度も口にしてまっすぐ生き抜く姿勢が潔いと思いました。
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久々に感動した作品。
設定は漫画のようですが、斬新であり、文章も読みやすくまとまっています。
最後の最後まで終わりが読めず、どうオチをつけるのかわくわくして読みました。
映画のようなラストは必見。
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文武に秀で、忠義の心にも篤いにも関わらず出世の道からは遠く見放された下級武士の彦四郎と、彼がひょんな事から拝んでしまった稲荷から出てきた迷惑な“憑神”さまとの物語。次々に降掛る厄災に立ち向かう様は抱腹絶倒とまではいかないが、十分に面白い。物語の〆はあからさまに感動的ですらあるが、落とし方としてはそれでイイと思う。お勧めです。
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江戸ファンタジーなストーリーかと思って読み始めたが、最後は浅田次郎らしい終わり方。武士道を貫く主人公。こりゃ映画化の主人公選択ミスだな、と思った。(070809)
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時代物の小説は苦手だったけど、映画化されるのと浅田次郎ならってのがあって読んでみた。やっぱり読みにくかったし当時の人々の生活とか風習とかわかんないから曖昧なまま読み飛ばしたところもあるけど、おもしろかった。彦四郎がただの善人じゃなくて人間らしいところをちゃんと持ってて、でも周りに愛され助けられながら苦難に立ち向かっていく様に、最後ちょっとうるっときた。
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すばらしい人材を生かすも殺すもその人の生き様ってことでしょうか。
何を目的に生きていけばいいのかを考えさせられた。
愛らしい貧乏神・疫病神・死神のキャラクターがいきていた。
朝田次郎のほんはぽっぽや以来だから、ずいぶんと趣のちがう、あかるい印象をうけたよ。
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神様に憑かれた主人公。本当は文武両道なのに次男に生まれてしまったせいで家を継ぐこともできず不幸な彼。終わり方が本当に彼の幸せなのかはわからないけれど、涙が出そうになった。