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とにかく長い。文庫でも持ち運ぶのが重いですし・・・
また、説明が多く、
のめり込むまでに時間がかかる作品なので、
結局半年くらいかけて読了しました。
色々なレビュアー様からの高い評価がなければ、最後までたどり着けなかったかもしれません。
しかし、最後まで読むと、その価値がわかります。
最後の瞬間のために読んでいたのだ・・・
と、心を打たれる作品でした。
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最高だった。
個人的には、今まで読んできた中で最高のミステリー小説。
ミステリーに付随する“ドラマ”の部分でもっと好きな小説はあるんだけど、純粋な「ミステリー」としては、これ以上ないほどに完璧。
よく、ミステリーの感想で「パズルのピースがぴったりはまる」みたいな表現があるけど、これほどの「ぴったり」感が味わえる作品は見たことがない。
パズルだけじゃなく、パズルの額縁にも恐ろしくぴったりはまった感じ。
「死者が蘇る」という、ともすれば“なんでもあり“になりうる世界観を構築しておいて、その世界においてしかありえないトリックと、この世界でしかありえない動機で、小手先ではない完璧な結末を迎えるのがほんとにステキ!
そして、その最後の謎解きも、「この行動はルールに沿っているか」の”答え合わせ”的な謎解きではなく、もっと直感的に、すべての要素が腑に落ちる感覚が本当に気持ちいい。
完璧だ。
本当に、完璧だ。
ひとつ不満を言えば、やはり中盤の長さ。結末への”フリ”なんだけど、言うても、あんまりにも長い。
作中で「ミステリーは300ページで終わるものがいい」みたいなセリフがあって、それが400ページくらいで交わされる会話で、本作においてはようやく半分を越えたくらいなもんで…。
まあ、この長さが良かったのかもしれないけど、再読する気力はなかなか湧いてこないです。。。
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死者が蘇る異常な状況下での、異色ミステリ。
一見めちゃくちゃにみえるが、あくまでミステリとしてフェアであり、終盤の鮮やかなトリック崩し、ラストの切ない美しいフィナーレ、あちこちに散りばめられた博識な薀蓄…どれをとっても素晴らしい。
登場人物はアメリカ人で、最初は読みにくく気どってるなあと思っていたが、次第に本格海外ミステリを読んでいる錯覚に囚われる。ラストもアメリカならではの爽やかな余韻。
死者が蘇るなんてミステリじゃないと思ってる人も是非読んでみるべきです。
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複雑! さすがミステリ評論家を学生時代からやっていただけあり、いろんな古典作品のオマージュも含まれているので、難しい作品でしょうねぇ。
でも、ゾンビ探偵は・・・世界広しと言えども、山口氏が初めてなのでは?
キッド・ピストルズにも劣らない山口氏風パラレルワールド全開です。
こういう無理な設定を舞台にすると、ほころびなんかも出てきそうなものですが、きちんとルールが引かれ違和感もありません。
いろいろなミステリ要素が描かれ、絡み合うミスディレクション。
難しいながらも楽しんで私は読みました。
そして迎える切ないエンディング。ちょっとウルってきそうになっちゃった。
山口氏の長編デビュー作らしいのですが、じーっくり読んでほしい作品です。
じゃないと本作品のすごさがわからないかも。うん、本当難しい作品です。
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死者が甦るという世界を背景に描かれた本格ミステリー。殺された人間が甦ると、動機が曖昧になるという着眼点は面白い。死生観や宗教観が入り交じった話はなかなか奥が深いが、丁寧に書きすぎ。読むのに相当苦労した。
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ゾンビと人間の話。。。
アメリカならではの話のコンセプトで、ゾンビと人間がホント上手く絡み合ったミステリーになってて結構楽しめた。
火葬が当たり前の日本では、エンバーミングやゾンビっていうのはあり得ないので、アメリカ独特の習慣・風習を初めて考えさせられた。
これを日本人が書いたんだからビックリ。
アガサ・クリスティのような感じで、ちょっと滑稽にしたような設定も親しみもてた。
その国の宗教によって死者の葬り方も違い、死者に対する敬意も死後の世界に対する思想も違うのね。
そんな事今まで考えたことなかったよ。
ミステリーの真相も最後、「なるほどな~」と納得。
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「生ける屍の死」という設定が笑ってしまう感じだが、始めに設定がちゃんと説明されているし、物語の探偵よりも前に誰が「生ける屍」なのか、かなりの割合で示されているから、ストーリーに酔っ払う私とは違って、謎解きを読みながら考えるタイプの読者にも納得の面白さだったと思う。
