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パンデミックに圧倒される。しかも1巻とうって変って、こんなにかけ離れた話を完璧に独立した話として成り立たせるとは。とても自然で違和感のない話。それでいて、謎は深まるばかり。
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間違って別の本を読み始めたのかと思って、表紙の題名を確認したのは私だけじゃないはず。はるか未来のメニー・メニー・シープの話から一転、現代の地球を舞台とした、冥王斑のルーツを遡るパンデミックものになる。スターターだと思っていた冥王斑が、ここまで物語のキーになっているとは思いもよらなかった。しかし、一冊読み終えてもその正体は明かされていない。次巻に続くのか、それとも?いずれにせよ、どうやって数百年後の未来へ話が続いていくのか興味深い。フェオドールは早くも登場したが、コダマ、、、カドム、、、?
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SFというよりは現代の話であり,新型肺炎と騒ぎ始めたときに読み始めたので、報道と小説とが微妙に混ざってなんとも緊張感が増した
現場の医療と疫学の乖離はたまに感じるけど、こうしたアウトブレークの時ほど強く感じる
普段結構なこという感染症医で児玉達みたいに前線にいくのはどれほどいるんだろうかとは思うが・・
一巻でぎっしり詰まっていた要素が一個づつ紐解きながら語られていくのかなと思うと続きが気になる
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一昨冥から、大きく時を戻した現代の地球が舞台。
冥王斑の脅威、クトコトの謎、そしてフェオ。
これからどう展開していくのか楽しみ。
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丁度コロナ禍の現在、感染症・パンデミックの話。タイムリー過ぎて、感染者への差別だとか政治・権力争いとか、そういうのがものすごく近く感じた。
冥王斑の始まり・地球の話で「なるほど、メニーメニーシープのあの病気がコレか」となったけど、あれは水が感染経路だったような?後々何かしら明かされるのかな。
まだまだ続く天命の標、楽しみ。
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2803年の植民星から舞台は一気に現代の地球まで遡る。文章のタッチも変わり、第1巻とはまるで別の作品のよう。前巻の謎を解くカギが幾つか登場してくるが、冥王斑の発端が描かれているので、この巻だけ独立した話としても成立。パンデミックものの傑作として、まさにコロナ禍の今を知るのにもちょうど良い。
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舞台を800年前の現代に移し、致死率最強のウイルスが蔓延し、人間社会の混乱を描いた話である。
また、このウイルスがやっかいなのは、感染者が奇跡的に回復してもウイルスは体内にとどまりつづけるため、感染者は被害者であると同時に他者に感染をもたらす加害者となる。
このような極限状態の中、感染者への差別、暴力が容赦なく剥き出しに描かれる。
読んでいてつらい気持ちになるが、かすかな希望の光もかいまみえる。
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全10巻完結するまで読むのを温めていて、完結したと思ったら現実世界でも新型コロナウイルスの流行。持ってるとしか言いようがない。
冥王斑は架空の感染症のはずだが、その描写、設定がかなり具体的に描かれており、著者は医師免許か何か持っているのだろうかと思わざるを得ない。参考文献が見たい。未知のウイルスに対する人々の反応や対策などは、最近見たことあるようなものばかりで、著者の構成力と先見の明には脱帽する。
舞台は2015年の地球だが、Ⅰの舞台、2803年の植民星にもリンクする箇所があり、そのスケール感に圧倒される。まだあと8巻あるので、これからどんどん世界が広がっていくのだろう。物語にふれて、動悸が止まらないのは久々だ。
世界で最も影響力のある100人がこの世界にもあるのなら、最初の冥王斑患者・檜沢千茅はきっと選ばれるんだろう。病に勇敢に立ち向い、他の患者に手を差し伸べる彼女の姿に、「民衆を導く自由の女神」が重なった。
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疫病・冥王斑の感染拡大が描かれる。特装帯の力強さに惹かれて読み始めたら、あっという間に読んでしまった…。
2010年にこの作品が書かれていたのすごいですね。
