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尊氏・義満・義教の真実を問い直す。
2015/08/24 23:55
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:historian - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本史ではあまり注目されることの少ない室町時代。確か大河ドラマになったのも2回ぐらいだろうか。しかし、そんな時代にもやはり日本人とは何かを知るネタは隠れている。足利尊氏が長期安定政権を築けなかったわけ。名作・太平記はなぜ書かれたのか。三代・義満は皇位を乗っ取ろうとしていた?現代にも通用する教訓が引き出される。
そして、ほとんどの日本人は知らないであろう6代将軍・足利義教。しかし、彼こそが織田信長の先駆者とも言うべき画期的な政策を次々に成し遂げた、剛腕で理想的な君主でもあった。彼の目指した物と最終的に暗殺された理由を読み解くことで、日本人が代々抱える深刻な問題をひもとける。
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重いな。鎌倉から室町への変革期、そして南北朝、太平記の時代。自分の中で抜け落ちていた部分にどんどん惹かれていく。鎌倉と室町に違いは何か?南北朝が現代に及ぼしている影響は?『天皇になろうとした将軍』と内容がかぶりまくるので少ししつこさを感じるが、この本のおかげで時代を俯瞰することができる。
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自分、足利将軍で知っているのは初代・尊氏、三代・義満、十五代・義昭の3人でした…恥ずかしながら。
5代将軍・義教を初めてこの本で知りました。そして衝撃を受けました。織田信長以上の魔王だった将軍・義教!!信長も秀吉も、家康でさえ天下統一事業は、足利義教の真似をしただけなんですねぇ。
こういう人物がいたと云う事を抹殺している教科書って何なんでしょう??
絶対的な権力を握らなければ、国の治安は維持できない。足利幕府は有力武家と対等の存在であり、決して徳川幕府のような絶対的権力を持っていなかった…それを改革し、足利幕府中心の国家を築こうとした義教の野望をとても興味深く読ませて貰いました。
そして3代将軍・義満の野望…天皇になろうとした将軍。
義満も、義教も目標達成寸前で死んでいる皮肉。
「その人にとって最高のチャンスは、最大のピンチでもある」
深い言葉です…。
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日本歴史学会に一言あり!な井元さんの逆説日本史シリーズ。50年も混乱が続いた南北朝時代。なのになぜ当時の記録史に太平記というタイトルがついたのか?天皇になろうとした将軍義満の政治家としての力量は?義務教育中の教科書にはほとんど触れられない将軍・義教。かれは信長より先に比叡山を焼き討ちし天魔王と恐れられた将軍だった!恥ずかしながら私も本書を読むまで知りませんでした。小説家が書く歴史ものはとても読みやすく面白いものです。
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新規購入ではなく、積読状態のもの。2007/11/17移動中の電車で読み始める。2008/2/9東京からの帰りの新幹線で読了。足利義教に対する考察が秀逸
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このシリーズ、好きなんだけどなかなか続きがでなくって待ち遠しい一冊なのです。文庫版以外ならもっと先まででているんですが、図書館で借りて読むだけじゃなくて持っておきたい本なので、文庫化されるまで待ってるんですよね。
この巻は室町幕府成立から、五代将軍義教(よしのり)までが描かれています。なんか尊氏と、義満は知ってるけどあとは知らないよ、っていう感じなんですが(私だけだろうけど笑)こうやって書いてもらうとなるほど、って思えるんだよね。(だいたい、高校の日本史の時間は内職タイムになってたからなぁ…高三の担任の教科、日本史だったんだけど…理系クラスなのに)
大人になってからいろいろと歴史モノなんか読むようになるのは皮肉なもんです(笑
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後醍醐天皇
足利尊氏
足利直義
足利義満
南北朝時代に真っ向勝負を挑んだ作品。
ちょっと重量感があるのが否めないけど、おもしろい!!
