3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
経営コンサルタントの小宮一慶さんは眠る前にはだいたい「経営の神様」といわれた松下幸之助さんの『道をひらく』を読むようにしているそうです。
小宮さんのようにすでに何冊も経営の本質とリーダーのありようを書いてきた人でも、松下幸之助さんの生き方を何度となく読み返して、さらに今でも気づかされることがあるといいます。そういう点では松下幸之助さんの『道を開く』は、ビジネス本というより哲学書の趣きがあるのでしょう。
その『道をひらく』に「縁あって」という文章があります。
その中で松下幸之助さんはこう書いています。「人と人とのつながりには、実は人間のいわゆる個人的な意志や希望を越えた、一つの深い縁の力が働いているのである。男女の縁もまた同じ」と。
この文章を書きながら、松下幸之助さんは奥さんである、むめのさんのことを想っていたのではないでしょうか。
本書は長年松下幸之助さんとむめのさんの執事をされたいた著者が、「むめのさんの生涯をちゃんと世に残すこと」が、これからの第二、第三の松下幸之助さんを生み出すためにも必要と考えたところから出来上がったものです。
著者はむめのさんの行動は内助の功といったものを越えているとしています。むめのさんは松下幸之助さんが描いた夢の実現を、自身の夢としたとみています。「夫の夢に、自分の夢を重ね合わせられた」というのです。
だから、松下幸之助さんとむめのさんは夫婦喧嘩をしてもあとには残りません。何故なら、夫婦喧嘩も夢の実現のための一歩だからです。
本書はほとんど顔すら見ないで結婚した松下幸之助さんとむめのさんの見合いの場面から始まります。そんな出会いながら、ご夫婦はダイヤモンド婚まで添い遂げます。それは、松下幸之助さんが『道をひらく』に書いた「深い縁の力」があったのだろうと思います。
この本には夫のコントロール法など夫婦のありようがむめのさんの言葉として表現されています。「深い縁の力」が働くには、それなりの機智が必要なのでしょう
夫婦のありようを考えさせてくれる一冊です。
古い女房像? いえ、現代にも通用する女房像
2011/10/08 17:16
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
松下幸之助の妻むめのさんのことを
松下家の元執事が書いた本。
淡路島の漁師の二女だった彼女が
幸之助と見合いをし、彼に決めた理由がすごい。
「幸之助の条件が、誰よりも一番悪く、厳しいものだったから」
だからこそ「人からもうろうた人生ではなく、
自分自身で人生を作っていくことができるんや」
むめのさんは起業した夫を助け、
内助の功を発揮するのですが
この時に男の価値を見極めているんですね。
彼の目が鋭いことも判断材料です。
戦前の古い女性像の部分もありますが
これは現代にも通用するかも。
こういう女性の生き方もあるのかもしれない。
例えば、松下産業の幹部の奥さまたちから
男を立てるのは、図に乗るからやりたくない、
と相談されるのに対して
そうさせておいて、世間でもそのプライドを保つように仕向ければ
男は仕事を一生懸命にするもの。
だから、妻がすべてをわかってて立てるという。
内助の功だけではなく、商売についても学べます。
松下産業が工業や職人の世界に近いと思っていましたが
最初から「商売」として仕事をとらえて
営業や人とのつきあいに力を入れているのが印象深い。
松下の家族主義から住み込み制度だったのは有名ですが
そのなかでむめのさんの役割の大きさも
大変さも並大抵ではない。
しかし、それをやってのける彼女の手腕に脱帽。
サブタイトルにあるように、むめのさんがいたからこそ
創業が成功したともいえます。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆり - この投稿者のレビュー一覧を見る
他の方も書いていらっしゃいますが、
昔風の妻像もありますが、現代にも通じる
素晴らしい女性だと思います。
未婚、既婚、専業主婦でもそうでなくても
このような女性らしさを身につけた
女性でいたいものです。
投稿元:
レビューを見る
まるでむめのさんから叱られてるような気持ちになりながらも
努力すること、誠実であること、利他であることの尊さを感じました。
泣きました
投稿元:
レビューを見る