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作家さんすごい。元々わたしのすきな災厄ネタ絡んでいるっぽくて気になるなあと1を読んだら、思っていたよりSFっぽいけどそれはそれでとりあえずおもしろいな〜と2に入ったら、待ってましたーーーの災厄ネタいきなり振り切って、それがまためちゃくちゃ濃くておもしろいって。いやあ、すごい。どうなってどうまとまるのか。読み進めます
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コロナ禍でカミュやデフォーの『ペスト』や、小松左京の『復活の日』が大きく注目されたけど、この『天冥の標』の2巻もパンデミックを扱った作品ということで、注目されていた覚えがあります。
出版はおよそ10年前の2010年ですが、読んでみるとコロナ禍を予見したような場面の多さに驚きました。それでいて物語としても抜群に読み応えがある。
201X年、ミクロネシアの島国パラオで発生した謎の伝染病。その症状は凄まじく罹患者のほとんどが死に絶えてしまう。そして謎の病は世界中に波及していき……
シリーズ2作目となる作品ですが、舞台も時代も大きく変わります。前巻は2803年の植民星が舞台。この2巻目の舞台は2010年代の地球。物語のつながりもキーワードがわずかに共通している程度で、ほぼ単独作といっても差し支えない。コロナ禍だからこそ、この2巻から読んでみるのも、全然アリに思える。
1章で描かれるのは謎の伝染病の最前線で戦う医師たちの姿。その努力もむなしく患者は次々と命を落としていくものの、何とか生きようとする少女と懸命な医師たちの姿、そして病気の凶悪さによる緊張感や緊迫感がしっかりと描かれていて、最初から引き込まれます。
そして伝染病は世界に波及。また生存者は症状が治まっても、他者への感染のリスクがあることがわかり、パラオ島で病気を発症し、一人生き延びた千茅は隔離されることになる。
千茅を襲うのは孤独とネット上での誹謗中傷。両親を喪い、友人たちといた日常も帰ってこない。その切々とした感情は心に迫るし、コロナでの入院や自宅療養、そして感染者への差別も当たり前となってしまった現代では、より彼女の心情は想像しやすいのではないか、と思います。そんな彼女に訪れる唯一の救いは、読んでいるこちらも救われた気になる。
ウイルスの発生源を探す旅では、このシリーズの今後に関わってきそうなものが見えてくるものの、まだまだ謎の部分が多く、これは次巻以降に期待。そして感染が広がり生存者が増えてくる中で社会全体が、ウイルスへの恐怖と感染者・生存者への嫌悪を示すように……そして物語が向かう先は……
社会全体がパニック状態になっていく様子は、今のコロナ禍とつながっているところも非常に多い。感染者への差別もそうですが、ウイルス対策をした店や製品がアピールポイントになるといった記述が個人的に妙に印象的だった。
感染者差別や都市の封鎖、店の休業は想像しやすいけど、ウイルス対策がアピールポイントになる、という細かいところも取り上げて、しかもそれが今現実になっていると思うと、小説家の想像力の怖さすらも感じます。
ただ小川一水さんでも感染者どころか、医療従事者まで差別の対象になる未来まではこの小説の中では描けなかったみたいです。こんなところだけ、人間の行動や思考はフィクションを超えてしまう……
それはともかく、コロナ禍前に書かれたとは思えないリアリティと壮大なスケール感が物語全体にあるので、クライマックスで描かれる大量の感染者予備軍の人たちが検査の列に並んでいる姿であったり、生存者たちを待ち受ける過酷な運命も��一概に非現実的とは受け止められなかった。それがまた怖くもある。
「健康と安全を守るため」
その聞こえのいい言葉は、簡単に他者を切り捨てる理由に転嫁される。『天冥の標』2巻で描かれた物語は、ウイルスという目に見えない敵の前に、懸命に戦い生きる人たちの姿をとらえつつも、一方で人間はいかに浅はかで愚かで、そして無力で臆病なのかを改めて痛感させられました。二巻の副題である「救世群」の言葉の意味の皮肉さもまた胸に突き刺さる。
単独作としてはもちろん見事な出来でしたが、少しだけ示された“ダガー”のことや、病気の感染源の正体などシリーズ作としても、まだまだ謎の部分が多く今後の展開も楽しみ。1巻と2巻で物語の雰囲気がガラリと変わったので、続く3巻ではどんな世界観で、どんな物語が展開されるか大いに期待できそうです。
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天冥の標の第2巻で、年代的には1番早い時代が描かれる。2015年に、後に「冥王斑」と呼ばれる謎の疫病がパラオから発生する。そして世界に拡散していく。これは10年以上前に書かれた作品だが、新型コロナウイルスが大流行する現在の状況をそのまま写し出している。パンデックミック、手遅れになる患者たち、そして患者への偏見、差別など、これまでに見たような事態が描かれており、読むのがしんどくなる。
