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少しずつ日常が崩れていく恐怖
2019/07/28 23:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近では小野不由美等も書くようになったモキュメンタリーの形式である。
地図に当たることで、大まかな地理は特定が可能だ。
埼玉・東京の一地方で生まれ育った方には「位牌山」なる名をお聞きになったことのある方もおられるかもしれない。
きっかけは、誰かが言い出した肝試し。その後も関係した人が徐々に狂い始めていく。
どの出来事も特段説明するほどではなく、むしろ怪異だの心霊だのを結びつけて説明する方が難しい。だが事象同士をつなげて俯瞰すれば明らかに「おかしい」。
この変遷の過程と移り変わりを実に丁寧に書いている。日常が壊れていく、しかしそのおかしさが一言では表現できない、その様が実に怖い。
最後の旅の朝、彼らとその勤務先の荒廃ぶりが描写されている。
その荒み方もそうだが、荒んでいることすら自覚できない当事者の摩耗ぶりには、戦慄を覚えるばかり。
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投稿者:たま - この投稿者のレビュー一覧を見る
するっと読めてしまうホラー。読めているのか、山に読まされているのか……これ本当にあった話って嘘だよね!誰か嘘だと言って!怖ぇよぉ…お化けや異形が出てくる訳ではないけれど、日常が、人が少しずつ壊されていくのが怖くて怖くて怖くて。心霊スポットとか絶対行かないって心に誓う一冊
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山から物は持ってきちゃいけないよ
2020/10/28 18:32
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投稿者:KeiM - この投稿者のレビュー一覧を見る
山にあるものは山に置いておきましょうね。
山から物を持ってきちゃいけないよ。
それが怖い山だとしたら。
祝いの文字がついているから、山に救われる話だと思うでしょう。
加門七海さんで怪談をいくつか読んだことがあるけれど、これなら大丈夫かもしれない、と思うでしょう。
思いこんだ自分を見返りましょう。
自己責任です。
肝試しの話を執筆中の女性作家の一人称話。
友人からネットで話題のミステリィスポットに行った、という話が来る。
その話がしたいから一度会いたい、一緒に会った人も作家の本を読んだことがあるし、興味津々です。会おう、といったノリ。
記は進まないのだけれど、事の成り行きで会いに行ってしまう。
そして、ずぶずぶと訪れた廃墟の背景に、引きずり込まれている。
変わってしまった友達、
ノリばかりよい男性。
心霊写真が撮れたことに舞い上がり、廃墟にリピーターとなるバイク乗り、
霊感ありの自覚のない、みんなと違うものを見ている女のコ。
そして筆者まがいの作家女性。
実話?
作り話?
どことどこがホントなの?
ひきずりこまれるように読み進める。
真夜中の山の中、エスニックな店の風景、登場人物たちの肉感。
どもれ本物の作家の筆力を感じながら世界に入りこみ、列車の駅の雰囲気も実体験さながらに味わえる。
そして最後に作者の註がはいる。場所も登場人物の名前も性別も、すべて変えてあります。
やっぱり作者の実話が入ってる? 店長は女? 霊感人間は男性?女性? 話を持ち込んできたのは本当は誰で、どんな経緯だったの?
知らなくていいところまで想像力が炸裂し、脳内再読してしまう。
本を閉じてつくふく思う。神社は厳かに参りましょう。
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祟りもの。
ありそうで怖い話だった。
表紙も、読みながら見ると、
こわー。
カバーを付けて読んでいたので、
読了後に表紙を見ておぉ〜っと思った。
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特に怖い描写があるわけでもないし、主人公は巻き込まれただけなんだけど妙に怖い。なんだろこの雰囲気。これはもしかしてノンフィクに分類すべきかも。
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久しぶりに
背筋が寒く(お化け屋敷や心霊番組はこっち)なるのではなく
ふと内容思い出して、日中人気の無い道を独り歩いているとゆるゆる恐怖がやってくる…
みたいな
驚かせてビックリした拍子に心拍数が上がるのではなくて
気づいたら、引き返せない所に立っていて
今その事に気がついた
そんな気分になった一冊
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加門さんの小説の中でこの本が一番今も心に残るというか・・・
怖いなぁと。祝山の本当に意味を知ったそのとき・・・ふるえた。
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フィクション?ノンフィクション?
