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小説家である私のもとに、一通の封書が届いた。差出人の名には心当たりがない。手紙を読んだ私は驚いた。そこにはこう書かれていたのだった。
「まだ誰も実現させていない最期の不可能トリック、それは≪読者が犯人≫というものです。私はそのトリックを実現させるアイディアを考案しました。それを一億円で買ってほしいのです」と。
本を読み終わったときに読者に≪私が犯人だ≫と言わせられれば作者の勝ち。たしかに読んだことのないトリックでしょう。広域の意味で言えば、風評や悪意のない差別など、≪ああ、私も一因になっている≫という気持ちを抱かせるようなものはありますが、トリックとは別でしょうから。本書でも、特定の人や状況ではなく、全ての読者にそう思わせることができて初めて成立すると繰り返されているので。
いったいどんなトリックなんだろう・・と期待しながら読んでいきました。
途中、語り手が新聞に連載している小説がこの内容だということや、超能力の実験などの事柄が差し挟まれて、え~そうういう落ちじゃないよね・・と、嫌な予感がしてきたのですが、当たらずとも遠からずの結末に・・・。
要は特異体質(しかも実際にはないであろう超常現象的な)を利用して読み手を犯人とするもの。文を読んだから人が死んだといわれてもねぇ。『メフィスト賞受賞作』となってたのに、肩すかしをくらってしまいました。
≪私が犯人だ≫とはとても言えない気分です。
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最近、皆が地雷用員とか言うんだけど何ででしょうか?
さて、読み始めて直ぐ、まさかこれじゃあないだろう。と思い続けて三千里。やっぱりこれでした。となるであろう作品。
しかし、どんな作品でもフェアであろうとすれば、こうなることは仕方ないと思います。
しかし、この作品は読者を犯人にするという試みには、これしかないんだろうな、と納得するものがあります。
でも、この方法は厳密に言うと読者を犯人に出来てないと思うですけどね。みなさんはどう思いますか?
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キワモノ系です。でも思ったほど文章は
悪くないので、キワモノ系でなくても
十分通用するはず。
トリックはいわゆる反則系です。
と言うかこのレーベル反則系のトリック
多くないですか?
まあ某賞とつながっているからなぁ…
悪いのはトリックのみで
道中とかには悪い描写は
見られません。
それさえなければ逆に化けそうな感じなのですが…
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"読者が犯人"このトリックの真相とは。
語り口が軽妙でぐいぐい読まされる。大真面目なようで人を食った展開。
面白かったです。わざとミステリ部分とトーンを変えた「覚書」のところ、不器用な少年のエピソードにしんみりした。
以下ネタバレあり。
「覚書」に出てくる少年の症状は、発達障害の一部として典型的なもの。
他人には無意味に思えるこだわり。他人の命令を鵜呑みにする。
単一の存在に愛着を覚える。
本人に悪気はないのに周囲との軋轢を生んでしまう。
でも最終的に、愛する人と子供を残せたのは幸せだったのか…
エピソードがあるあるすぎて胸が痛い。
語り手の友人である有馬の「自分の文章が自分とつながっているように感じる」というコメントは、よくわかる。
人によっては、著作をけなされると我が身をナイフで切り裂かれるように傷つくもの。
一度それをされたら、二度と作文など書けなくなる子供もいる。全然不思議じゃない。
でも、このエピソードも世界観を作って読者を誘導するエピソードの一部だったのですなあ。
語り手の階下に住むヒデ坊の件も。
古瀬博士との挿話は、「テレパシーはありえるよ」というメタ世界の舞台設定として必要だったのだろうかな。
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犯人はあなただ!
なーんて言われちゃったら、ミステリマニアは読むしかないでしょう。
ミステリー作家のもとに届けられた一通の手紙。
そこには前代未聞のトリックを一億で売買しましょうという内容の提示が。
悩みつつも興味をもつミステリー作家。
その後も謎の人物からの手紙は届いてきて・・・というストーリー。
結論から言うと、うん、アタシが犯人です。
100人の人が読んでも、みんな自分が犯人だって言いますよー。
いったいどんなトリックなの?と思った方は、本作品を読みましょう。
そして読み終わったら一言叫ぶのです。
犯人は私だ!