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怨霊、言霊、穢れから日本史を見据える《赤松正雄の読書録ブログ》
日本史をおさらいするうえで比類なき面白本をようやく見つけた。歴史の書というよりも歴史推理小説といった方がいいかもしれない。かねてからの「歴史通」や、今はやりの「歴女」には、何を今更と言われよう。このシリーズが世に出てもう10有余年も経っているのだから。しかし、恥ずかしながらその存在を私は知らなかった。井沢元彦『逆説の日本史』1~12である。未読の方は、まず文庫の第一巻を購入されることをおすすめしたい。
日本史を追う井沢さんのキーワードは、怨霊、言霊、穢れの三つ。彼はことごとくをこれで抑えていく。見事なまでに。彼にかかれば歴史学者は形無し。木っ端微塵にやっつけている。宗教の本来的な役割を知らずに、文献至上主義に陥ってることの弊害を事細かにまた繰り返し飽きもせずに説く。読んでる端から忘れがちな私のようなものには、まことにこれは助かる。しかし、この手法ではさぞかし正統な歴史学者や同業他者から嫌われよう。であるがゆえに、あまり世の中に評価されていないように思われるのは、著者ならずとも口惜しい。
近眼の人が寝ぼけ眼に顔を洗ってメガネをかけた時のように、ぼんやりしていた歴史絵巻が忽然と姿を現すのは嬉しい限り。というのは少々ほめすぎかも。だが、古代から中世にかけての日本人たちにとっての、様々なる神社仏閣の存在や「和歌」の持つ意味が判明するのは大きな収穫であった。軍事について現代日本人がとかく敬遠しがちなのは、何も戦後に始まったことではなく、古代からの歴史に根ざした伝統であることを知ったことも大きい。
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太平記と南北朝の謎
・足利幕府と南北朝Ⅰ
尊氏対後醍醐編―戦乱を招いた天皇絶対国家の理想
・『太平記』に関する小論編―巻二十二の欠落が暗示する作者の正 体
・足利幕府と南北朝Ⅱ
尊氏対直義編―幕府政治の確立を遅らせた兄弟ゲンカ
・足利幕府と南北朝Ⅲ
「日本国王」足利義満の野望編―「天皇家乗っ取り」直前の不可解 な死
・「恐怖の魔王」足利義教編―「くじ引き将軍」が目指した絶対権力
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あまり強くない南北朝と室町幕府前期についての知識を埋めるために読みました。予想以上に面白い。なにより、足利義満の天皇簒奪の狙いなど、教科書には書かれていないと思われる事項が多数あり、かつ読みやすい。
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学校教育では、いささか影の薄い印象がある室町幕府。
本巻では、天皇の後継者問題から発展した南北朝の混乱を、足利家を“議長”とする武装一族が、どのように収拾をつけたかを解説している。
その過程で、権威はあるが武力(軍事力)を有しない、世界的に見て奇妙な体制である天皇制に挑み、史上初、天皇そのものになろうとした義満や、寺社勢力、鎌倉公方、南朝九州亡命政府などの巨大勢力に立ち向かい、あらゆる手でもって、それらを瓦解させた、くじ引きで選ばれるという数奇な運命を辿った義教の姿が生き生きと描かれる。
信長の原型は、室町幕府にあった。
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太平記~足利将軍家は、ボクの歴史知識から欠落してる部分なので、勉強になった。天皇になろうとした将軍 義満の下りは面白い。井沢さんの別著にあるのは知ってはいたが、未読なため内容は知らなかったが納得した。この人のことが歴史的に大きく取り上げられていないのは不思議。
さて、もう一つ目から鱗だったのは、「天下分け目の関ヶ原」。関ヶ原といえば、一般的には1600年の石田と徳川の戦いなんだけど、実際には日本史上3度、天下分け目の戦いが行われているらしい。一回目が壬申の乱、二回目が南北朝の決戦たる「青野が原の戦い」、そしていわゆる関ヶ原。戦術上重要な地形というのはあるものだ。
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どちらかというとわかりにくい室町時代の流れがよくわかる。優柔不断ゆえに強い幕府ができなかった尊氏、天皇になろうとした義満、信長の先駆けともいえる義教など。
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1300年代初頭から1400年代中盤にかけての室町時代前期、南北朝時代についての巻である。