人類はなんとか押さえ込みに「成功」するのだが、それは冥王斑からの回復者に犠牲を強いるものだった。そして彼等の中からカリスマが誕生する。そして彼らは、自らを<救世群>と呼ぶことになる。彼らとの仲介者である<リエゾン・ドクター>も生まれる。第1巻に登場したフェオドールやダダーの由来も描かれる。あと羊もだ。
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2010年代。感染症専門医の圭伍は、腐れ縁の同僚・華奈子と共に正体不明の疫病が発生したパラオのリゾート地へ向かう。二人が離島へ到着すると、滞在客は一部を除いて目の周りに大きな黒い斑が浮かび、既に死亡しているか瀕死の状態にあった。圭伍たちは顔に斑を持ちながら生きている少数民族の青年ジョプを発見、保護し、彼がウイルスのキャリアだということを突き止める。半年後、島で唯一の回復者となった日本人の少女・千茅は、ジョプと共に圭伍たちが管理する隔離施設にいた。顔の斑以外は完治していたが、体内のウイルスが他者に感染する可能性は残っているため、隔離され続けているのだった。その間にも疫病は広まり、「冥王斑」と名付けられた印を持つ回復者たちは激しい差別に晒されていく。〈天冥の標〉シリーズ第2作。
10年以上前に「パンデミック下の日本」を予見していた物語としてそりゃー話題になるわ、と納得せざるをえないリアリティ。特に、大衆やメディアが感染者の倫理観を問うて非難するところなど、2年前に散々見た!という気持ちになるし、都市機能が漫然と動き続けていたり、外国の要人が出歩くのを止められなかったり、日本社会の体質を読みすぎている。2010年には"いつか"の悪夢だったものが現実に顕現してしまったのが恐ろしい。けれどこの話を2010年代に設定した著者には、その"いつか"がほど近いこともわかっていたのかもしれない。
Ⅰ巻の舞台は完全なるSF世界だったが、今作は冥王斑の存在以外ほとんどリアリズム小説だ。日本の医師団とWHO、米軍のイニシアチブをめぐる駆け引きや、現地で適当につけられた「疾病P」という名前があれよと言う間にPlutoと紐付けされ、大層な病名になってしまうところなど、案外こういうもんなんだろうなと面白く読んだ。千茅以外の合宿所メンバーや医師たちが最後までジョプをけっして平等に取り扱わないのも日本人だな〜と思った。
ただ、惜しむらくは主人公・圭伍のことを私は好きになれなかった。圭伍は仕事はできるけど出世欲はなく、ほどほどに堕落しているけれども熱意は失っていない、巻き込まれ型の中年男性である。この手のヤレヤレ系キャラが元々苦手なのだが、そこへさらに「冥王斑の患者は生殖行動に影響を及ぼすフェロモンを分泌する」という設定が入ってくる。そのせいで圭伍は10代の患者の乳房に触れてしまい後悔するが、自分の体が発するフェロモンのせいだと理解した患者は彼を許し、恋愛感情を持つという展開になっていく。これが個人的には受け入れがたい。
最後には他の職員によるレイプにまで発展するこの設定に意味を持たせるのなら、世界中の隔離施設内での性犯罪が作中社会でもっと問題になっているべきだと思うし、そうでないならフェロモンではなく本人が自覚して患者の人権を不当に踏み躙る行為としてレイプを描くべきだったと思う。シリーズものなのでフェロモンの設定が今後どう生きてくるかによって意見が変わるかもしれないが、この巻を読む限りでは千茅と圭伍の悲恋を描くために付けたのかと思ってしまう。華奈子がジョプに性的魅力を感じるシーンなどはないので余計に不自然な感じがする。
他にもお清めセックス概念が堂々と語られ��いたり(挿入後も喋り続けるから笑ったけど)、圭伍と華奈子を聖人にしないためにわざと露悪的に書いているのはわかるけど、その点はあまり好きではなかった。でも小説全体はとても楽しんだし、好きになれないキャラクターも巻が変わって数百年飛べばもういないと思うと許せるものだ。
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急に現代に逆戻りと思ったけど、読み終えてみると急でもない気がしてきて何とも言えない。実は1巻ってこうだったのか?とか色々浮かんでしまう。面白かった。
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1巻(メニー・メニー・シープ)から読み続けると、?
「あれ、現代?」、しかも内容がコロナ禍と似ている。かなり前に書かれた小説なのに。
お話しは読みやすく、1のある登場人物に繋がるんだろうなと想像できるが、2010年代の地球と2803年のメニーメニーシープまで800年がどう繋がっていくのか、これは楽しみ、次巻を早く読みたくなります。