紙の本
定義の問題
2009/01/06 10:47
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
数学者天王寺翔蔵が終の庵と定めた三ツ星館。天空に輝くオリオン座を模したこの館で、二人の死体が発見される。一人は昨夜、翔蔵博士が消して見せたオリオン像の下で、もう一人は寝室の床上で。翔蔵博士の出題と、殺人事件との間にはどのような関係があるのか、あるいはないのか。
シリーズ3作目。しかし、執筆順で行くと2作目であり、「すべてがFになる」よりも前の作品。このことから、本作はデビュー作の習作という見方も出来るかもしれない。しかし、デビュー作とは異なり、トリックは伝統的なもの。ただ、殺人の動機が不定のまま残るという構造は、ほぼ同じと言えるだろう。何となくだが、シリーズを通して描きたいことが見えてきたような気もする。
紙の本
メイン・トリックは別にある
2003/05/02 16:18
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投稿者:さとみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
密室トリックは比較的簡単なものだが、その簡単さが目くらましになっており、全編通してのメイン・トリックが根底にある。そういったストーリーの組み立て方がしゃれていて、シリーズ中では上位を占めるほど好きだ。
表面上の謎解きが好きなミステリーファンには退屈なものかもしれないが、じっくりと「本を読む」ことができる人なら、きっと、このストーリー中に隠された謎の存在に興味を駆り立てられるに違いない。
最後に死んでいたのは、いったい誰なのか?
最後に少女と話したのは、いったい誰なのか?
作品中では、はっきりと明かされない。森博嗣風に言えば、問わないものには、わからない。
紙の本
私は結構好きでしたが
2018/11/19 18:37
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投稿者:つきたまご - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は、評価が結構分かれてしまう作品だと思います。なぜかというと、他の方も言われているように、トリックに瞬時に気づいてしまう方が多いからです。かく言う私も、序盤でトリックはわかってしまいました。なので、ミステリを普段から読みまくっていて、「派手な殺人トリックの謎解きこそが楽しい」という方からの評価は低いのかもしれません。
しかし、この本は森博嗣さんらしいというか、メインとなっている謎解き以外の物語部分のところでも考えさせる事がちりばめられていて、私は結構好きでした。
また、気になる余韻を残していますし、何かあるやろ!と気になって仕方ない部分があります。これこそ、森博嗣って感じではないでしょうか。
とりあえず、萌絵はいつもかわいいです。
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天才数学者、天王寺翔蔵博士が三ツ星館で行われたパーティーで、庭にあるオリオン像を消し去った。その翌日、二つの死体が発見される。 招待されていた犀川と西之園が真相を探る。
天王寺博士の出した問題「神のトリック」が、事件解決のポイント。 でも、その謎はすぐに解けてしまったので、面白さが半減してしまった。TVなどでよく見かけるトリックだったからなぁ。 とはいえ、天王寺博士の存在感はすごいものがあって(笑)別の意味で面白かった。
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このシリーズの特徴通り、数学的発想に徹した推理小説だったけれども、この作品の中の数学的なたとえ話や、問題は、面白い内容が多くて、とても良かった。それほど複雑ではないし、今まで読んだ中では、この話しがシリーズ中で一番面白いと思う。
「一日なさざれば、一日食らわず」
「それ、同じじゃありません?」
「違うね。これも集合論だ。ド・モルガンの法則かな。」(p.30)
もし、教育というものが概念として存在するとすれば、たぶん、片山基生が和樹に与えたものが、それだろう、と犀川は理解したので、理想的だと表現したのである。人間は自分の生き様を見せること以外に、他人に教えることなど、何もないのだ。(p.193)
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犀川&萌絵シリーズ。相変わらず萌絵のお嬢様っぷりに、気分を悪くしてみたりして…。でも、面白いのは面白いんだよね。かといって、トリックに納得するわけでも、話のオチに頷くわけでもない。勿論、数学論理みたいなところで感心してるわけでもない。一体、何が面白いのかよくわからないところが、面白いのか??
