表題を見て手に取った一冊。
2012/12/25 04:13
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
初め原田マハさんらしくない作品だなあと読み始めた。
4編からなる短編集の最初は「天国の蠅」。
主人公範子の過去はちょっと辛い思い出。
「ごめん」は優しいご主人がいながら年下の同僚と不倫を重ねる陽菜子が主人公。
「夏を哭くす」はちょっと鼻につく会社経営者の咲子。
「最後の晩餐」はマリとクロの最後の別れのシーン。
確かに帯を見ると斉藤美奈子氏絶賛!「21世紀を生きる女性に勇気を与える小説」とある。
よく確かめもせず選んだ自分に少しだけ後悔しながら読み進めた。
しかし、読み進めるうちにすっかり小説の中に嵌り込んで、最後斉藤美奈子さんの解説で見事にやられてしまった。
男性社会の中心を闊歩しているキャリアウーマンが、突然立ち止まる出来事に遭遇して自分を見つめ直す作品。それは男性も同じです。
自分を見つめ直したときに思い出されるのは、痛い思い出であったり、大切な人の深い愛情だったり、それは今まで自分が積み重ねてきたものだったと気づかされる。気づいて、時には涙してこれからの一歩を踏み出す心が出来上がるのではないでしょうか。
また小説としてもやっぱり面白い。「天国の蠅」は娘の詩を読んでいるうちに一遍の詩に気づき物語が突然展開。
「ごめん」は秘密など無いと思っていたご主人の毎月10210円の振込みの謎を追う高知への旅など読者を引き込む仕掛けもたっぷり。
読み進める毎に、読み重ねる毎に好きになっていく原田マハさんの作品でした。
女の勝手さと可愛さと
2015/11/27 02:51
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
4人の女性のそれぞれの人生。裏切りや嘘や虚勢やそんな暗澹たる思い出、出来事の中にも、幾ばくかの光と救いはある。諦めちゃいけないし、ずっと後ろ向きでもいけない。いろいろあって人生。一編の詩から呼び起こされる父との思い出『天国の蠅』、ただただ善良だけが取り柄と思い込んでいた夫の秘密『ごめん』、触れたら壊れてしまいそうな関係に揺らぐ『夏を喪くす』、あの日、こつ然と姿を消した友だちを巡って7年振りにNYを訪れる女性が知る真実『最後の晩餐』短編とはいえ、どれも読み応え充分。女の勝手さと可愛さが描かれた深とした1冊。
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
3作目の夏を喪くすが一番良かったですね。乳がんに侵された主人公・咲子が中心になって話が進んでいくのだが、ラストでは光を喪くす男性が登場し驚きました。2作目のゴメンも良かった。陽菜子の性格には共感できないが、優しいご主人に裏の顔があったことに何故かホッとした気分だった。今までとはちょっと違う原田マハの世界を垣間見たような気がしました。
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40歳を過ぎた頃から突然立ちはだかる女性特有の壁。
病、家族、介護、孤独、それは人それぞれだが、必ず何か困難がの待ち受けている。
その困難と戦うのではなく、その困難をも自分の人生のそのものとして受け入れ、そして自分の未来を切り開いていく。そんな強い気持ちと勇気を与えてくれる小説だった。
「天国の蝿」に出てくる父親は「キネマの神様」に出てくる父親にもちょっと似ている。
「ごめん」と「夏を喪くす」は不倫と一言で言ってしまえばそれまでだが、その時を必死に生きている女性の姿がよく分かる。別に不倫を肯定しているわけではないけど、なぜかすごく共感できる部分が多い。
「最後の晩餐」はキュレーターらしい作品。
4編以外に子をもつ女性が強く生きていこうとする短編があってもよかったかな。
この歳の多くの女性には、仕事をしながら子を育てるという困難もあると思うので。
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怖い作品。・・・というと語弊がありそうですが、なんと言うか、読後がぞわぞわ~とする。決して爽やかではないし、少しの清々しさがあるものの、やはり覚悟した女は怖いな、っていう読後感。
4人の女たち。それぞれ共通するのは働いていること。最初の範子は普通の事務員?という感じだが、残りの3人はバリバリのキャリアウーマンかな。・・・バリバリ働き結婚もし恋もする。普通なら「こんな女いないよ」と言いそうだけど、不思議とそこは妬みもなし。完璧なようで不完全なのがバレバレだからかな。
表題作の「夏を喪くす」では、咲子はこんなにかっこいいのに、かっこいいのに、かわいらしくて笑ってしまう。そりゃ「いい男」が肩震わせて泣いてたら勘違いするって(笑)盛り上がるでしょ?あの肩透かし感、なんだか「女の子」でかわいらしかった。
「最後の晩餐」はちょっとずるいと思った。得意分野過ぎです(笑)
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しまった。苦手な中編。
短編中編は盛り上がったところで終わるから苦手です・・。
長編で読みたかったな~。
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天国の蝿を読み、久しぶりに原田宗典のしょうがない人を読み返したくなった。原田マハ作品のなかでは異色の作品かと思うが物語としての力を強く感じた
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以前から気になっていた原田マハさん初読み。恋愛ストーリーも読んでみたい。しかし、キュレーターから作家になるってスゴイな。
ちなみに帯に斎藤美奈子絶賛と書いてあるが、別に絶賛はしていないぞ。
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初・原田マハさん。女性を主人公にした4つの短編集。好きな作家さんまた見つけた、と嬉しくなりました。これから他の本を一つずつ読んでいくのが楽しみです。
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今まで読んだマハさんの小説のカラーとはちょっと違って
少しグレーな暗い落ち着いた感じ
心に後悔を背負っている、
やるせない気持ちを抱えている
忘れかけていた、ダメで図々しくてどうしようもなく女な感じ
「天国の蠅」、「ごめん」、「夏を喪くす」、「最後の晩餐」
4つの小説の余韻が、気持ちのずっと下の方で続いているようで
なんともいえない読後感の中にひたっています
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これって 原田マハさん2008年作 「ごめん」の文庫本版ですね。
今から15年位前だけど 古さを全然感じない。
今の原田マハさんとは ずいぶん違う感じがして 逆に新鮮でした。
どの短編も 読み応えありました。
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人生の折り返し地点にさしかかった40代女性の『事件』。表題作『夏を喪くす』では特に南国と事件が対照的で強く印象に残ります。
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夫が事故にあった時に不倫で海外旅行をしていた妻、夫にも実は女が居た!
9.11の事故前のキュレーターになる前の話。など4つの短編集。みじかな題材で、色々な小説を読ませてくれる、作者の多彩な才能に感謝。
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うーん、夏を喪くすが一番よかったかな。人生の岐路にたつ女性の話だが、一瞬切なくなるもののW不倫だったりして、イマイチ感情移入ができなかった。まあ一気に読んだが。
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恋愛、結婚、仕事、出産、、それぞれ自分の人生生きてきた40代の女性が、ふと自分の人生振り返る時。過去の自分と、今の自分に向き合う瞬間。天国の蠅、ごめん、夏を喪くす、最後の晩餐、4つの短編集。
天国の蠅
変わったタイトル。。借金ばかりして、嘘つきで、挙句の果てに母子を置いて逃げた父を、あることがきっかけで思い出す。いまだから、という感じがじわっとくる。
40代、ちょっとだけ人生わかったような気がする頃かも。