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紙の本
奥田英朗、女性説
2009/01/26 13:27
20人中、20人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カフェイン中毒 - この投稿者のレビュー一覧を見る
3年前の単行本の書評を覗いてみたら、なんとほとんどの方が★5つをつけていました。
わかります、その気持ち。
当時、書評こそ書いていませんでしたが、読んだ瞬間「上手い!」って思いましたもん。
「すごく好き!」って。
文庫化されたものが書店に並び始め、ポップや帯にも、女性向けらしきコピーが書かれています。
すべての女性が自分のことかと思うくらいに共感できる…らしい。
じつは「すべての」とか「女性」とか「共感」とか、
小説を選ぶときに、私がなるべく避けているキーワードがてんこ盛りでした。
ターゲットを絞ったあおり文句つけられちゃって、さみしいなあという心境。
べつに間違っちゃいないと思うのですが、もったいない気がしてしまいます。
これはそういうのを避けがちな人(当然男性も)が読んでも楽しめる、一級の娯楽作品だと思うから。
女性管理職に抜擢され、年上の男性の部下との折り合いに四苦八苦したり、
マンション購入を考え、恋するようにのめり込んだり、
年齢関係なく着飾って、いつまでも若づくりしつつも、だんだん心細くなっていく微妙な年齢を嘆いたり、
ひと回り年下の新人の男の子にドキドキして、他の女性をけん制したり。
経験があってもなくても、そのときどきの気持ちは痛いほどにわかる気がする、そういう巧みな物語ばかりです。
手垢のついた言い回しかもしれませんが、奥田英朗は人間を本当によく見ているのだと思います。
見て、自分に置き換えて想像するとき、
そこには男女の性差すらなくなっているのかと感心してしまうくらいに。
男性作家の描く女性というのは、どうもピントがずれていることが多く、
物語の中でそこそこうまく息づいていればまあいいか……という諦めみたいなものを生んでしまうのですが、
奥田英朗の描く女性は、そのあたりの違和感がまったくと言っていいほどありません。
なかでもこの『ガール』は、全編女性が主人公、脇役も女性が圧倒的に多いのに、
身につけるものから、咄嗟の行動、妙齢の女性が持つ複雑な心境、ささやかな見栄……と、
奥田英朗がじつは女だと言われても、「あ、やっぱり」と納得するくらい的確に描かれています。
いろんなタイプの女性が出てくるし、当然自分とはかけ離れたタイプもいるのに、
ひとつひとつのディテールがしっかりしているせいか、
「えっと、どこかで見たことがあるような……」という気持ちになります。
ああ、そうか。
やっぱり「すべての」「女性」が「共感」できるようになっているんだ。
もちろんそれ以外の人にもオススメです。
とにかく爽快で、読後感もとても良いことを保証します。
紙の本
頑張っている女性たちにエールを贈る一冊
2011/10/21 22:06
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:チャミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
30代半ばのキャリアガールたちに読んで欲しい一冊。男性部下の扱いに困る聖子、結婚願望は抱きつつマンション購入に走るゆかり、いつまでもガールでいられない現実を意識する由紀子、シングルマザーとして仕事と育児の両立で苦しむ孝子、若いイケメンの後輩に淡い恋心を抱く容子。5人のキャリア女性たちのそれぞれの苦悩と葛藤を爽快に描かれていて、とても面白い。あまりにも自分と共通する部分が多いな~と思って執筆された時期を見てみたら、そのころ、主人公の女性たちと同年齢だった。バブルを懐かしむ気持ちや華やかさを好む性格はこの時期に生きた女性たちなら誰でも共感できるはず。
それにしても、作者・奥田英朗は男性なのに、どうしてこんなにも繊細な女心を巧みに描けるのだろうと不思議に思う。女同士の心の駆け引き、シングルマザーという錦の御旗を出してしまった時の居心地の悪さ、ファッションと年齢のジレンマなどなど、読んでいてうんうんとうなずけるシーンが多々。物語の最後は、ハッピーエンドというよりも、いろんな苦労を抱えて、年齢を重ねて、一歩一歩成長していく女性って素敵と思える結末に。今、ちょっと足踏みをしている30代半ばの女性たちの背中を押してくれる特効薬になりそうな本です。