ともあれ、これのトリックはちょっと無理矢理だったね。
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コンクリートの地面から巨大なブロンズ像が消えてしまったりまた現れたりという謎に関しては、僕自身はあっさりとトリックがわかってしまった。エラリー・クイーンの作品で、同じようなものがあったと思う。道具立ては、かなりこちらの方が派手であるけれども。
ただ、それでこの作品がつまらなくなったかというと、そんなことは全くなかった。舞台である屋敷がとても魅力的で、こんな建物があるのなら見てみたいと思ったせいもある。でもそれ以上に、探偵役をつとめる二人がステキで、こちらの心にするっと入ってくるキャラクター設定であった。特にヒロインはとてもかわいい。なんかその「かわいい」って感じること自体が、自分の年齢を反映しているような気がしてちょっと嫌な気持ちにはなったが。それくらい魅力を感じてしまった。
ミステリとしてどうかというより、探偵役の魅力だけで読破したいシリーズである。
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バイトで本を読む機会に欠いていたので、かなり久しぶりの書評になる。夏期休業後半はいろいろ読めることを期待する。と言うか、バイトが終わって暇で暇で仕方がない。大学の友達は実家に帰って金沢に居ないし、一人で部屋に籠もって本を読んだり書いたり、電話したりするぐらいしか楽しみがないのはどうしたことか。
いつから主人公が入れ替わったのだろう。やる気のない天才探偵役の犀川センセが主人公だったはずなのに、その仕事は進行役の西之園萌絵に移ったのはどうも面白くない。いや、好奇心旺盛なお嬢様もいいが、そんなものより森博嗣の魅力は犀川の様な天才だと思うので、西之園萌絵が活躍するのは見てて面白くない。だが、犀川センセはお話を進行させないから仕方がないのか。
森博嗣のトリックは健在なのであるが、それについては触れるのが面倒なので止める。
それにしても、分母分子をスラッシュしていって、素敵なイーコールの式を組み立てたときの快感は忘れがたい。その辺の話が書いてあったのが理系として共感してしまう。計算とは、条件式で縛っていっていく行動だと思う。文系にはこの感覚は一生判りまい、理系だけが持つ独特な快感だ。その時理系は『解けた!』と叫ぶ。
そんな理系本能を呼び覚ましてくれるミステリー小説森博嗣。文系の皆さんが読んで面白いのかいつも疑問なのだが、その辺どうなんだろう?
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実質の第2作目。これ、副題の「MATHEMATICAL GOODBYE」が何とも言えずかっこいい。シリーズの中では一番トリックが分かりやすい。天才数学者と犀川の掛け合いが興味深い。
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S&Mシリーズの(出版順からして)2作目がどこの本屋へ行っても見付からないので、(出版順で)3作目を先に読んでしまった。でもそれほど気にならず読める。まず、タイトルがカッコいい。洋題の方がとくに。途中、萌絵の子供っぽさにイライラしたのだけど、そういう子供っぽさと現実味のない役柄をしている彼女がいてこそ成立するシリーズだしなぁ。犀川と天王寺博士のラストのやりとりは、禅寺の禅問答みたい。とても宗教的でシンプルで幻想的。ミステリーとしては明快に解決できないことがなんとも言えない余韻を残す本。
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シリーズ第3作目。
タイトルが非常に綺麗です。
作品に出てくるような館が実在したら、是非行ってみたい。
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今回も日常を超越した天才天王寺博士が登場する。しかし、真賀田四季には及ばないか。本書の魅力は本編のミステリよりも作中の数学的思考、提出された数学的問題にあると思う。結末については様々な解釈が可能であるだろうが、題名の笑わない数学者から鑑みるに少なくとも天王寺博士ではないと思う。そして、内と外にこだわりを持ってる点から片山基生が最後に残った男だと私は思う。安易に考えすぎか。まあそんなことはトゥリビアル(些末)なことだがちょっと我々文系人間では事件を再現し得ないものだと思う。登場人物が魅力的。犀川の姿勢に作者森の思考をうかがい知る事ができる。「役に立たないもののほうが楽しいじゃないか…最も役に立たないということが、数学が一番人間的で純粋な学問である証拠です。人間だけが役に立たない事を考えるんですからね」う〜ん、なるほど。
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天才数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」が舞台のミステリーです。犀川助教授と西之園萌招かれたパーティの席で博士は大きなオリオン像を消して見せます。翌朝、オリオン像と共に2つの死体が発見されます。途中で博士が出題する数学パズルが面白いです。やや、哲学的な内容になっております。
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この作者の作品にも慣れてきたのか、今回すらすら読めました。内と外、定義の仕方など、数学的で哲学的な考えが読んでいておもしろかったです。
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S&Mシリーズ第3弾。前作から半年後の話です。
・あらすじ
偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を消してみせた。一夜あけて、再びオリオン像が現れた時、2つの死体が発見され…。犀川助教授と西之園萌絵の理系師弟コンビが館の謎と殺人事件の真相を探る。
事件の謎とは別に今作で、大きなウェイトを占めるのがオリオン像消失の謎。殺人事件と消失の謎どちらも重要な役割をしています。
なぜ、殺人が起こったのか?
なぜ、オリオン像は消えたのか?
さらにもうS&Mシリーズも3作目ということで、人間関係にも結構クローズアップしています、犀川のことが好きな萌絵のお嬢様らしい行動に微笑を覚えます。
作中で、数学の問題を出されるシーンがあるのですが、これを熱心に解いているファンもいるみたいですね。
わしは脳のキャパシティーをオーバーしているので、早々にあきらめましたが。