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前巻とはまったく違う世界感。ところどころ、前巻とのつながりを思われるキーワードが出てきて、わくわくする。
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『天冥の標』という巨大な物語、そのひとつの端緒とも言える時代を描くシリーズ第2作「救世群」。
シリーズ1作目「メニー・メニー・シープ」においてプラクティスと呼ばれた異形の集団のルーツを語る物語、という位置づけになる。と思われる。作中で示唆される地球外生命体の存在、情報生命体・ダダーの発生、物語はまだまだ心躍らせる未知の領域を多分に孕んでいるようだ。
本作は新種ウイルスによりもたらされるパンデミックものという体裁をとる。冥王斑という通名で呼ばれることとなるウイルス性疾患は、医師たちの懸命の働きにも関わらず、世界各地で集団感染と混乱を引き起こしていく。そして、それに伴い増え続ける生還者たち。凶悪なウイルスをその身に宿したまま生きながらえ、忌み嫌われることとなった彼らは、しかしながらその血液から作られる免疫血清により、多くの冥王斑患者の命を救い続ける救世群ともなった・・・。
この本だけを読んでも十分におもしろい。が、この物語が更に『天冥の標』というSF巨編の中に位置づけられ、未来の物語を形作っていくというのだから、そのスケール感はたまらなく魅力的だ。この先しばらくはこの世界観に入り浸る日々が続きそうだ。
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打って変わって、現代を舞台にしたパンデミックもの。
疫病の恐怖に加えて、前巻の異形の世界の「発端」を思わせる伏流のようなものが見え隠れして、不気味かつワクワクできる話だった。
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蓋を開けてみれば、まさかの現代劇だった。
時代は前作から800年ほど遡った2010年代が舞台。
謎の疫病「冥王斑」のパンデミックを防ぐため、日本を始めとした各国の医師団が絶望的な戦いを繰り広げる。さらに裏では、各国の思惑が絡んだ政治劇まで行われる。医師や患者、冥王斑に関わった様々な人間の苦悩が描かれたサスペンスSF
合間合間で、一巻で見られたキーワードがかいま見られ、ここからどう八百年後に繋がるのか気になる。
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フェオドールの登場退場に一喜一憂してた。
1作目の前の世界?出来事の発端や冥王斑が表に現れるまで、が現代に近い場面を持って描かれる。現代の人間がおよそ考えないような予測が提示され誰もが疑うが1作目を読んでいるこちらからするとその現代人にとっては信じられない出来事がおよそおこらないことではないのだと、自分たちの未来なのだと理解せざるを得ない。地球外生命体の存在、情報の中に潜む意思を持ったもの、ダダー……
1巻と2巻のつながりの楽しさがあった。じぶんたちがいかに小さな中で一喜一憂し、大きな世界はそれが関係なく動き、でも小さく小さく影響し物語を動かす痛みと希望があるのだと思った。
3を少し読んだが、こう繋がるのか!と面白かった。これからも楽しみ。
どんどんどんどんつながっていってどんな場所だろうと人々は自分の身体を持って自分すら忘れた歴史を背負って生きていく、生きていかざるをえないのだろう。
残念なところを上げるとすると、うーん。章の繋ぎか並べ方が読みづらい。いっぺんに集中して読めなかった。コレは私の問題でもあるけど。
断章になる度にちょっと休憩して読んじゃっていたけど、かなり重要な部分があって、その後関わってきたりするのがなかなかつながらなくて困った。”ダッシュ”以外のもう少し特徴的な名前で示されたかった……といってもーまぁ時間を開けて読んだ私が悪いんです(´・ω・`)
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ーーー西暦201X年、謎の疫病発生との報に、国立感染症研究所の児玉圭伍と矢来華奈子は、ミクロネシアの島国パラオへと向かう。そこで二人が目にしたのは、肌が赤く爛れ、目の周りに黒斑をもつリゾート客たちの無残な姿だった。圭伍らの懸命な治療にもかかわらず次々に息絶えていく罹患者たち。感染源も不明なまま、事態は世界的なパンデミックへと拡大、人類の運命を大きく変えていく―すべての発端を描くシリーズ第2巻。
既に傑作の風格を感じる、小川一水の「天冥の標」シリーズ第2章
舞台はグッと現代に立ち返り、全ての発端となった災禍と謎の存在が描かれる。
散りばめられた要素が、この物語の遥かなる広がりを予感させてワクワクが止まらない。
「冥王の裳裾に触れた者が、いかなる過程を経てその腕に抱かれていくのかを、私は我々の言葉で語ることができるだろう。」
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宇宙時代を舞台にした1巻から、遡っての現代を舞台にした物語。
謎の病原菌によるパンデミックを収めようと奮闘する医者と、第一号の患者の物語。
とにかくパンデミックの発生を抑えようとする場面における緊張感が堪らない。
