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構成も、文章表現もさすがだなあと思う。
2002/07/15 14:50
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投稿者:ゆうきっく - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校の教科書に載っていたり、予備校の模試に問題になっていたりと、高校生にお馴染みの1冊でしょう。もちろん、周りで読んでいる人も多かった。でも、私は買わなかった。買おうと思っているうちに、忘却のかなたにあったのだが…。
まあ、早く読んでいればよかったなあと思います。教科書は、いきなりクライマックスの部分を教えてくれたわけですからね。先生の手紙の中の、重要なところを…。
登場人物の謎めいた行動とか、人生についてだとか、イロイロ考えさせられる部分もあったし、文章に隠された心理描写もかなりうまいと思う。やや肩こりの文章だけれども、その硬さが時には合う。じっくり読めるし、表現の裏読みも楽しいでしょう。学校の国語の授業みたいにじっくり分析したら、きっと楽しいだろうから…。
不思議な話だけれども、なぜか引き込まれてしまって、圧倒される1冊でした。読んでない人はお早めに!!
本当の愛を考えさせられる本。
2001/07/21 12:32
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投稿者:りーこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校の教科書で一部を読んで、その日のうちにすぐに買いに行った、思い出のある本です。
話し手の“先生”(主人公の学生が勝手に先生と呼んでいる)が、今の奥さんと結婚する為に、自分がどんなにひどい事を親友”K”にしたかを、語っていくストーリーです。
いつの時代にも恋愛問題でもめることはあっても、過ぎたこととして忘れていくことが多い中、“K”の自殺によって“先生”は、何十年たった今でも悔いており、懺悔し続けているのです。奥さんを、罪と共に愛し続ける苦悩が、ひしひしと伝わってきて、本当はどうすれば良かったのか、親友とは、本当の愛とは何だろうと、とても考えさせられる一冊です。何度読んでも考えされられる名作だと思います。
Kの自殺の意図は…
2001/06/15 00:08
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みやぎあや - この投稿者のレビュー一覧を見る
大学生の「私」(作中では人の名前が一切出てきません)は親友の「K」が惚れている相手である下宿先の「お嬢さん」に横からプロポーズして、めでたく結婚話がまとまるのですが、しかしそのことをきっかけに人生に失望した「K」は自殺してしまいます。「私」は長年そのことに罪悪感を抱き続け、けれど妻になった「お嬢さん」に本当のことも告げないまま天皇崩御のニュースと共に自決してしまう。それらは「私」のことを先生と呼んで慕っていた学生が、遺書という形で後に知らされるものです。
この小説は本当に様々な捉え方をする人がいて、とても純粋で昔の良き妻の象徴であるような存在の「お嬢さん」が実は一番の悪女だったに違いないとか、「先生」と学生の精神的な同性愛の話ではないのかとか色々ですが、私は初めてこの小説を読んだ時、自殺した「K」が確信犯だったんじゃないかと思ったんです。
「K」は信頼していた「私」にお嬢さんを奪われたいわば被害者的存在ですが、私は彼が自殺したのは何かに失望したからというよりも、それが「私」への復讐になると分かっていたからじゃないかと思ったのです。「私」が彼を裏切った罪悪感に耐えられずいつか自殺すること、そこまでわかっていてそうしたのではないかと。
首を吊って死んでいる「K」を発見した時の「私」の絶望。二度と自分は彼に謝罪する機会を失ってしまったという気持ち……。そのことを彼はとても良く知っていたのではないかと思うんです。そしてあの文章を読む限り、「K」は「私」を非情に憎んでいたとかそんな雰囲気ではなく、更に自殺の理由にしても、裏切られたことは要因の一部分でしかないように見えます。……けれど彼は自殺しました。わざわざ、親友を出し抜いた後悔と罪悪感で落ち着かない「私」が眠っている隣の部屋で。ただでさえ後ろめたく思っているのに、駄目押しのように彼の自殺に直面したら、どうしたって「私」が罪悪感にさいなまれるであろうことは分かっていたはずなのに。
だから、そういうことだったのではないかと私は思ってしまうんです。
親友への意趣返し。ちょっとした意地悪と言ったら軽すぎですが、まあそんな感じの置き土産。そして彼らのそうした確執については、「奥さん=お嬢さん」も薄々わかっていたのかもしれない……と思うのは考えすぎでしょうか。
心は口以上に雄弁である
2000/09/10 02:38
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投稿者:読ん太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
恋心、猜疑心、虚栄心、平常心、心寂しい、心苦しい、心踊る…。心とは、高熱を発したかと思えば氷のように冷たくなってみたり、カメレオンのように色が変化してみたり……まるでバケモノだ。そして、人はすべてこのバケモノを有することとなる。
漱石の『こころ』は、我が身に宿るバケモノに命を奪われた、あるいは、このバケモノに戦いを挑み勝利したとも言える「先生」のお話。
人はこのはかない現世に生きた証を、美しさも醜さもすべて残して逝きたいと思うものらしい。これが本心。
主人公「先生」は、自分の(醜い)過去について綴った長文の手紙について、他の人の参考にして欲しいと言う。ただ、妻が生きている間は公にすることはならないと言う。これは、妻に対する親切心、と同時に虚栄心。
心を打たれる1冊であった。
最後に一言。
漱石の作品は海外にも数多く紹介されているようだが、本書を多くの外国人が「ホモ小説」と扱っている、という内容のことを耳にしたことがある。悲しい気持ちがしたが、日本人であり、漱石の「こころ」を解する自分に満足感も持つこともできた。