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「死者が蘇る」とある裏表紙を読んだときには、リアリティに欠ける気がしていまいち興味をそそられなかったのですが、読んでみたら意外にも引き込まれました。似たジャンルで近年読んだ、有栖川有栖著「双頭の悪魔」よりも面白く、法月綸太郎著「生首に聞いてみろ」と同じくらい綿密に練られていました。ミステリーではありますが、それを超越したテーマがあります。
アメリカ東部の葬儀社が舞台となっており、アメリカにおける死生観という興味深い題材でした。アメリカでは人が亡くなったときにエンバーミング(遺体防腐処置)を施すということは知識として持っていましたが、実際にどんなことをするのか知りませんでした。土葬が一般的な国ならではの風習です。死者が蘇るというのは、突拍子も無い概念に思えますが、キリスト教では広く受け入れられているのですね。蘇りを信じているからこそ、火葬にしないという考え方もあるそうです。
エンバーミングは、遺体を整えて防腐処理をする仕事と漠然と考えていましたが、血液を抜いて防腐剤と色素を入れ、化粧を施すだけではないのですね。白髪を染め、顔面マッサージをして、微笑んだ表情にし、棺をのぞきこむ人に顔を向けたりするそうです。エンバーマーのステータスも、芸術家に近いと知り驚きました。
葬儀社一族の話で、横文字の名前の登場人物が20人以上出てくるので、最初は誰が誰と兄弟だとか、相関図を頭に入れるのが大変です。日本人のビジネスマンが一人出てきますが、彼の外国人アクセントを表すために関西弁が使われていたのは、妙な気がしました。一体誰が生きていて、誰が死んでいるのかわけが分からなくなります。
生と死について、興味深い箇所がいくつかありました。「生と死の間には、いくつもの段階があって、明確に境界線を引くことは難しい。医師は社会の要請によっていくつかの生命現象の欠如を臨床死の条件として折るが、それはあくまで臨床上のこと。心臓や脳波が止まっても、残生現象-つまり、体を構成するここの細胞はまだ生きていたりする。死とはそんな風に曖昧で流動的なもの。」「この宇宙にあって、生命を持つということのほうが、むしろ平衡状態に反する不自然なこと。」「人間も生まれたときから体内に死を内包している。寿命ある人間が毎日生きるということは、実は毎日少しずつ死んでいるということなのだ。(中略)食事をしただけで、腸壁からは食物の通過によって七百億の細胞が剥ぎ取られてゆく。」
死生学という学問があるそうです。私はまだ「おくりびと」を観ていないのですが、この本を読んだ後に是非観てみたいと思いました。
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2014.10.26
死者が甦る世界 ニューイングランドの片田舎 葬儀屋 エンバーミング リヴィング・デッド 最後の審判
SF設定だけど緻密。ただ長すぎて再読するには尻込みしそう
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『死』をテーマに描く本格ミステリー。ミステリーなんだから死を描くのは当たり前と思いきや、これは『死』とはなんなのか?について、様々な登場人物の死生観、死の文化、宗教、オカルト、葬儀の文化…などなど、これでもかという方面から語る、うえでの本格ミステリ。この前置きの部分が面白くて面白くて。そして死者が甦る世界での殺人。よく練られた舞台設定における、ちょっと他では見たことのないミステリーでした。
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死者が甦るという、ミステリーの世界において有り得ない設定?。そんなルールの中でも本格ミステリーが成立することに拍手喝采です!。
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山口雅也の長編第一作。
1980年代、死者が甦るという奇妙な現象が全米各地で発生していた。ニューイングランドの片田舎ドゥームズビルでは、地元を代表する企業であるスマイリー霊園の経営者スマイリー氏の相続問題を巡り、一族間に不穏な空気が流れていたが、相続人の一人であるパンク青年のグリンが密かに毒殺されてしまう。自分の死を隠して推理を始めるグリンは、肉体が崩壊するまでに事件を解決できるのか?
死者が復活する世界という、何とも奇抜な設定の作品。復活するといっても肉体的には死んでいるために腐敗を続けるので、顔が硬直した後緩んできたり、角膜が混濁し始めたり、血液が腐る前に防腐剤を入れないといけなかったりと、復活という一点以外は妙にリアルな設定。作品中では人間の生死に関する様々な言葉が過去の作品から引用され、タナトロジストの衒学家ハース博士を始めとする登場人物も薀蓄を語りまくる。途中でいきなり始まる夜の霊柩車レースや徘徊するハロウィンの殺人鬼など有名映画のオマージュのようなシーンもあれば、死者の復活を最後の審判と関連付けるキリスト教的思想も抜かりなく書いている。加えて舞台が霊園ということもあり、棺桶選びからエンバーミング(死体の防腐処理)、埋葬に到るまでの葬儀の流れや、葬儀ビジネスの問題点まで紹介され、一冊で米国式葬儀の全貌を見渡すことができる。30年以上前の作品なので情報が古いかもしれないが。ともあれ、これほどまでに死に彩られた作品もそうは無いし、「もう死んでるんだから焦るな」とか「ちょっと死んでたから聞いてなかった」というような死の扱いが軽すぎる台詞が聞けるのもこの作品くらいだろう。紛うことなき怪作である。
