浅田節があふれる「霞町物語」
2022/12/07 12:26
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投稿者:BlackIslander - この投稿者のレビュー一覧を見る
名作「ぽっぽや」に通じる人情物語である.「伊能写真館」の3代を孫の視線を通して描き,江戸の雰囲気を残す東京オリンピック1964前の「東京」を見事に描いてくれている.自伝的な要素を盛り込み,古き江戸の雰囲気を残す東京の人情をユーモア溢れる文体で描写する著者の本領が発揮された短編集.特に祖父母と父母への情愛の溢れた文章はしみじみとした読後感をのこしてくれる秀作.
浅田次郎氏が贈る感動の連作短編集です!
2016/09/10 09:34
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、浅田次郎氏が読者に贈る感動の連作短編集です。青山と麻布と六本木の台地に挟まれた谷間には、夜が更けるほどにみずみずしい霞が湧きます。そこが僕らの故郷、「霞町」なのです。あの頃の僕らは大学受験を控えた高校生で、それでも恋に、遊びにと、この町で輝かしい人生を精一杯生きていました。この霞町における僕たちの毎日はどんなものだったのでしょうか?ぜひ、本書をお読みください。
青春はR&Bとともに
2002/03/08 20:20
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投稿者:かいらぎ - この投稿者のレビュー一覧を見る
8作の短編集。霞町と呼ばれていた西麻布周辺を舞台に繰り広げる1960年代の物語で、R&BをBGMにしてちょっと羽目を外した高校生の青春ドラマを見ているようだ。オーティス・レディングを懐かしく思える人は、読んでいるうちにこの世界に入り込んでしまうだろう。
個人的には次の3編が特におもしろかった。
<夕暮れ隧道>
初デートを成功に導いてくれた鴇田君カップル。それは悲しくも美しい幻だった。
<青い火花>
おじいちゃんであり写真師である「伊能夢影」。都電の花電車を写す親・子・孫、3代の思いやりとは。
<すいばれ>
人気のない夏の砂浜で貸しボート屋の店番をしている「谷さん」。彼の男粋とは。
著者の自伝的連作短編集
2023/12/12 11:07
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京に霞町なんて町があったことを知らなかった。調べたら1967年まで実在したらしい。今の六本木とか麻布のあたり。
そこを舞台にした浅田次郎氏の自伝的な短編集。祖父、父、自分を中心に家族を描いた内容だが、さすがの筆致。何とも切なく、そしてじわじわと心に染みる。
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青山と麻布と六本木の台地に挟まれた谷間には、夜が更けるほどにみずみずしい霧が湧く。(本文より引用)
目の前で見せられたように、映画よりも鮮明に情景が思い浮かべられる描写、笑って泣ける物語、優しい登場人物。
読み終わった後に優しい気持ちになれるような話。最後の花電車のシーンは写された写真まで見えるよう、お父さんがおじいちゃんを写した写真もまるで目の前で見せられるよう。
丁度主人公と同じ年代のひとには、懐かしい部分が沢山あるのだろうけれど。それを知らない世代の私が読んでも、まるでその時代のその場所を訪れたような気分になれる話でした。太鼓判。
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今の西麻布周辺っちうのは、霞町とな、おっしゃったそうですよ。
そこら辺りで育った方々の青春時代のお話し。中途半端に古くって中途半端に
ほろ苦くて、読了後のあたくしの心持ちも中途半端。んー。
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これが大好きな浅田次郎の著作かと思うと悲しくなる。それくらいつまらなくて意味不明なバカ男のただの自慢話に思えた。
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浅田次郎の自伝ともいうべき作品。写真屋の跡取りという主人公を取り巻く短編集だが一つの物語として読むこともできる。古き良き六本木周辺と浅田次郎の青春を見てまわったかのような爽やかな感動を呼び起こします。その中の一つ『夕暮れ隨道』は綺麗でせつないオススメのお話です。