太平記のタイトルに込められた作者の後醍醐に対する批判や、22巻を境に作者と思想が変わっていただろうとする井沢氏の持論には説得力がある。
足利義教が目指した権力集中政策(恐怖政治)については、本書で初めて知った。歴史教育の中でもっと協調されてよい事柄である。
目次
第1章 尊氏対後醍醐編
第2章 「太平記」に関する小論編
第3章 尊氏対直義編
第4章 「日本国王」足利義満の野望編
第5章 「恐怖の魔王」足利義教編
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KiKi の日本史の知識の中でもっとも欠落しているのが「大正以降の近現代史」なんですけど、それに次ぐ欠落度合の激しい時代がこの室町時代です。(まあ古代史も必ずしも親しいわけじゃないんですけど・・・・ ^^;) 王朝文化華やかな平安時代と鎌倉時代では価値観から中心の場所まで大転換があったという意味で印象的だったし、織田信長という時代精神へのチャレンジャーもやっぱり印象的なわけだけど、足利政権っていうヤツはとかく影が薄い・・・・・というか、鎌倉幕府の延長線上にある覇者が変わっただけの政権っていう印象なんですよね。
もちろん、京都観光の目玉である「金閣・銀閣」もこの時代だし、私たちが「純日本風」という言葉でイメージするあれこれの出発点がこの時代にあることは百も承知で、そういう意味では「文化史」的には興味深い時代だとは思ってきたけれど、政治史・経済史という観点に立った時、何となくぱっとしない時代だなぁ・・・・・と思っていたようなところがあります。
何となくぱっとしないから興味を惹かないし、興味を惹かないから益々知らないまんま状態が放置されてしまいます。 又、戦後教育を受けてきた KiKi にとって皇統図っていうヤツはどちらかというと「知らなくても困らないこと」という範疇に入る知識だったように感じていたせいもあって、この時代のキーワードの1つ「南北朝の分裂」というヤツも単語としては知っていたし、その後の「南北朝合一」というヤツも単語としては知っていたけれど、これらの事件がどういうことだったのか?に関してはあんまり真剣に考えてみたことがありませんでした。 否、考察してみようと思ったことさえありませんでした。
今回、この「逆説の日本史 第7巻」を読んでみて初めて、「これってひょっとしたら日本の歴史においてはかなり重大な時代だったのかもしれない」と感じた・・・・・というだけでも、この読書は KiKi にとって有益だったように思います。 正直なところ、これまで KiKi は南北朝分裂も南北朝合一も「天皇家」のゴタゴタであって、一般 People の生活にはまったく関係のない、政党内の派閥争いと大差ない出来事ぐらいの認識しかしていなかったようなところがありましたから・・・・・。
まあ、このシリーズに書かれている仮説に関しては「なるほど、そういう見方もできるのか?」と思うことはあっても「そうだったのか!」とまでは感じたことのない(要するにどこか丸々信用することには躊躇いを感じる) KiKi なので、敢えてここでどんなことが書かれていたか?を参照する気はないんだけど、自分なりにもっと色々調べてみたいなぁと感じたことだけは事実です。
この巻でもっとも印象に残ったのは 第5章: 「恐怖の魔王」足利義教(よしのり)編 で、足利将軍の中では初代尊氏、第3代義満、第8代義政、第15代義昭ぐらいしか記憶に残っていない KiKi にとってこの第6代義教という方に関しては正直な所名前さえ知らなかった・・・・と言っても過言ではないわけで、井沢氏のこの人物の評価が妥当なのか否かはともかく、彼が達成した業績に関しては一度別の書物でも確認してみたいなぁと感じました。
そしてもう一つ、極めて印象的だったのが、「天下分け目の関ヶ原」という言葉に関しての記述です。 関ヶ原といえば、一般的には石田三成の西軍と徳川家康の東軍の戦いのイメージだと思うんだけど、実際には日本史上に3度、この場所で天下分け目の戦いが行われている・・・・・とのこと。 因みにその一回目が壬申の乱、二回目が南北朝の決戦たる「青野が原の戦い」、そして三回目が我々がよく知るいわゆる「関ヶ原の戦い」なのだそうです。 KiKi にとっては関ヶ原と言えば、家康勝利のあの関ヶ原か、そうでなければ冬場の東海道新幹線を遅らせる(豪雪のため)場所という印象しかなかっただけに、これはちょっとした驚きでした。 (もっとも、Wikipediaによれば、青野が原の戦いが行われた場所は大垣みたいだけど・・・・・ ^^;)
さて、次は応仁の乱・・・・かな??