事件の方も生者と死者の思惑が複雑に絡み合い、非常に奇怪な様相を見せる。後半になればなるほど状況は混沌としていくが、その分解決は爽快なものだった。「死者が蘇る世界で殺人を行う必然性があるのか?」という命題にああいう答えを出すとは、生者の論理に縛られていては解決不可能だっただろう。
非常にアメリカ的な空気の作品ではあるが作者は日本人であり、グリンも日米の混血児だし南賀という土地開発業者も登場する。この南賀、いかにもバブル時代の金持ちといった図々しい様子で、現代から見ると隔世の感があったりもする。
気に入っているキャラクターは、捜査の度にストレスから胃の細胞が剥がれ落ちていくトレイシー警部。いや、警部は生者にしてはよく捜査した方だと思うよ。ただ、狙いをつけていた容疑者の行動とその動機が常軌を逸してただけで。それから、ゲイのメーキャッパーのウォーターズは週休30%カット(二週連続)に加えて50%カットを食らっていたが、この場合そのまま累積して80%カットになるのか、30%カットされた分が半分になるのかが気になる。いずれにせよ悲惨な額には違いないが。
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米国での葬儀屋業界という舞台が興味深い。
分厚さはあるが中身はライトでテンポもよく読み応え有り。
動きが鈍く人の生肉を喰らう生ける屍ではなく思考し問題なく行動するただ「死んでる」だけの存在ということで期待していたものでは無かったがどうしてどうしてそこがミソとなり十分楽しめた。
生粋のミステリーファンではないのでこうゆう変化球ものが読んでいて楽しい。
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探偵役が物語冒頭で殺されるって…何それ麻耶雄嵩っぽい!しかもゾンビになって探偵も被害者も生き返っちゃうとか、どこのメフィスト受賞作~!(興奮)
というわけで、名前だけは知っていた「生ける屍の死」です。こういうミステリの名作をたくさん読んでいきたい(・ω・)←
本作の最大の特徴は、何と言っても「殺人事件が発生しても容疑者が減らない」という点。か、画期的〜!←?
殺された被害者達は容疑者圏外に出るのが通常のミステリですが、今作では「死者が復活する世界」という大前提がある為、この当たり前のことが成立しない。それどころか、「殺された被害者達が次々と失踪」して、最重要容疑者になってしまうというトンデモ設定…うーん、なんというマニアの心をくすぐる設定か…(笑)。
探偵が物語開始早々に死亡→ゾンビ化。
という設定も斬新ですが、最も面白かったのはやっぱりこれ→「殺しても蘇ってしまうのに、何故犯人は殺したのか?」!うーん、究極のワイダニット!ワイダニットはイマイチ派の私でもたぎらざるを得ない!
防犯カメラで犯人の足取りを追ったり、関係者のアリバイを一通りさらったり、いろいろと思考錯誤してますが、結局はこの「何故」に尽きるんですね。生者と死者、双方の「生きた」思惑が錯綜するマーダーケース。
そんなシンプルなアンサーで良いのかと拍子抜けしつつ、それしか真相はあり得ない、伏線は全て綿密に張られていた、という事実を確認して、感嘆の溜息が出る思いでした。うーん、面白い。すごい。
死者の甦りや家庭内の連続殺人という重苦しいテーマにも関わらず、どこかコミカルな雰囲気も併せ持っているのがさらに良かったように感じます。読みやすかった。
大事な場面でオナラしちゃう一家の大黒柱。
犯人と被害者の意図しないコミカルな追走劇。
窓に頭を突っ込んだまま、みんなにお尻を向けて探偵の推理披露に立ち会う容疑者←可哀想(笑)。
うん、好きです、こういうの(笑)。
そして何と言っても、最後のまとめ方。
生者と死者のドタバタ劇が落着し、やがては朽ちゆく存在のゾンビ探偵と、彼の恋人が旅に出るシーン。
「死なんてない、最後の瞬間にはまた全部の繰り返しがあるんだ。だから、いつまでも、ずっとずっと死なないんだよ!」
ーー愛する青年に訴える彼女の言葉、そして、最後の一文。物語が終わった後に、ある小さな違和感に気付いて冒頭に立ち返った途端、何度目になるか知れない溜息が溢れました。
彼等はきっと、この物語を永遠に走馬灯の中で繰り返すのですね。永遠に、南に向かうことなく、彼等は北を目指すのでしょう。間違いなく、名作です。久しぶりの、星五つ!
AmazonAmazon〜(^^)φ
ニューイングランドの片田舎で死者が相次いで甦った! この怪現象の中、霊園経営者一族の上に殺人者の魔手が伸びる。死んだ筈の人間が生き還ってくる状況下で展開される殺人劇の必然性とは何なのか? 自らも死者となったことを隠しつつ事件を追うパンク探偵グリンは、果たして肉体が崩壊する��でに真相を手に入れることができるか?
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哲学的?、謎解き・少々コメディ!?。バラエティな推理モノながら、どちらかに傾斜してたら、もっと読み易いかも…。個々に受け止める"死"の定義と黒い墓の町を、ピンクの霊柩車に乗ったグリンとチェシャちゃんが通り抜ける!。バランスの高い物語と、減らず口+キャラの完成度は言うこと無し♪。