湿度の高い嫌〜な感じのする一冊。
血が出たりとかは全くないのに、怖かった。
おめでたいタイトルなのに表紙のしっとりとした怖さ。
しかしタイトルはまったくめでたくはなかったのだ。
それを知ったとき心底ぞぞぞ〜っとした。
真夏の晩に静かな田舎で虫の声などをBGMに、一人ゆっくり頁をめくるとさらに恐怖が倍増すると思う。
って私は絶対にやらないけど。
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「実体験を元に」とあるとこまでが演出なのか三津田読んでる頭では判断が…というのはおいといて、いい大人の肝試しストーリー。割とこう「そういう知人いますね。友人じゃなくて、知人。」というレベルの自称霊感系が雁首揃え過ぎて、これも障りなのか素なのか区別できずに困る主人公がある意味リアルだ…。どっちにしても関わらない方がいい物件ですが。
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スゴーク怖いです。
加門さん!! こわいです!!
「肝試しに行って来ました。」
ある日忘れかけていた古い友人からメールが届く
オカルトスポットがあまりにも怖かったので帰りにお参りもしてきたのに なんか変なんです。写真も送りますね。
と・・・・。それが・・・・あぁ〜〜〜。
最後まで ひぇ〜〜。 怖い本でした。
実話って・・・本当なんですか(*−*)
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山つながりで。なんというか、この人の書くものは生理的に怖い。うまい下手以前にとにかくそこには近づきたくない、というイヤな感じのツボを刺激してくれるので忘れられません。ああ嫌だ。荒れ果てた座敷を突き破って生える藪の向こうの黒い仏壇。・・・嫌すぎる。
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実話怪談を元にした(?)小説。
リアルで怖いです。きもだめしはやっぱりやっちゃイカン!
でもなんか好きで、何回も読んでしまいます。
作者名デフォ→鹿角南
がわかりやすくてヨシ(笑)。
これでおそらく実話系と判断して買いました(笑)。
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実話恐怖をもとにしたホラーってことで……個人的に嫌な感じありあり。リアルな恐怖感だということなんでしょうか。始終嫌ーな感じの付きまとう作品です。
最初はタイトルがホラーっぽくないぞ?と思ったのですが。その意味が判明してからはもう禍々しくって! 心霊写真とか想像するだけで鳥肌ものです。
しかし。一番怖いのは、人間の変容だな。身近な人が徐々に異形に変わっていく、その過程がとんでもなく怖いです。
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「著者の実体験を下敷きにした」とあるが、内容がどこまで実際にあったことなのか、それは読者の知るところではないし、知る必要もないのだろう。面白半分に廃墟巡りや肝試しに出かけていく人間に対し、著者が抱く嫌悪感と危機感には頷けるものがある。
世の中には立ち入るべきでない場所、触れるべきではないものが確実に存在しているということか。
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加門七海の実体験を元にした、リアルホラー。
肝試しにいった一行に、不可思議な現象が起こり始める。それを相談されたホラー作家は、いつの間にか巻き込まれている。
ひぇええってような部分はありません。
でも、ぞくっとくる。
肝試し以降、精神のバランスを崩したように見える女性や、変なことが起こってるのに無頓着な男性や、やっぱ、一番怖いのは人間だよね、と思いつつ、通奏低音のように超常現象への恐怖が鳴っている。
リアルホラーの文句に間違いなし、ってところでしょうか。
一番怖い存在なのは、主人公であるホラー作家だと、私は感じたんですけど、いかがなものなんでしょ。
しかし、どうして肝試しなんか行っちゃうかなぁ。
これだけ、様々なメディアや物事が「行くとよくない」と訴えてるのに。怖いもの見たさ、っていうなら、ホラー映画で見ればよろしい。好奇心猫を殺す、っていうのは本当なんだよ。