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紙の本
待つことの真髄
2016/04/21 18:40
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まさすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
40代後半になり仕事や家族、自分のありようなど、大小色々な試練に向き合わざるを得なくなると、日々の景色が様変わりしますね。西郷隆盛のように「待つ」という行為にその人の人生への真摯な態度が現れているという鑑三の説諭は、私が今まで全く気付こうともしなかったことでした。実に新鮮で、身体の奥底から求めていたもの、まるで飲んだことがない湧き水が胃に溶けこむような、すがすがしい気分になりました。
紙の本
現代の代表的日本人を選ぶとすれば誰になるだろうか。
2003/08/31 21:35
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「武士道」「茶の本」とともに英文で書かれた日本を紹介する本であるが、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、日蓮上人という五人でもって日本を紹介したものである。
少し前はこれらの人物は歴史の舞台から抹消されていたが、近年、上杉鷹山、二宮尊徳などは人気を盛り返してきた感がある。二宮尊徳については小学生の時に偉人伝で読んだ記憶があり、菜種油を得たり僅かな水田でイネを育てる知恵には子供心に感心したものだった。その偉いはずの二宮尊徳の石像が誰にも振り向かれなくなっていたが、ようやく振り向かれたと思えば二宮尊徳の石像が夜中に動くという学校の怪談話だった。情けなかった。
また、上杉鷹山については財政再建、構造改革においての先覚者としてバブル崩壊後に取り上げられたが、改革の大きな目的であった有徳な人物を育てるという事が欠如しているように思えてならない。経営の三資源はヒト、モノ、カネであるが、ヒトについての投資がおざなりになり、リストラだ成果主義だけに注力されるのであれば再建も困難なのではと思う。
ゆとり教育ということで子供たちに時間が与えられているのなら、「代表的日本人」に出ている人物などの読書を薦めたり、道徳教育を施してヒト作りに時間を割くべきであると思った。
特に中江藤樹は道徳教育の鑑である。
紙の本
代表的日本人
2013/03/06 18:00
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:昭治 - この投稿者のレビュー一覧を見る
五人の人物についてその人の生涯や思想があり読みやすい。
内村鑑三の人物評の鋭さ、洞察力が深く面白い。
紙の本
著者内村が伝えたかったこと
2020/07/18 12:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は5人の歴史上の人物が著者である内村鑑三によって語られます。個人的に感銘したのは、上杉鷹山と二宮尊徳と中江藤樹でした。二宮尊徳に関しては別書で読了した本があったので、特に何もありませんが、鷹山と藤樹とは名前程度しか見地しておらず、恥ずかし乍ら詳細を知らなかった為、新鮮に感じ且つ魅了されました。
ところで本書は諸外国に向けて訳された本です。内村は何故英語を始めとする訳本を手掛けたのか、また本書はどちらかというと内村からの視点に依る著述であり、彼は本書で選出した5人から何を伝えたかったのか、が最もポイントかと思います。或る程度は本書の解説に記されています。
私自身の推測では内村が敬虔にキリスト教を信奉してはいるが、だからこそ他の信奉者に対してその教えだけが唯一ではなく、人として生きていく上での大切な心構えを宗教的素因とは関係ない観点で伝えようとしたのではないだろうか、という事です。
ただ深奥は判りません。なので非戦論を提唱する内村鑑三自身について他書で知覚する必要があるので、いずれ臨んでみようと思います。