1巻を半端に終わらせた状態でのこの2巻の展開は、その先に何があるか想像をつかせなくさせてしまったのと同時に、長編ものを紹介する際につい使ってしまう「全体の中での転換点となる一冊」という論評を封じる効果が生んだように思える。
なぜなら、「すべての巻に繋がりがある。ある意味ですべての巻が転換点であり、偶然も飲み込んだ必然としてその後の展開を描く。」ということをこの展開によって宣言されてしまったようなものだから。
天冥の標シリーズの中での単品の物語としてもこの2巻が一番のお気に入り。
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小川一水の超大作、天冥の標の第二巻。
一巻から時代は遡り、一巻では割とあっさりめだったイメージの冥王斑が発見された頃のお話。ロボットのフェオドールについても少し明らかに。
致死率が高く、奇跡的に生き延びて症状が出なくなっても保菌し続ける性質と高い感染力により引き起こされる様々な問題。
時代が現代に近いということで、仮に似たような性質の病気が実際に流行ればほぼ同じような展開になるのではと考えさせられる。
なぜ人間は恨むべきものでないものを恨むのか。
ちなみにこれを読んでる途中でノロウィルスに罹り、感染源と潜伏期間と発症のプロセスが身に沁みております。
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うーん、1巻の謎が解けるようで、でもどう繋がっていくのか...かなり壮大な物語になりそうやけど、希望はあるのかしらん。
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いきなりわかりやすい時代に戻って、冥王班の発生した頃の地球の様子。2も割と救いがない・・・どうなるのか読み進めるのみ。
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『メニー・メニー・シープ』とは場所も時代も違う物語が始まって、え?と思ったら、ああ、ちゃんとつながっているんだね。
それにしても恐ろしい病気を考え付いたもんだ。
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時代が一気に変わり,現代に・・。いきなりパンでミックものになり,戸惑いつつも一気に読了。
しかし,この作家さんの幅の広さに驚きつつも,楽しめました。
フェオドールがちょっと,強引かな?と言う感じかな。
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〉これほどまでに異常な状況下では、自分たち個々の思考やモチベーションなど維持したいとも思わなかった。患者は何千人という数なのだ。その生死は疫学的推計によりすでに決まっているようなものだ。必要以上に努力したところで、回復率を1パーセントでも押し上げることはできはしない。──医師が1個の部品になることが必要なレベルの、これは途方もない事態であり、圭伍もそれを受け入れていた。
謎の疫病発生との報に、国立感染症研究所の児玉圭伍と矢来華奈子はミクロネシアのリゾートアイランドへ向かう。
そこで目にしたのは、肌が赤くただれ目の周りに黒斑をもつリゾート客たちが、そこかしこに倒れ伏す惨状。
冥王斑と名付けられることになるその病気は、致死率95%、空気感染し、回復後も感染能を保持する──つまり一度感染したら死ぬまで隔離が必要となるという恐ろしい物だった。
やがてパンデミックへ拡大していくなかで、人類は防疫という武器をもって必死の戦いを続ける…という話。
私のオールタイムベスト作品のひとつ。今こそ全世界の人に読んでほしい、パンデミック物の金字塔、天冥の標Ⅱ救世群です。
世界中で次々に起こるアウトブレイクに立ち向かう人々の姿が緊張感あふれる筆致で語られます。人類が英知を結集するような熱い展開が好きなんです。
そして並行して、感染後に生き残った「回復者」たちの続く隔離生活と、彼らの受ける苛烈な差別が描かれます。
「どうか、人間を恨むことのないように」
「無理です」
このやりとりが今後800年に及ぶ恨みの物語への端緒に…。
今こそ読んでほしいので今こそ再読。
現実世界でのCOVID-19に関連した差別は、なんと医療関係者に向けられているという報道もありますが…。防疫とは、パンデミックとは、ウイルスと戦うとはどういうことか。今の世界を理解する手掛かりになる小説です。
書店では特別全面帯で「防疫は、差別ではない」と黒地白文字のインパクト大で展開されています。大長編の第2話なのですが大丈夫。独立した一冊ですので気軽に手に取ってください。
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表紙絵、あれ?競技場?…と思いながら読みだすと、まさかのパンデミック医療系でした。ものすごく面白かったです。一気読み必至。
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1巻とは全く違った筋書き、しかも時空まで違う何たるスケール。どうやって一本に繋がるのか今の時点では予想が付かないです。重大なヒントになるかと思われる“断章二”は、残念ながら私の読解力では太刀打ちできません。羊つながりなのよね~?この巻で主人公たる千茅の決意とか行動力って生まれつき備わっていたものなのか、逆境においてそうならざるを得なかったのか、どうなんでしょう。