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面白かった!なるほどなと思った。超心理学が題材に出てきた時点でキター!と思った。さすがはメフィスト賞系小説。
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本自体は持ってまして(初版で買ってるから多分、発売時に手に入れた)ひょんなところで名前を見かけて軽く文章を読みまして、それがかなり分かりやすいものだったものでじゃあ読んでみるか、と。第三十六回メフィスト賞受賞作。帯は島田荘司。
タイトル「ウルチモ・トルッコ」はイタリア語で「究極のトリック」だそうで(うぃきぺでぃあより)、日本語副題をそのまま受け取ります、つまり「あなた」=「読者」。
読者を犯人に仕立てるっていうので思い出すのは鯨のパラドックスなんだけど、あれはあれで結構好きなタイプだったんだよね。
新聞に連載を書いてる小説家と、小説家の元に届けられる手紙を主軸に進んでいく物語。途中途中に挟まっていた超能力研究の話もまあ絡んできているといえなくもない。
一応ネタバレ反転処理。
〈ある特殊な状況〉でなければ使えないトリックだと作中でも表現されていたけど、できるなら、「新聞に掲載されている状態の手紙を読みたかった」と思う。そうすればきっと厳密な意味で犯人になることができた。トリック自体は面白くて、そうくるかなるほど、と思ったんだけど、だから尚更、その「面白さ」を厳密にしっかり味わってみたかったなぁ。
あと筋には全く関係ない話、保険外交員と自殺したおじいちゃんの話で、契約書を書いた日と提出した日が違ったから自殺での保険金が支払われなかった云々ってあったけど、あれ、ほんとの話かな。そもそも「契約書」ってなると日付だって重要なわけで、受理されるのって提出した日じゃなくて、契約書に書かれている日付であるべきだと思うんだが。もし受理日がそうなるのなら、書面での提出だけでなく顧客への口頭説明が必要だろ。それを怠った保険外交員の方が悪くねぇか、それ、と思いました。
抜粋。
少年にとってあらゆる植物は、そのむかつくほど濃密な生命力のために、憎悪の対象だったからです。
植物に対してこんな表現してあるのを初めてみた。
11.08.28
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ある作家の元に手紙が届く。
その手紙の内容とは「読者が犯人だという小説を書いてみたので、それをあなた名義でよいので公表して下さい」とのこと。
まぁ作者はこの仕掛け頑張った。
読者が犯人ものは2冊ほど読んだが、どれもはいはい乙!な内容だった。
実際、これも……
いや、これは仕掛けが納得いくもので、作者の自己満足ばかりではなかった。
ただ、いらん登場人物がいたのはいただけない。
ぶっちゃけマンション下の子供。意味はあるが、無くてもよかったかな。
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ミステリとして読み進めた自分としては、
そりゃないよ!
です。
でも、伏線はきちんとはってあって、論理は破たんしていない。
だけどちょっと、ぎりぎりです。。
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とある作家の元に届いた一通の手紙。差出人の名は香坂誠一、記憶にない人物で住所は記されていない。これまでのミステリで提示された数々の「意外な犯人」…語り手が犯人、探偵が犯人、動物が犯人、自然現象が犯人…。そして過去の作品が未だ実現していない最後の不可能トリック、究極の「意外な犯人」…それは「読者が犯人」というもの。「読者が犯人」というトリックを成立させるには、あらゆる読者に「自分が作品を読んだことによって登場人物が殺された」と思わせなければならない。手紙の中で香坂は「究極のトリックを可能にするアイデアを持っている。ぜひ買い取ってほしい」と語る。彼には作品を書き上げる時間的・経済的な余裕はなく、しかも他人の目に晒せるような文章を書いたこともないという。にわかには信じられない話だが妙に心動かされた作家は…。2007年第36回メフィスト賞受賞作。奇妙なタイトルは"究極のトリック"を指すイタリア語("ULTIMO TRUCCO")で、これは"ULTIMATE TRICK"と読み替えられるそうだ。裏表紙のあらすじ、煽り文句、表紙、「犯人はあなただ!」というタイトルから、これは一発狙いの色物系なのかという不安が湧く。どことなく怪しい匂いがぷんぷんしている。前半早々に、「本格ミステリ最後の不可能トリック『読者が犯人』を成立させる」という高いハードルを自ら設定しており、これが最終的にメイントリックとなるのだが、最終的に素直に感激できるか苦笑するかは読者によって分かれそうだ。だが読んでみると意外に癖のない文章で、本格ミステリ談義に言及したり、関係なさそうなエピソードもそれだけ読んでも面白いし、どれもが無駄なく後に伏線として活きてきてなかなか侮れない。メイントリックのネタだけ取り出してポロっと言ってしまえば「なぁんだ」と言われてしまうそうなアイデアなのだが、この作中の中ではそのアイデアを活かしうまい具合に消化され、少しずつ露呈し、振り返ってみるとできる限りフェアな表現になるようなあとが見られる。裏表紙にあるように「驚愕必至」とまでは残念ながら至らなかったが、この手が残されていたかと感心させられたのは確かだ。独特なトリックに一応納得。