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青山と麻布と六本木に挟まれた谷間にあった、今は存在しない街、霞町。
そこで彼らは育ち、遊び、そして離れていく。
今は看板をあげているのがやっとの写真館の息子“僕”とその仲間達。
深川の芸者だった祖母、婿養子で写真家の父、魚屋の小倅である友人、日本語の全く解せないイギリス人の臨時英語教師、二学年を落第した先輩であり同級生である男、日毎に呆けていく祖父・・・。
青山墓地から流れてくるみずみずしい霧が、古いR&BをBGMに、彼らの生きた時代をまるでスクリーンのように映し出す。
今は亡き街、その名を西麻布と変えてしまった街、霞町の古き良き物語。
連作短編集です。
むー。上手い紹介の言葉が出てこない。
だから、こう言うちゃんとした物語のあらすじ書くのってキライなのよね。
どう逆立ちしたって浅田次郎氏の麗筆は真似できないし、そのまま物語のあらすじを書いても興醒めだし。
古い青春映画を切り取ったよりも鮮明で、現実的。
だけれども、やっぱりそれは酷く懐古的で綺麗なところだけが緻密な訳でもない。
んー、やっぱりどう書いて良いのかわかんないなぁ。
どっちにしてもまた、浅田氏に泣かされてしまった。
何だか無性に帰りたくなったよね、子供の頃育った町に。
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やられた!また感動してしまった。
この頃の東京はわたしは知らないけど、郷愁みたいなものを感じた。おじいちゃんおばあちゃんの話にはじんときた。
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青春時代を謳歌した人々の話はいつのどんな人のものでも必ず面白い。そこに噂や伝説、付け足しなんかが入っても尚のこと。ふるさとが霞町(青山と麻布と六本木の間にあった町)というハイカラな若者達のお話。江戸の情緒と都心の表情が見事に織り交ざっていて、昔気質のお年寄りとディスコに車にダンスにかまける若者達の姿がセピア色にも極彩色にも見えてくる。
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【2005.11.06.Sun】
浅田次郎の自伝的小説。彼の青春時代を甘く切なく描き出している。青山と麻布と六本木の台地に挟まれた場所、そこが彼が生まれ育った霞町。大学受験を控えた彼らは、恋と遊びに精一杯生きていた。そして家族と織り成す、おかしくも胸を熱くするいくつかのストーリー。これこそが青春なのだと思う。流れるように、未来のことはまだわからない。そんな時間が全てかけがえのないものだと感じる。青春時代には答えなどひとつも出ないのだが、そこで得た多くのものが、必ずやいつか自分の答えとなるのであろう。時代は変われども、あのときに感じるどうしようもない切なさと喜びはずっと変わらないものであると信じたい。
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2007/05/10 thu
50年代、60年代の東京・西麻布が霞町と呼ばれていた頃のお話。
短編集だけど、全てが一貫したお話です。
私にはよく分からないというか、親世代の話だし、
田舎者な私にはかけ離れた青春時代な感じ。
だけど、お祖父ちゃん、お祖母ちゃんのお話はぐっときました。
家族の絆、死という別離で感じることは、
全国共通、老若男女問わないのかな。
号泣とまではいきませんでしたけど
(本当はそれを期待したんだけど)、
ほろりとくる作品でした。
前の読了後、ゆっくりゆっくり読みました。
浅田次郎は久し振りで、
途中、『鉄道員』を再読したりして寄り道しましたが
やっぱりヤラれるかもぉ。
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浅田の自叙伝、なんでしょうね。こんな時代があったんですなぁ。異世界ですなぁ。雰囲気あっていいんやけど、残念なのが、一番最初に収録されている「霞町物語」。表題作でもあるんやけど、実情としては、この作品が短編として発表されて、その後これを題材に膨らまして7つの作品が連載されたものやん。だったら、これは他の短編集に入れて、あとの7編だけで一つの本に仕上げたほうがよっぽど良かった。
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切なくて悲しくて懐かしい。
ブルーバードSSSやファミリアプレスト・N360などまさに自分の若かれし頃そのまま。
しかし浅田次郎って傲慢なのか、優しいのか、ロマンチストなのか。読むほどに解らなくなる。