便所の掃除も同様だった。きれいにしておかなかったなら不細工な子供が生まれる、と聞いて、みんなで一生懸命に掃除をした。
「できません、ではいけません。私はよういたしません、と言って教えを請うようにしないと」
「ええか、人生は誰かからもらうもんやない。自分で切り開くもんや。人からもろたもんは、すぐになくなってしまう。自分で手に入れたもんは、簡単には失わん。その心構えをもっときや」
「苦労、いうのは、心の持ちようで感ずるものや。ものがない、お金がないというのは、苦労やなくて、難儀や。常に希望があったら、苦労になんかならへん。」
いつしか二人は朝夕、工場の入り口に立って出迎えだけでなく、見送りもすることが日課になっていった。
「他人が言うことを聞いてくれないのは、自分が至らないから。」
「人間としての筋が通ってない話しは、どんなに商売がうまいこといったかて、そんだけのこと。」
「こんなもんはあかんと頭から否定せんと、ちゃんと話しを聞いておくことが大事なんやな。あとは、他の人がしてないことをすることや。」
「喧嘩で決着をつけてしまったら、どっちが勝っても負けても、負けた方は必ず意地になるもんや。」
「日本の伝統には、心が入っとるんです。その心の意味を理解せんといかん。その心さえあれば、形ばかりの礼儀など、不要になる。」
「人やのうて、コトを叱るんです。」
「ほんまなら、普段を大事にすることが、大切やということや。たまにカッコええコトをしても、それはほんまもんやない。毎日しゃんとするから、それは意味を持って来るんや」
投稿元:
レビューを見る
読みたいと思っていたら、いただけることになって早速読みました。むめのさん本当に凄い。確かにこの人がいなかったら今のパナソニックはなかったでしょうね。目頭の熱くなる箇所も多々あり。
投稿元:
レビューを見る
◆幸之助を選んだ理由は、はっきりしていた。幸之助の条件が、誰よりも一番悪く、厳しいものだったからである。<だからこそ、人からもろうた人生ではなく、自分自身で人生を作っていくことができるんや>むめのは若い頃に奉公した船場の商家の女主人の言葉を思い出していた。あんな人みたいになりたい。だからこそ、自分もその言葉を貫いてみたい。そう思っていたのである
◆むめのは、相手に尽くす生き方を母こまつに教わる。人生で一番うれしいことは、相手に喜んでもらうこと。それが、むめのが学んだ教えだった
◆<運針はたしかにスピードの勝負になる。でも、その初めは、誰でも針の穴に糸を通すことから始まる。まずは、静の一点で相手に先んじたら、ええんやないか>(むめのが技芸学校時代、競技会で負けた悔しさから気づいたこと)
◆「こう言いましたら、向こうの方がこうおっしゃったので、私はこう申しました。そこまでちゃんと報告するんやで」ここまで終わって、やっと、「ほな、よろしい。ご苦労さん」となるが、子どもたちにとっては、「ご苦労さん」と言われるまではひと苦労だった(むめのを育てた母、こまつのしつけ)
◆「できません、ではいけません。私はよういたしません、と言って教えを請うようにしないと」それは、後にむめのが、よく若い者に伝えた言葉となる
◆<このお人には、なんや運がついているみたいや>
練物の製造方法がわかったことに続いて、100円ほど足りなくなっていた資金についても、友人に貯金のある人がおり、林と二人で説得の末、100円を借り入れすることができた。「事業をする、ということは、人の支援が不可欠になる、いうことやな」
◆<お母さん……>
淡路島から持ってきてくれた新しい着物の上に、紙包みがそっと置かれていた。開いてみると、お金が入っていた。むめのはその包みをおし抱いて深々と頭を下げた。<何もかも、お見通しやったんやな>
◆「なんや、おまんは商売に口はさむんか」
「幸之助さん、これは商売の話やおまへん。人間の話や。人間としての筋が通ってない話は、どんなに商売がうまいこといったかて、そんだけのこと。幸之助さんがしたいのは、そんな商売でっか」
◆喧嘩が終わったら、先に話しかけるのは女でないとあかん
投稿元:
レビューを見る
松下幸之助のことを書いた本はちまたに多々ありますが、この本は妻”むめの”の物語。
むめのはいくつもの縁談のなかから、資産家や良家からの縁談を断ってあえて最悪の条件であった松下幸之助を選ぶ。その理由が「自分の人生は自分で切り開きたかったから」というところにこの人の芯の強さみたいなものを感じます。
しつけに厳しく、人との縁を大切にする。この本にはそんなエピソード満載で、その筋の通った生き方には人を惹きつける魅力を感じます。
