紙の本
失踪の真相と裏側。
2009/06/27 01:35
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
職場仲間に何気なくポンと手渡されて「これ、ずっと好きな本で何度も読み返してる」って勧められて読んだ一冊。佐藤正午…私にはこれまで縁の無かった作家だなとまずは認識した。私は結構カバーの裏側にあるあらすじを読んで物語のおおまかな流れを把握したりする。リンゴを買って戻るはずだった恋人の消息が絶えるというのが印象的だった。何が起こったのだろう、と。
第一に印象として受けたのは、端的に言ってちょっともったいぶっていて、物語そのものの進行がじらされているような感覚だった。現在から過去を振り返って微かに後悔の念を読者に感じさせるような、そんな印象。だけどその後からの物語の展開はとんとん拍子のようでもあり、少しばかり立ち止まって、また駆け出すよう。主人公ならではの推理と周囲の言動が進行していく。最後の最後まで、事の真相が明かされないし、それが予測できない点は面白い点だったと言えると思う。
見事に消息をつかめない状況で、主人公は葛藤し、恋人である南雲みはるの実の姉に偶然出会い、その行方を追っていく。まずは警察に失踪届けを出すという案に達し、足を運ぶが何も得られずにすごすごと退散。だけど、警察官ならではの視点から助言されたことを気にかけ始めた主人公は、恋人が消えた夜から自身の出張で北海道へ赴いた日の朝へと思いをめぐらし、微々たる部屋の中の変化に気付く。そうしながら、リンゴを買いに行ったはずのコンビニへと出向き、そこからあの夜起こった事への糸口が見つかる。
一期一会とはよくいったもので、生きていれば本当に「あの頃ああしていれば結果は随分と変わっていたはずだ」と後悔したりすることもままある事だと思う。主人公にとってもそれは例外ではなく、あの時鳴っていた電話に出ていれば…便を変更していれば…そもそもリンゴを頼んだりしなければ…あの妙な名前のカクテルを飲みさえしなければ…数え上げたら限が無い。後悔しながらも南雲みはるの行方を追い続ける。
最終的には主人公は事の真相を聞く機会を得るが、そこで思ったことは主人公の視点からでは分からなかった事が裏側で確かに大いなる影響を及ぼしていたということ。知らぬが仏、ということもあるなと実感が湧いた。けれど、本書に関しては様々な事の影響があっただろうけれど、結局のところ個々が自らの意思で動き、結果が出たということだ。
初めて触れた作家だったけれど、終始楽しく読み進める事ができた。
職場仲間のように何度も何度も読み返したい、という気持ちまでには至らなかったけれど、佐藤正午の他の書籍にも手を伸ばしてみたいと思う。
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おもしろかった。これからどうなるの・・、とどきどきした。
でも私がこの、失踪した女性だったら、こんな状況の時こういう行動をとるかな・・・?
そう思ったら疑問がわいた。
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謎めいたストーリー。もしあの時、ああしていなければ、こういう行動をとっていれば…あれ?なんか「Y」とそっくりだなぁ。ただ、こちらの作品はより自分達の暮らす現実世界に近い。過去への干渉は不可能。つまり、後悔をすることしか出来ないのだ。そのためか…かなり感情移入してしまった。
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「いちばん好きな人のことが、いちばんわからない。」
キッカケは「買い忘れたリンゴ」
コンビニに出掛けたまま姿を消してしまった彼女を、わずかな手がかりを元に行方を探す三谷。
「一杯のカクテルが時には人の運命を変えることもある。しかも皮肉なことに、カクテルを飲んだ本人ではなく、そばにいる人のほうの運命を大きく変えてしまう。」
そんな書き出しから始まるこの作品、何故失踪したのか?一気に解決したくて読ませてしまう勢いがある。映画化され、原田泰造さんが三谷役を演じています。
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前から読んでみたかった作家の一人だが、なかなか。ノーボーダーというか切り口や楽しみ方がたくさんというか、解説によると他の作品もそんな感じらしい。ちょっとトレンディすぎる感じも受けるけど、幅広く共感を得られるんじゃないでしょうか。
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佐藤 正午さんの作品に初めて手を出しました。自分が読むにはちょっと若すぎたか、主人公の三谷に感情移入がうまくできませんでした。っていうか、この男の行動力は凄いな。
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何を思ったか、買った。
ぶっちゃけ面白くない。
ただ書いて見たくなって書いた。そんな本な感じがする。
やたらと説明文が多く、無駄なシーンが多く、どうでもいい事まで事細かに書くから、何か自分で想像するところまで犯されて、こういうふうに思い込めよ、こういう景色だから間違って他の景色を思い浮かべるなよ!って感じがする。
とにかくストーリーも特に面白いわけでもなく、読みやすいわけでもなく、主人公に共感する事もなく、ただ早く読み終わるのを待つだけだった。
がっかり。な作品でした。
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オチが想像していたほど驚けなかったのであまり印象はよくない。途中で答え欲しさに読むペースを上げたり、期待から結末に壮大なものを勝手に考えていたことが原因かもしれない。
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その夜、「僕」は、奇妙な名前の強烈なカクテルを飲んだ。ガールフレンドの南雲みはるは、酩酊した「僕」を自分のアパートに残したまま、明日の朝食のリンゴを買いに出かけた。「五分で戻ってくるわ」と笑顔を見せて。しかし、彼女はそのまま姿を消してしまった。「僕」は、わずかな手がかりを元に行方を探し始めた。失踪をテーマに現代女性の「意志」を描き、絶賛を呼んだ傑作。※結末に、空しいようななんとも言えない気持ちになったけど、なかなか面白かった。
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優柔不断で平凡な男、その男の大切な人が突然彼の前から失踪した。彼女を探すうちに見えてくる物は? 人は2つの道は歩けない、その道を選んでいるのは自分、なのか?って話なのだけど・・・・・選んでるつもりは無くともやっぱり自分で選んでいるんだ、それがわかるのが何年後であっても〜 映画化されてるらしい、その男の役は私のスキな「原田泰三」なのでちょっと見てみたい
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失踪した彼女を探す話です。
ガンガン探すのかと思ったら。そうでもなくいい意味で適当なある意味これが人間らしいのかな?これもなかなか面白かったっす
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主人公の男性のうっとうしいまでの論理的思考も恋心にはまったく通用していないのが女性的には失笑モノ。失踪する女性に共感を感じる。
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原田泰三が主演したと知って、興味が湧いたので読んでみんとす。
始めは、主人公に非はないのに事が起こったのかと思っていたのだが・・・
要するにお前が馬鹿だったんだろ。ってことですね。
それに比べて、彼女のなんと逞しいことかっ・・・!
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SF系かと思いきや…
最後は男女関係のもつれ??
ちょっと驚きのクライマックス。
でもリンゴ買いに行った女性が消えてしまうってストーリーはゾクゾク♪
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久しぶりのサスペンス
すっかり私も翻弄されてすっかり結末裏切られちゃってました
まだまだこういう豊かな創造性を生み出す力は私には足りないみたい
最後になってやっとこ私も彼女(南雲)の気持ちがわかって
ちょっと切なかったな
男の過信と優柔不断にはこまったものです
やっぱり運命って自分が選択したことの積み重ねで産まれる産物なんだなと思う。
決して偶発的ではないような気がする
なんてまだまだわからないことだらけなんですけど
サスペンスが久しぶりだったのもあるかもしれないけれど
面白かったです