紙の本
30代の働く女性たちのそれぞれの悩み
2017/03/15 07:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
久々に奥田英朗氏の作品。この『ガール』は30代の、日本的な意味で「旬を過ぎた」働く女性を主人公にした短編集です。既婚・子供なし、独身・彼氏なし、バツイチ・子どもあり、独身・彼氏なし。と立場はそれぞれ違いますが、もはや「若い子」「女の子」扱いはされない、会社でも中堅、でもまだ40-50代のおばちゃんたちほど図々しくなれない、若い子たちを見てうらやましく思い、自分の現在と将来に不安を感じて、様々なそれぞれの葛藤に揺れる彼女たちのストーリーがユーモアたっぷりに展開していきます。
収録作品は「ヒロくん」、「マンション」、「ガール」、「ワーキング・マザー」、「ひと回り」の5編。共通のメッセージみたいなものは強いて言えば「人生人それぞれでいいんだよ」ではないでしょうか。どの話もそれなりのハッピーエンドで終わっていますが、客観的に見た彼女たちの状況にはほとんど変化が無いのも特徴的だと思います。
電子書籍
うまい
2022/01/07 20:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
題材そのものは新鮮味のないお仕事小説なのだが、一つ一つの言動や心理状態の描き出し方が、大変に巧みである。読者の多くが経験するような身近なエピソードを扱いながら、それをちゃんとした小説として仕上げている。
電子書籍
さすがすなー
2021/12/10 20:36
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
働く女性達へのエールが散りばめられた短編集。四話目までは著者らしい温かみ溢れるほっこりモードですが、最後だけ少し毛色が違っていて、爆笑OL日記って感じ。いやーめちゃくちゃ笑えました。
電子書籍
人生人それぞれでいいんだよ
2018/12/06 07:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この『ガール』(講談社文庫、2009.1)は30代の、日本的な意味で「旬を過ぎた」働く女性を主人公にした短編集です。既婚・子供なし、独身・彼氏なし、バツイチ・子どもあり、独身・彼氏なし。と立場はそれぞれ違いますが、もはや「若い子」「女の子」扱いはされない、会社でも中堅、でもまだ40-50代のおばちゃんたちほど図々しくなれない、若い子たちを見てうらやましく思い、自分の現在と将来に不安を感じて、様々なそれぞれの葛藤に揺れる彼女たちのストーリーがユーモアたっぷりに展開していきます。
収録作品は「ヒロくん」、「マンション」、「ガール」、「ワーキング・マザー」、「ひと回り」の5編。共通のメッセージみたいなものは強いて言えば「人生人それぞれでいいんだよ」ではないでしょうか。どの話もそれなりのハッピーエンドで終わっていますが、客観的に見た彼女たちの状況にはほとんど変化が無いのも特徴的だと思います。
電子書籍
作者は本当に男性なの?
2015/08/13 01:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:paguapgu - この投稿者のレビュー一覧を見る
私にとって初の奥田英朗作品。男性作家なのにどうしてここまで女性の心理をついてくるのか分かりません!
軽いタッチでサクサク読め、仕事でちょっと疲れた時などまた読み返したくなるような内容でした。
ガールじゃなくたって、これからも女性であることを楽しむぞ!と私を元気にしてくれた作品です。
紙の本
ほのぼの
2014/02/09 17:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねこさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
すっかりはまりました。とってもさわやかな気持ちで読み終わりました。ちょっと世間からはずれているようでもいい人で…そう登場人物がみんないい人なんです。この作者の本は重たいというイメージでしたがこんなちょっと笑ってしまうような作品を書いていらしたとは…で他の似たような感じの本(ほのぼの系)を買って読んだのですがどれもおもしろい!とにかくみんなどこかしらいい所を持ったいい人が登場人物なのでホッとします。