何度か衝突しつつも、常に夫のことを考え、立てていく姿勢には、昔の女性の生き方を踏襲しているというよりかは、松下幸之助の夢や人生観に本気で惚れ込んでるという感じで、幸之助の人物としての偉大さも感じることができます。
最近たるんでるなという時に再度読みたい一冊です。
最後に夫婦喧嘩に関する一節を紹介。
「新鮮味が湧いてくる。そんな喧嘩ならわるいことではない。ただ、最後の詰めまでいったらあかん。喧嘩をして、もうにっちもさっちもいかないところまでお互いに追い詰めてしまったら、おしまいや。」
「もし、喧嘩で決着をつけてしまったら、どっちが勝っても負けても、負けたほうが必ず意地になるもんなんや。そうなったら、もう夫婦もあったもんやない。決着をつけんでも、どっちが良いか悪いかは、もう二人ともわかっとるんやから。」
投稿元:
レビューを見る
現代にむめののような生き方ができる人がどれだけいるだろうか。
そぐわないことの方が多くないか。
と思ってしまうけれど、
お手本になること、参考になることがいっぱい書いてあったような気もする。
また読みたくなるかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
NHKドラマをみてからこの本を読みましたが、やはり本のほうが登場人物のそのときの考え方がわかって良かったです。でも小説としては、正直なところあまり楽しめません。半分ビジネス書として読んだほうが良いかもしれませんね。幸之助の考え方がスティーブジョブスにちょっと近い、とうのが印象に残りました。その辺の詳しい話はブログで…
http://pinvill.cocolog-nifty.com/daybooks/2012/02/post-6277.html
投稿元:
レビューを見る
NHKテレビドラマ化ということで読んでみた。松下幸之助の奥さんもまた物凄く立派な方だったということが分かった。でも礼儀を重んじる姿勢のストイックさは、自分だったらちょっと辛いかも・・・。古き良き日本の姿を学びつつ、僕は僕の理想とする家族を思い描いて日々過ごしていこう!
投稿元:
レビューを見る
船場商法が、日本の高度成長時代の黎明に至る日本的経営に発展する原始の姿を読み取れる。世界経済がグローバル化する遥か前、人と地域の距離が密接した時代の商いのモデルが、親族、社員、家族、地域をまる抱えするスタイルの日本的経営に発展転化するスタイルをよく示している。この先導をしたのが、ほかならぬむめの夫人だが、この方のあり方もまた、古き日本のよき姿を示している。現代の女性は、見習えとは言わないが、むめの夫人の生き方を再考してみるとよいと思う。また男子は、幸之助さんの生き方から学ぶべきところは多いと思う。松下電器の発展は、この経営のスタイルと時代がみごとにマッチした結果にあると思われるが、いまや日本製の水道の水は、高価になり、諸外国でも良質の水道水が入手でき、しかも安い。先進国では、ものがあふれ、優れたアイデアで、何を作り提供するかと、追従の困難な高度な技術が、巨大な組織戦で展開される今日、よき時代の回顧と変わらぬ人間の本質を再考する良書である。品川区図書館にある。
投稿元:
レビューを見る
松下幸之助の女房 むめの は素晴らしい肝っ玉母ちゃんだったんですねぇ。
松下家に仕えた執事が書かれた本なので(多少、フィクションも入っているそうだが)、身近な人でなければ書けない内容の本だ。
著者 高橋誠之助氏のインタビュー
http://199.66.238.56/recorded/16964028
投稿元:
レビューを見る
神様の女房の言葉 ズキッと来ました。
主人として立てたら主人らしくなっていく
家で立ててもらうとそれなりの人間になる
女が出過ぎる家は世間から見るとものすごく不細工
ご主人よりも上のことを言ったらだめになる。出過ぎてしまったら主人の値打ちが下がる。
それは女の値打ちも下げる。主人の邪魔にならないように物事を運ぶ
(こっそり助ける)うまく事が運んだ時ご主人もよくやったと自負できる
投稿元:
レビューを見る
松下幸之助氏の妻、むめのさんの視点から書かれていて、結婚当初の貧しい時代から、松下電器産業を築き上げるまでの苦労話やお二人のエピソードなど興味深く読んだ。
内助の功を発揮し、何度も襲う逆境にも負けず、夫を信じ、支え続けた強さは、とても真似できるものではない。
松下電器のもう一人の創業者という名に相応しいむめのさんの生涯に胸が熱くなった。