いや、実際思いついたアイデアはすごいと思う。自分的にはミステリとしては許容範囲、色物と思い込まずに、このアイデアを買って(読んで)みてよかった。【以下ネタバレ含むため未読の方はご注意】作中で、超能力学者が行う実験のうち、美少女双子姉妹がとあるトリックを用いて隔離された場所にいながら相手の選んだESPカードを当てる方法は、なるほど〜と感心した。割と実際に使えそうな現実的な方法だ(どこでどう利用するかは疑問だが)。こうした超能力実験や謎の男の手紙に同封された私小説的な「覚書」も、一見話に全く関係なさそうで、実は「読者が犯人」となるためのある人物の特殊な条件(人に自分の文章を読まれると体調が悪くなる体質・能力?)のための伏線となっているところが巧い。もちろんそんな能力はありえない(と思う)ので実現不可能なトリックにはちがいなのだが、妙な説得力がある。問題はトリック云々よりむしろ、読み終わった読者が「たしかに自分が犯人だ」と思えるかどうかだろう。なにし���作中の文は「新聞連載中の文章」という前提に限った場合にのみ「読者=犯人」という図が成り立つのだから。揚げ足取りっぽいが、この本を手に取る読者は「新聞を読んだわけではない」のでこの図式には当てはまらないのだ。ともあれ、本書は「意外な犯人」の新たなパターンを提示している。ミステリ好きなら読んでみて損はないだろう。(ただし読後憤慨されても当方は責任を負いかねます)
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読者が犯人に挑戦したミステリー。面白いが、犯人が読者が成立しているかは読み手次第だろうと思います。
理由は死因。作者の設定する前提条件に納得できるか。『読者』に適合しない可能性が有り得る(例えば、通常の慣習に従わないで後ろから本を読む人)などなど。
私は著さの前提条件に合致しなかったので自動的に『読者』とならなかった。ヒントは「曜日」。
しかし、結局、納得できなくても、あれこれ悩んでしまう部分までが作品の面白さなのだと思います。
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究極のトリックとして、読者が犯人というアイデアを一億円を買えとせまる男からの手紙。
もっとひどい真相になるかと思っていたが、しっかり本格ミステリとしての形式にのっとっていた。
文章も読みやすく、軽すぎず、ちょうど良い。
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第36回メフィスト賞受賞作品。
あなたは超能力を信じますか。
ある日主人公のもとに
一通の手紙がくる。
「ミステリー界最後の不可能トリック
を用いた<意外な犯人>モノの小説を
買ってくれないか」
究極なトリックとは何か?
驚愕必至、境界朦朧、錯覚錯綜。
読み終えたあなたは、どう思うでしょう?
不思議な気分になるかもね。
比例反比例。エレガント。
ミステリを読む人も読まない人も
ウロンに楽しく読書できるでしょう。
これぞ講談社ノベルquarity。
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これは…腑に落ちないです…。
最後に残った大物に挑むその気概やよし!と言いたいところだけど、納得できない。作者がやりたかったのは「本を読んでる読者」自身が犯人であるというトリックだったのではないのか?
結果的には作中の新聞を読んでいる読者が犯人である、としか思えなかった。強引に現実の読者を作中に引っ張り込もうとしているが無理があるように思えて残念。
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推理小説における最後の、そして究極のトリック・・・「犯人は読者」に挑戦した作品。
新聞に連載小説を発表している私のもとに1通の手紙が届く。その手紙には、ミステリー界最後の不可能トリックを用いた<意外な犯人>モノの小説案を高値で買ってくれと書かれていた。差出人が「命と引き換えにしても惜しくない」と切実に訴える、究極のトリックとは?読後に驚愕必至のメフィスト賞受賞作!
ミステリーを読むと、犯人は必ず作中に登場しているわけで、意外性を狙った小説でも、探偵が犯人、動物が犯人、被害者が犯人でもあった・・・等々、およそ書き尽くされてるんだが、この作品では、ミステリー界に残された最大のトリック・・・「読者が犯人」になると言うトリックに挑んでいる。
本書を読む前に、事前の知識として、犯人は読者である、って事は知っていたので、果たしてどんなトリックなんだろう?と興味津々で読み進めた。この作者は、非常に博識なのか勉強熱心なのか、さまざまな事柄について博識ぶりを披露している。それが嫌味にならないのは、高い筆力の裏づけがあっての事だと思う。退屈させない構成も水準以上。
ただ、「犯人は読者」というトリックについてはどうか?
なるほど新しい視点ではあるし、伏線も回収されており、大きな破綻は無いように思われるんだが、このトリックを完成させるのは少し条件が厳しいのではないか、と思われる。作者も作中に書いているが、条件さえ満たせば、たしかに「犯人は読者」が成立しそうな気もする。しかし、その条件が厳しい。一般的ではない条件と言ってもよいだろう。このあたりを許容範囲とするか否かは、それぞれの読者の判断になると思うんだが、自分としてはアウトかな。
しかし、斬新なアイデアと構成の妙、読みやすさ等の総合判断では、☆4個。